岡山県議会2010年度(H22)政務調査費 地裁判決 日本共産党議員に関する部分の詳細について

市民オンブズマンおかやまを原告とする2010年度(H22年度)政務調査費(現政務活動費)の支出についての裁判で、2021年6月30日、岡山地裁の判決が出ました。判決では、日本共産党県議団 森脇・赤坂・武田元県議のうち、赤坂・武田元県議のホームページ管理料の按分に対する考え方の違いで一部を違法とされましたが、その他の支出については全て議員側の主張が認められました。以下に判決の詳細をご説明します。

1.議員個人の支出について。3つの争点と、判決の結果
注:○は議員の主張が認められたもの ×はオンブズマンの主張が認められたもの

① 議員が発行するニュースの按分の考え方について(○)
② 議会質問時に使用したパネル作成費の是非について(○)
③ 議員個人のホームページの按分の考え方について(×)

① 各議員が発行するニュースの按分について
オンブズマンは、ニュースや郵送料などの関連する支出について50%按分を主張していました。議員は、マニュアルに基づき、ニュース(作成費・作業手数料・郵送料等含む)毎に政党活動や政務調査活動とはいえない部分を面積率で計算、除外した上で適宜按分を行っており、違法ではないと主張していました。判決ではそれぞれのニュースについて「基本的に県政の報告がされているものと認められ(中略)違法とは認められない。」と議員の主張を認めました。

② パネル作成費について
武田元県議の支出した議会質問時に使用したパネル作成費について、オンブズマンは「政務活動ではない」と全額否認していました。議員は支出を100%充当しパネルの詳細資料を証拠資料として提出し争いましたが、判決では「資料作成費は、議員が議会審議に必要な資料を作成するために要する経費とされているものであり、当該パネルにかかる支出は使途基準に合致するものといえる。」と議員の主張を認めました。
   ③ 各議員のホームページの按分について
 ア、按分について
     当時、武田・森脇・赤坂の3県議ともホームページを作成していました。マニュアルには、「政務調査活動以外の内容が含まれている場合は、その割合等により適切な割合で按分すること」とあります。党県議団は、ホームページのトップページに表示されている政務活動と政党活動等との割合で判断し、按分率を90%としていましたが、オンブズマンは、議員個人のホームページ管理料について50%按分すべきと主張していました。

イ、森脇元県議のホームページの支出について
森脇元県議はホームページを議員自身で管理していたので支払いはありませんでした。

ウ、赤坂元県議のホームページの支出について
赤坂元県議はホームページ管理料として月5千円支出しており、年間6万円支出しました。

エ、武田元県議のホームページの支出について
当時はSNSが普及している現在とは違い、ホームページは議員の情報発信の主なものでした。武田元県議はインターネットを駆使し、「いのしし日記」と題して頻繁に県政についての情報発信を行っていました。アクセスも非常に多く、ホームページ管理を専門業者に依頼し、月2万円支出し、作成・更新・管理してきました。11年前のホームページ管理料としては決して高額ではなく、中等程度の金額であったと考えます。

オ、ホームページに関する判決
判決では、「政務調査活動との間に合理的関連性がないものとは認められない。」としながらも、「他方、一般的にみて、議員のホームページには、県政の報告を目的としている部分と同議員個人のPRを目的としている部分とが相当程度の割合で混在していることが多い。(中略)したがってホームページ管理料のうち2分の1で按分した額についてのみ政務調査費から支出することができるというべきであり、その差額は、返還の対象となるというべきである。」としました。武田元県議にはHP支払い総額252,420円のうち、90%按分と50%按分の差額の100,968円、赤坂元県議には2,000円の返還請求を命じました。


 2.判決のまとめと対応について
   上記のように、今回の判決で議員側のほとんどの主張が認められたものの、ホームページ管理料のみついては50%按分が妥当とされました。日本共産党県議団として協議した結果、判決を重く受け止めるとともに、控訴はせず、裁判所の主張を認めることを決断しました。ただしオンブズマン側の控訴も考えられるので、現時点では確定ではありません。なお、議員個人のホームページ管理料については、当時は90%按分にしていましたが、発信内容を考慮し、H24年度分より50%按分にしていることをご報告します。
   
3.おわりに
政務活動費は、議員が議員として活動する上で、極めて重要なものです。同時に政務活動費の財源は県民の税金であり、支出するにあたっては1円たりとも不適正なものがあってはならず、透明性が求められます。
しかし同時に、政務活動費は県民に議会の様子や県政について知らせる広報活動、調査研究活動、研修、要請陳情活動など、重要な役割があり、適正に使用されるべきです。日本共産党岡山県議団は、2001年に「政務調査費の交付に関する条例」が制定されてから20年間、全ての支出をオープンにするべく、条例にもとづく議会での使途の公表と併せて、控え室やホームページでの自主公表を行ってきました。今後も、県民のみなさんに恥ずかしくないよう、より一層の努力をしていく決意です。

※団会費(3県議に共通する支出)の詳細については、参考資料として別途、団ホームページにアップします。

 

2021.7月14日
日本共産党岡山県議団

2021年07月14日