討論

2011年3月16日 森脇久紀

 

日本共産党の森脇ひさきでございます。

この場をお借りいたしまして、東日本大震災で被災された方々に心からの哀悼とお見舞いを申し上げます。地震、津波による甚大で広範囲な被害に加え、原発からの放射能発散が住民をさらなる危険にさらしています。余震が続くなか被災された方々の救援にあたっておられる方々に、また義援金や物資の提供など、県民のみなさんの様々な支援に敬意を表したいと思います。

 

さて、私は今議会に提出された議案5件、陳情6件、発議4件について、委員長報告の通り決することに反対し、主なものについてその理由を述べます。

まず議第1号、平成23年度一般会計予算についてです。予算には県民要求にもとづいて私どもも要望してきた、たとえば発達障害児への支援、DV被害者民間シェルターへの支援、高校生や若者の就職支援体制の充実、県産材を活用した住宅改修への補助、県立児童会館の改修、そして高等学校校舎耐震化の前倒し実施などが含まれており、これらについては歓迎するものです。一方、税収確保対策として、駐車料の有料化、県施設使用料の値上げ、職員の給与カットなど県民や県職員に負担を強いていること、施策の面では、低所得者への配慮はされたものの、なお全国最悪の重度障害者医療費補助制度の改善がみられないこと、中学校一年生全員を対象にし、子どもを競争に追い立てかねない全県いっせい学力テスト、苫田ダム建設にともなう広域水道企業団の「余り水」分への立て替え払いなど、県民の立場からみて納得できない内容が含まれています。したがって、議第1号には反対するものです。

また、議第22号、広域水道企業団への出資には、過剰な水需要予測のもとに建設した苫田ダムの「余り水」分への支出が含まれています。昨年6月議会でわが党の武田議員は、この「余り水」分を「治水など他の目的に振り替えること」「国への買い上げを求めること」など提案しましたが、「ムダ遣いをやめてほしい」という県民の声にてらせば、知恵をつくして一刻も早くこの問題を解決することが求められており、これについても反対するものです。

また、議第41号、岡山テルサ条例の一部を改正する条例ですが、岡山テルサを早島町へ譲渡することについて、早島町内には施設の必要性や財政負担の面で様々な意見があります。十分な議論がされたのかどうか疑問であり、これについても反対するものです。

 

次に陳情について、採択を主張する立場から意見を述べたいと思います。

昨年秋から日本共産党がとりくんだ「暮らし」のアンケートでは、「暮らしが悪くなった」と回答された方が75%にのぼりました。その原因は、回答率の高い順に、年金が減った、医療や介護の負担が増えた、収入が減ったなどでした。これらはいずれも個人の努力だけでは解決できない問題です。従っていま、暮らしを良くする方向に政治の流れを変えることが必要です。

その第1は、社会保障の拡充です。そういう点から、医療・福祉に関する一連の陳情、さらに養護教諭の配置拡充など教育の充実を求める陳情について、いずれも緊急焦眉の課題であり採択を求めます。

とくに意見を述べておきたいのは陳情第178号、重度心身障害者医療費助成制度に関してです。先の武田県議の質問に、知事は「他県と比較して厳しいと指摘される部分があることは認識している」と答弁されました。制度の厳しさを認識しながら、改善しないというのはいかがなものでしょうか。一刻も早く、本来の福祉の精神、国連障害者の権利条約等もふまえて、制度を改善することを求めるものです。

次に、アンケートで県民が求める施策の2つめは経済対策の拡充です。この観点から、農業に関する陳情の採択を求めます。

とりわけTPP(環太平洋経済連携協定)への参加は、国内農業、食の安全はもちろん、雇用・労働、医療・福祉、安全・衛生、金融など国内のあらゆる分野に負の影響を及ぼす大問題であることが明らかになってきています。議論を尽くすことは当然ですが、ここに至っては「参入阻止」の立場を明確にすることを強く求めるものです。

 

次に、発議2件について、反対の立場から意見を述べたいと思います。

まず、発議第26号、「総合経済対策の策定を求める意見書案」についてです。1月15日付「朝日新聞」で日本政策投資銀行参事は「経済停滞は国際競争に負けた結果ではない。内需の縮小こそ病気だ」と述べ、「賃上げ→内需拡大→売り上げ増加という好循環を」と提案しています。日本共産党も、国民の暮らしをささえ所得を増やす経済対策を提案してきましたが、「いまこそ賃上げを」というのは立場の違いを超えた共通の願いになっています。

これを現実のものにするには、大企業に蓄えられた244兆円もの内部留保の一部を「生きたお金」として、日本経済に還流させる、国民の暮らしを守るルールづくりが必要だと考えます。その立場から本意見書案に反対するものです。

次に、発議第22号、「民主党衆議院選挙マニフェストの早期の撤回・見直しを求める意見書案」についてです。

一昨年の衆院選における国民の怒りの原因は、くらしをどんどん悪くしてきた自民党、公明党の政治にあったわけです。国民は、その是正を民主党政権に託しました。特に後期高齢者医療制度の廃止、障害者の応益負担の廃止、労働者派遣法の見直し、農業の不安の解消、米軍基地の移設、金権腐敗の根絶などは、どこへ行っても大きな期待の声がありました。ところが新政権は、これら要の部分でそれを実行せず、逆に政策を180度転換し、国民を裏切ったわけです。いま、この裏切りに対する国民の怒り、同時に何でもかんでも足を引っ張る一部野党の見苦しい姿に、怒りを通り越した落胆、政治不信が広がっています。

いま、国民が求めているのはマニフェストの撤回ではありません。国民への約束を実施せよということです。私は、国民のいのちと暮らしを守るという立場でマニフェストを実施すること、それができないのであれば解散総選挙をおこなって信を問うべきだという立場から、本意見書案に反対するものです。

もちろん民主党マニフェストに全面賛成という立場ではありません。国民との矛盾は正していく、そのためにおこなうのが国会での議論であり、国民運動だと思いますし、それは県議会も同様だと思います。

 

最後に、議会改革について、日本共産党は政務調査費の1円以上からの公表、議員歳費のさらなる削減など、できることを直ちに実行することを求める立場であります。

以上述べましたように、福祉の充実で暮らしを良くし、仕事と雇用をふやし地域を元気にする政治をめざし、討論を終わります。