2011年2月定例県議会


武田英夫議員 質問、答弁
森脇議員の討論



武田英夫議員 質問、答弁

 

通告に従い、質問します。

 まずは、JX日鉱日石エネルギー(株)水島製油所による「ばいじん濃度データ偽装事件」について環境文化部長に伺います。

 今回の事件は、JXが31年も前の1980年2月以降、ばいじん濃度の測定を行っていないにも係わらずこれを実施したように記録していたもので、これは大気汚染防止法ならびに公害防止協定への明白な違反行為です。

問題は、31年の長期間というだけでなく、1996年の倉敷公害訴訟の和解成立後15年間も続いていたことであり、「協働して環境改善に向かおう」という企業と住民の信頼関係を根本から踏みにじるものです。

さらに、問題があります。私は、2月25日、JXに出向き、1980年1月30日付の「排ガス中のダスト濃度測定方法の簡素化の基準」をこの目で確認しましたが、そこには「簡素化の理由」として「ガスの燃焼に伴うばいじん濃度については、排出基準値と排出濃度の間に十分余裕がある」という理由とともに、「高所にあり、測定作業を安全かつ容易に行うことが困難である」との理由が付されていました。

私の「目視に比べて検査は人員が必要か」との質問に、水島製油所長は「人手と時間がかかる」と答えていますが、それは「人員と経費の削減」が、法違反の動機であったことを示すものと言えるのではないでしょうか。県の担当者もこの指示文書を確認していると思いますので、その表現の有無も含めて部長の見解を伺うものです。

また、31年の間、この事実を見抜けなかったのは、「県行政の怠慢」以外の何者でもないと考えます。特に、大気汚染防止法の権限が倉敷市に移管されるまでの間、法に基づき検査する権限を持っているにも係わらず、法違反を見抜けなかったことは厳しく反省すべきです。県の今後の環境行政にどう生かしていくのかという立場から、今後の対応を明確に示していただきたいと思いますが、いかがでしょうか。また、今回の反省点も併せてお示し下さい。

  さて、日本共産党は来年度の予算編成にあたり「暮らしと地方自治、地方経済をたてなおすための『四つの転換』」を提案しています。

その第1は「福祉と暮らし最優先への転換」で、国保料の引き下げや介護保険制度の改善など、第2は「地域に根ざした産業振興への転換」で、雇用の確保や住宅リフォーム制度など、第3は、「TPP反対、農林漁業再生への転換」、そして第4は「住民の声の届く議会への転換」で、議員報酬の更なる削減と政務調査費の1円以上の領収書公開と額の半減などで約2億円の節減を提案しています。

 本日は、時間の関係で、その中から「住宅リフォーム助成制度」と「TPP」の二つに絞って知事に伺います。

まず、ある報道では、今年の1月31日現在、全国で29都道府県の178自治体へと急速に広がっている「住宅リフォーム助成制度」ですが、この問題は、我が党の森脇県議が昨年の9月議会、11月議会で取り上げてきました。その際、知事は「一定目的ということを増やしてはというお話、これは方向としては私も是とする」という答弁をされ、それは平成23年度当初予算案の中で「県産材活用の住宅リフォームへの助成」という形で実現しました。これは県下の森林・林業関係者にも喜ばれており、我が党としても敬意を表するものです。

その上で重ねて知事にお伺いしたいのは、第1は、県の住宅政策の中での「住宅リフォーム」の位置づけについてです。国の「住生活基本計画」の中でも「住宅は、都市や街並みの重要な構成要素であり・・社会的性格を有するもの」と指摘されています。また県の「住生活基本計画」でも「住宅を作っては壊す」社会から「いいものを作って、きちんと手入れして長く大切に使う」社会へと移行することが重要であるとされています。私は、この観点に立てば、「リフォーム」は県行政の重要な政策課題であり、県としても財政誘導も含めて推進をして当然だと考えますがいかがでしょうか。

第2は、「住宅リフォーム助成制度の効果」をどう認識しておられるのかということです。それは経済波及効果だけではありません。住宅リフォーム助成制度は、「家が古くなっても引っ越しせずに定住する政策」であり、「リサイクルという点で環境にやさしいエコ政策」であり、「巨額な資金を要する新築に比べて気軽な消費喚起政策」であり、「地元工務店への仕事と雇用創出政策」であり、ひいては「自治体の税財源の増加と地域再投資につながる循環型経済政策」でもあります。いかがでしょうか。

そこで私は、@県が国の交付金を受けるために策定しており、昨年9月に改定した「地域住宅計画」に「住宅リフォーム事業」を位置づけ、住宅リフォームの政策目的を明確にすること、A財源として国の社会資本整備総合交付金事業を活用する方策を検討することを提案しますが、知事、いかがでしょうか。

  なお、国の財政措置を活用する問題との関連で、総務部長に伺っておきます。来年度予算の収支がプラスの予測とは言え、予算規模は2年ぶりのマイナスになるなど、依然として厳しい財政状況のなか、国から景気対策等で交付される交付金を積みたてた「基金」をいかに有効に使うかが、肝心だと考えます。その総額はこの3月末段階で、19基金435億円と聞いています。地方にとって効果の高い事業を展開できるよう、国への制度改善の要望も含めて財政当局の考えをお聞きしておきたいと思います。



次は、TPPの問題です。

TPPに対して、JAを中心に多くの団体が集会やデモ行進など「参加阻止」の旗を高く掲げた運動を展開していることはご存じの通りですが、日本医師会でも「TPP反対」の声を挙げています。

日本医師会は、TPPは日本に自由価格の医療市場を迫っている外国資本の狙いに沿ったものであり、「混合診療の全面解禁」「医療ツーリズム」「株式会社参入」「外国人医師」はその象徴である、と指摘し、「日本医師会は全力を挙げて国民皆保険を守る」と明確な態度を表明しています。

そもそもTPPは24の作業部会で作業が進められており、農業・工業分野にとどまらず、労働、安全、医療まで様々な分野で人・金・物の自由化をすすめるものであり、県民生活の幅広い分野に影響を与えるものです。

知事は、この日本医師会の見解をどう評価されるのでしょうか、お伺いします。私は、知事がTPPに関して、こうした多面的な分野からも「参入阻止」の立場を明確にされることを強く望むものです。



さて私は県議生活20年となり、この度、後進に道を譲って引退をすることにしました。

この間、この国の格差と貧困の広がりと地域社会の崩壊は目を覆うものがありますが、問題は、そうした事態に対して、地方自治体が「国の悪政から住民の暮らしと地方自治を守る」という本来の役割を果たしてきたかどうか」が問われていると思います。

その点では、20年間の自らの非力さを反省しながら、この際、どうしても言っておかねばならないいくつかの問題について指摘させていただきたいと思います。

その第1は、岡山県が誇る「モノづくり技術の支援」を一層強化する問題です。

その点で特に、「公設試験研究機関」の位置づけを高めることを求めておきたいと思います。

工業技術センターや農林水産総合センターなど本県の公設試験研究機関が、冠動脈用のステントの製品化など様々な研究成果をあげ、地元中小企業・地場産業、農林水産業の発展に大きく寄与していることはご存知のことと思います。

また環境保健センターが環境対策や新型インフル対策など危機管理にも大きな役割を果たしていることはいうまでもありません。

私はこの間、「公設試験研究機関の応援団」を自負してきましたが、そこで感じた大事なことは、この公設試験研究機関の現場に本県産業発展の豊富な知恵と政策の原点が蓄えられているということです。

公設試験研究機関の位置づけを高め、その知恵と政策の原点を組み尽くすことを、今後の県政の中期行動計画策定の任に当たることとなる総合政策局長に求めておきますが、いかがでしょうか。

また、モノづくり支援のもう一つは、中小製造業の「固定費補助」に踏み出すことです。仕事がなくても支払いを続けなくてはならない固定費(リース料、工場家賃、電気基本料など)は中小製造業者に重く負担となっており、その固定費への支援は緊急不可欠となっています。

昨年6月議会の私の質問に答えて、産業労働部では、リース代の支払いに困る中小企業に対して、リース業者の対応を求める国の通知を徹底する措置を講じられました。

その後、京都府では「リース料を補助する」新しい制度を実現するなど、「固定費補助」の制度をスタートさせています。私は、岡山県としても「固定費補助」に踏み出すよう求めるものですが、産業労働部長、いかがでしょうか。

指摘しておきたい二つ目は、県単独の障害者医療費公費負担制度の問題です。

岡山県の心身障害者医療費公費負担制度が「全国最低水準」と指摘しているのは、我が党だけではなく、多くの障害のある人からも指摘されているところですし、本議会でも多くの会派から指摘されているところですが、私が知事に伺いたいのは、その理由を認識しておられるのかどうか、ということなのです。

この制度を判断する基準は、@対象要件、A所得制限、B自己負担、C年齢制限、の4点をあげることが出来ます。

その一つ一つを近県と比べると、@「障害のある人の対象」が「広島県は3級まで」と比べて岡山県は2級まで」と狭く、A「所得制限(補助をもらえる範囲)」も「香川県の特別障害者手当て360万円」に比して「老齢福祉年金適用(年間159万円)」と極めて低く、B「自己負担額」は広島県が「1医療機関ごとに1日200円」にもかかわらず、岡山県は「低所得者対策や上限額設定などを講じているとはいえ1割負担」で負担が重く、C「新規65歳は除外」という「年齢制限」は中国地方では岡山県のみ・・・どれをとっても最悪水準の制度です。

その上に、全国に例のない厳しい「所得区分」を設け、障害のある人個人でなく「世帯収入」全体を範囲にして負担を求めるに至っては、「よくもここまで悪い制度を集めたな」と関係者から悲鳴と怒りが集まっているのは当然です。

知事、これをどう認識されるのでしょうか。事態を直視し、明確にお答えいただきたいと思います。

指摘しておきたい三つ目は、苫田ダムに関してですが、「10万dの水余りとそれへの毎年6億円の税金投入問題」、「吉井川下流の海苔の色落ちと赤潮発生」問題などは、昨年の6月議会で指摘させていただきましたので、今回は「治水」問題に絞って質問します。

「国や県に反対するものは絶対に許さない」とした長野県政の権力的な行政圧迫に対して敢然と対峙し、全国のダム建設反対運動でも史上最大最強といわれた苫田ダム阻止同盟の戦いは、私が今日の政治活動を始めるに至った原点でもあります。

また、吉井川最下流の西大寺で吉井川の堤防のすぐ傍で生まれ育ち、今も吉井川に生業を求める人々と共に暮らす私にとっては、苫田ダムと吉井川の問題は私の今後の人生のライフワークでもあります。

そして何よりも苫田ダム問題は、チボリ・吉備高原都市問題と並んで、県政の根本を振り返り、明日への教訓を導き出す上で大切な問題を孕んでいます。

そうした立場から、私は京都を中心にダム問題に取り組む「国土問題研究会」に「苫田ダム完成5年の検証」の委託研究をしていましたが、この度、その結果がほぼまとまり、今月中旬に研究成果の発表の運びとなっています。

 本日は、その研究に参加しながら考えた「苫田ダムの治水問題に関する私の考え」を示し、土木部長の見解を伺いたいと思います。

苫田ダムの集水面積は吉井川の全流域面積の10分の1しかありません。苫田ダムの集水面積内に雨が降った場合に限り、しかも鏡野町や津山市に対していくらかの治水効果は認められるでしょうが、ダムより下流に雨が降った場合や、一昨年の美作市の豪雨災害のように吉野川流域に雨が降った場合には、その治水効果は疑わしいものです。

さらに、吉井川は苫田ダムから河口まで90キロと長く、西大寺などへの治水効果は極めて低いといわざるをえません。

私は吉井川の治水にとって実際に大事なことは、@苫田ダムの治水効果の限界を明確にし、A河川の流れ、湾曲、支流との合流など実態にそって各箇所の治水対策を、Bハード・ソフトの両面から講じることだと考えますが、いかがでしょうか。

あわせて、岡山県の気象の特性とその最近の変化に対応することも、一昨年の美作市の豪雨災害の教訓から大切かと考えます。

岡山県は、全国屈指の「雨の少ない県」であることは確かですが、局地的な強雨の発生頻度が高くなっているのも確かです。その点からも、「巨大ダムに頼る治水」を一刻も早く脱却し、局地局地の治水対策を進めることが求められていると思いますが、いかがでしょうか。

県議20年を終えるに当たり、最近の出来事で忘れることが出来ないのは、「消防防災ヘリコプター」の導入問題です。

消防防災ヘリコプターの導入は、かねてから我が党も主張してきたことなのですが、その導入に当たっては、その時期、機種、購入の費用、購入後の運用と維持管理、岡山県下と近県のヘリコプターとの共同運航まで視野に入れた様々な検討がなされる必要がありました。

ところが、3年前の岡山県の消防防災ヘリコプターの導入は、それらの検討よりも、「初めにベルありき」といった異常なものでした。入札に際して「契約した年度内に納入」という仕様書に変更された結果、有力機種の一つだった川崎BKが入札から外れ、一方「年度内納入」を約束し落札した三井物産エアロスペース社が契約したのですが、契約後にベルが「納期に間に合わない」ことが判明したのです。しかし、その後の私の調査では、契約時にはベルの機体はカナダの工場にて製造中で、納期に間に合わないことが最初から判っていたのでした。

さらに別の問題が起きます。3年前の6月議会で私が「ヘリコプターは7つの災害拠点病院のうち3つしか着陸できない」と質問したのに対して、当時の担当部長の堀井氏は「倉敷中央病院は倉敷スポーツ公園の活用を検討している」と応え、議場の失笑を買ったのを覚えていますが、県が購入したベルは、大きくて重いので、病院の屋上やその付近のヘリポートに着陸できる場所が少ないのです。

そのことはヘリ購入の事前検討の際から判っていたことであり、ベルの購入に伴う運航の困難さの議論も、「はじめにベルありき」で乱暴に抑えられたのでした。

以上は私の私見ですが、決して勝手な想像ではなく、各方面の調査の結論であることも申し添えておきますが、ここで私が問題にしたいのは、こうした経緯への疑義ではなく、このヘリコプターの議論が、どのような時期に行われていたかということなのです。

当時は「行財政構造改革2008」の議論の真っ最中で、今話題の県立児童館の廃止など県民サービスの削減や県庁職員の給与カットなどで県庁内外が大きく揺れ動き、知事の退職金まで吹き飛ばす議論がおきていた時でした。何故このような時に、巨費を投じた巨大なヘリコプターが爆音を立てて飛び立つことが出来たのか・・県庁幹部内でなぜキチンと議論出来なかったのか、議会のチェック機能はどうだったのか・・・お互い厳しく問いただす必要があると思うのです。それは少なくない県民と県庁職員が、今でも求めていることなのです。

  さて、こうした経緯のあるヘリコプターでも、購入した以上は効果的な運用を図らねばなりません。現在県の担当課を先頭に「消防防災ヘリコプターの効果的な運用」の検討が進められています。私は、先ほど指摘したように、ベルという機種のため「効果的な運航」が困難な面があると思うのですが、一方では、知恵を絞り最大限の効果を挙げることを願っている一人でもあります。その点での取り組み状況を危機管理監に伺って、ヘリコプターの質問を終わりたいと思います。



さて、質問の最後は人権と平和の問題に関して、担当部長に伺います。

ちょうど今から6年前、私はジュネーブの国連本部で開催された「子どもの権利条約」第2回日本政府報告検討会議に参加してきました。その際に学んだことは、人権問題の議論の際には、こうした国際的な到達を踏まえた議論と施策が必要だということでした。

  本県は、「第3次岡山県人権政策推進指針」と、「第3次おかやまウィズプラン」を策定しましたが、子どもの権利条約に関しては昨年の「第3回定期報告に関する最終見解」や男女共同参画に関しては昨年の国連婦人の地位委員会「北京+15」記念会合の成果などの高いレベルの到達を今後の取組の中で生かすことが肝心だと考えます。いかがでしょうか。

  さらに人権問題に関連して二点、強調しておきます。

一つはハンセン病問題です。現在、長島愛生園、邑久光明園の将来構想をめぐって関係者の意見の調整が行われています。その議論を聞いていて私が思うのは、何よりも現在の入所者の意向を最大限に尊重することを疎かにしてはならないということです。平均年齢が80歳を越す元患者の皆さんの一人ひとりの名誉を回復し、人生の最期まで地域社会から孤立することなく、安心して豊かな生活を営むことができるように配慮することが「ハンセン病問題基本法」の精神だと考えます。そのための医療・介護の体制の確立を国に要望することを含めて県当局の見解を伺います。

もう一つは、同和問題の特別扱いの見直しに関してですが、全国よりいち早く特別措置を終了し、今回の指針でも同和問題の位置づけをそれなりに正確にしたことは評価するものです。今後も県は「行政としての主体性」をもって、この問題に臨むことを求めておくものですが、いかがでしょうか。

最後は、日本原演習場に関してです。この20年間、日本原演習場の最大の変化は、日米地位協定第2条4項(b)に指定され、危険な日米共同訓練の場とされたことです。それ以降、日本原では「訓練開始時間の無視」、「通報にない戦車の使用」など「演習場使用協定」と「従来の慣行」を無視した訓練が繰り返されています。

それに対して県当局は、「協定遵守」の立場を明確にして対処されてきましたが、私は今後もこの立場を堅持するよう求めておくものです。危機管理監いかがでしょうか。

以上で質問を終わります。



答弁

(環境文化部長答弁)

 測定作業簡素化についてであるが、先日、職員が立入検査を行った際に、昭和55年1月30日に事業所が作成した測定方法の簡素化基準の存在を確認しており、簡素化適用の対象となる施設として「排出基準値と排出濃度の間に十分な余裕がある。」、「測定場所が高所にあり、測定作業を安全かつ容易に行うことが、困難である。」等を基準とするとの記載があった。

この測定方法の簡素化基準の作成が、人員と経費の削減を目的に行われたかどうかは判断できないが、法令を遵守するという意識を著しく欠いた行為であり、誠に遺憾である。

今後の対応等についてであるが、県が毎年立入検査を実施していたにもかかわらず、偽装を見抜けず、結果的に長年にわたる法令違反の状況を見過ごしたことを大変申し訳なく思っている。 現在、倉敷市内の事業所に係る各種環境法令の権限は、全て倉敷市の所管となっているが、水島コンビナート内の7社について、県は倉敷市とともに締結している三者協定に基づき立入検査を実施しているが、これまでは関係書類によるデータの確認作業が中心であった点を踏まえ、今後は、測定作業の手順の確認や測定結果のクロスチェックなどを行いたいと考えている。

 企業においても環境への配慮やコンプライアンスが何よりも求められる時代にあって、二度と今回のような法令違反が引き起こされることのないよう県内事業者に対し、環境関係法令の順守についての指導を徹底してまいりたい。

(知事答弁)

位置づけについてであるが、住宅ストックが量的に充足する中で、質の改善を図るための住宅リフォームの促進が重要であると考えている。

 このため、県民が安心して適切なリフォームを行えるよう、19年8月に県と住宅関係団体等で構成する岡山県住宅リフォーム推進協議会を設置し、リフォームに関する相談に応じるとともに、耐震化など一定の行政目的にかなうものについては補助制度を設けるなど、リフォームの促進に努めているところである。

 助成の効果についてであるが、住宅リフォームは、経済波及効果だけでなく、環境面の効果などもあると承知しているが、リフォームへの助成については、様々な意見があることから、耐震化など一定の行政目的にかなうものに限って実施しているところであるので、ご理解賜りたい。

政策目的の明確化等についてであるが、本県では、耐震改修について社会資本整備総合交付金を活用しているところであり、現時点では、耐震改修以外の住宅リフォームを地域住宅計画に位置づけ、社会資本整備総合交付金を活用することは考えていない。 しかしながら、他県では、地域住宅計画に県産材を活用したリフォームを位置づけている事例も見受けられることから、今後、一定め行政目的にかなうリフォームを地域住宅計画に位置づけるかどうか検討してまいりたい。

(総務部長答弁)

景気対策等の基金についてであるが、県では、国からの交付金を財源とした基金を活用し、これまで約298億円の事業を実施してきており、来年度は、緊急雇用創出事業や介護基盤整備をはじめ約282億円の事業を、市町村等とも連携しながら実施することとしている。

 制度改善については、これまでも、できる限り地方の自由度が高い制度とするよう国に要望してきたところであり、緊急雇用創出臨時特例基金や安心こども基金など一部の基金では、対象事業の拡大や事業期間の延長が実現したが、今後とも、知事会等とも連携し、国に対して、制度改善等を主張してまいりたい。  

(知事答弁)

TPP問題についてであるが、TPPへの参加により、我が国の医療制度が、日本医師会の見解のような影響を受けるかどうかは不明であるが、海外からの医療の専門職種を含む人の移動の自由化などにより、医療分野でも少なからず影響があると認識している。 なお、このような極めて重大な政策方針については、参加することの有用性や影響を具体的に明らかにした上で議論を尽くし、国において決定すべきであり、県としては、国の動向を十分注視してまいりたい。

(総合政策局長答弁)

 公設試験研究機関についてであるが、地元中小企業や農業生産者等のニーズを的確に踏まえ、実用化に向けた様々な研究開発や技術指導、各種試験検査の実施など、地域に密着した取組が進められてきたところであり、お話のステント等の医療機器開発をはじめ、おかやま夢白桃等の新品種の開発、環境汚染化学物質の分析技術の開発など、その後の施策展開や対策に生かされた成果も生まれている。経済のグローバル化や地球温暖化の進展など、社会経済環境が大きく変化する中で、地域産業を活性化し、地域間競争を勝ち抜いていくためには、何よりも新たな研究開発や技術革新を進めていく必要があり、その拠点としてまた産学官をつなぐコーディネーターとして、公設試験研究機関の役割はますます重要になると考えられる。

 このような観点から、各部局に対し各公設試験研究機関の研究成果やノウハウを踏まえた具体的な施策の提案を求め、次期中期行動計画の素案作りに反映してまいりたい。

(産業労働部長答弁)

 固定費補助についてであるが、本県では、単県融資制度の中で、金融機関や信用保証協会に補助することにより、固定費への充当を含む運転資金の融資利率や保証料率を引き下げ、企業負担の軽減を図っている。さらに、信用保証協会では、今年4月から、小規模企業者の経営安定のため、保証料率の小規模企業割引を実施することとしている。

 県としては、お話の固定費補助については考えていないが、信用保証協会等と連携し、引き続き、県内中小企業を支援してまいりたい。

(知事答弁) 

単県医療費公費負担制度についてであるが、この制度は、国の医療保険制度等を各都道府県が独自に補完しているものであり、本県においては、給付と負担の公平化を図り、障害のある人も含めて社会全体で支え合い、持続可能な制度とするという観点で、運営しているものである。

 お話のように、本県の制度が他県と比較して厳しいと指摘される部分があることは認識しているが、例えば、負担限度額については、本県のように何回受診しても月単位の額が変わらない県もあれば、受診回数に応じて額が増える県もあるほか、支払方法も、本県のように原則現物給付としている県もあれば、償還給付で対応している県もあるなど、給付対象や給付水準、支払方法などが異なるため、一概に比較することは難しいと考えている。

(土木部長答弁)

治水効果等についてであるが、吉井川流域における過去の大規模な浸水災害は梅雨前線と台風による大雨が原因であり、こうした広域かつ大規模な豪雨災害を防止するためには、河川改修とともに苫田ダムによる洪水調節が不可欠であり、過去の降雨パターンを踏まえると大きな効果があるものと考えている。

 また、苫田ダムの効果を十分に発現させるため、中下流域において計画的に河川改修を推進するとともに、洪水ハザードマップ作成を支援する等ソフト対策の充実にも取り組んでいるところである。今後とも、国及び流域の市町と連携し、ハード・ソフト両面から総合的な治水対策を推進してまいりたい。

 巨大ダムに頼る治水からの脱却等についてであるが、広域かつ大規模な豪雨災害に対してはダムの効果は大きいものと考えているが、近年増加している局所的な豪雨災害への対応も重要と考えており、河川改修事業に加えて本年度からふるさとの川リフレッシュ事業により局所的な流下能力の向上に取り組んでいるところである。

 また、局所的な豪雨災害においては住民へのハザードマップの周知や迅速な避難情報の提供等がより重要となることから、こうしたソフト対策の充実にも取り組んでいるところであり、今後とも、豪雨災害対策をハード・ソフト両面から総合的に推進してまいりたい。

(危機管理監答弁)

消防防災ヘリコプターについてであるが、これまで多様な消防防災時潮の成果を上げてきているが、より一層の活用を図ることが重要と考えている。

 このため、まずは、消防本部や医療機関等との合同訓練や協議を重ね、連携強化に努めることとしており、特に、岡山市消防ヘリやドクターヘリとは、それぞれの目的や機種の特性を踏まえ、さらに有効な連携が図られるよう工夫してまいりたい。

 また、活動基盤の強化を目指し、県民の方からのふるさと岡山応援寄附金を活用して県北部に燃料を備蓄する事業に年度内に着手し、県北部での活動の円滑化を図ってまいりたい。

 さらに、昨日締結した中国五県相互応援協定による広域連携の推進や多くの課題がある夜間運航の研究など様々な取組を行い、消防防災ヘリが最大限の効果を上げるよう努めてまいりたい。

(県民生活部長答弁)

第3次岡山県人権政策推進指針等についてであるが、人権施策の推進に当たっては、お話のような国際的な動向やそれに基づく国の対応などを踏まえた取組が必要だと考えている。

 今後とも、こうした視点に立って、子どもの虐待防止対策の推進、女性の経済的地位の向上や政策・方針決定過程への参画促進など、すべての人々の人権が尊重される「共生社会おかやま」の実現に向け取り組んでまいりたい。

(保健福祉部長答弁)

 ハンセン病問題についてであるが、長島愛生園、邑久光明園の将来構想については、現在、県も参加する「ハンセン病療養所の将来構想をすすめる会・岡山」において、入所者の意向や想いを最大限反映したものとなるよう、協議しているところであり、医療・介護の充実やハンセン病問題の、啓発などが盛り込まれる予定である。

 県としては、入所者が、地域から孤立することなく、安心して生活できるよう、引き続き、ハンセン病問題の啓発に取り組むとともに、ハンセン病問題基本法に基づく国の責務を果たすよう、国に要望してまいりたい。

(県民生活部長答弁)

 同和問題についてであるが、県では、これまでもその解決に向けて各種施策を推進し、様々な面で存在していた格差は改善され、県民の同和問題への理解も進むなど、着実な進展が見られたところである。

 一方で、差別意識の解消やえせ同和行為の排除などの課題もあることから、今後とも第3次指針に基づき、国、市町村、関係機関等と連携し、啓発や教育の推進などに取り組んでまいりたい。

(危機管理監答弁)

 日本原演習場についてであるが、同演習場での日米共同訓練に際しては、これまで国に対して、演習場使用協定を遵守し、地元の十分な理解を得るとともに、不安と迷惑を及ぼすことのないよう、機会ある毎に申し入れてきたところである。

 今後とも、住民生活の安全が確保され、生活環境が守られるべきであるという基本的な考え方や、地元の意向を尊重する立場で適切に対処してまいりたい。

(武田議員の再質問)

 知事からはお別れの挨拶をいただいたわけですけれども、それに臆することなく、ご期待のように舌鋒鋭く再質問をさせていただきたいと思います。

 まず、JXの問題ですけれども、今回のJXの問題で、一番の問題なのは、先程部長も紹介をされたその指示文書ですね、指示文書というものに非常に大きな問題があると思うわけです。私も25日に会社に行って指示文書を見たわけですけれども、その中にはやはり先程言われたそういう条件の中に、そういう条件でもやはり全部目視でいいとは書いていない、年に1回はちゃんと検査をしろという風な表現もあったと思いますし、それからまた、その文書の中に、目視をして数字を書けと書いているわけですよ、いいですか、目視をして数字を書けと。その数字の際には、検査の場合はそのままだけれども、目視の場合は括弧をつけろと、検査と目視とは区別をつけるように。だから、そういう文書、表現があったと思うんですよね。その文書の存在そのものが、より大きな問題なんで、そういう事実は県も確認をされていると思いますので、もう一度そのことも含めて、お答えいただきたいのがひとつです。

 それから二つ目に、住宅リフォームの問題ですけれども、一定の検討というふうに知事言われたわけですが、リフォームの位置付けとか評価とか効果について、やはり若干意見の違いがあろうかと思います。その際に知事がおっしゃった、この住生活基本計画なりですね、それに基く地域住宅計画の中にある相談事業ですけれども、私の認識で相談事業というのは、リフォームというのはそれに変な業者が入ってきてやると、年寄りを騙すとかですね、そういうことがあるので、そういう相談が主であって、リフォームを促進していくような相談というよりむしろ困りごと相談の方が主な側面だと、私は認識をしているわけで、むしろリフォームの促進のためには、やはり財政誘導も含めた具体的な手当を取っていかないと駄目ではないかと、いうふうに思うので、そのあたりもう一回知事の見解をお伺いしておきたいというふうに思っています。

 それからダムの問題ですけれども、先程この地図で紹介しましたけれども、例えば、部長おっしゃるようにですね、苫田ダムの効果というもの、われわれは全くゼロとはいいません、できたわけですから。しかし例えば平成10年のときには津山が浸水した、それに対して苫田ダムというのは6割位の効果だというふうに国交省も言ってますね。6割なんです、津山で6割なんですよね。じゃあ例えばそのときに大きな被害を受けた、いわゆる周匝、福田地域です。福田はどれだけの効果があったのかという検討が要ると思うんですよ。私に言わせれば、この周匝、福田の地域は、吉野川から水が入り、こちら高田川からぐっと水が入り、しかもその下が稲蒔のところでこう湾曲しているわけですよ。支流が入り、湾曲しているという地形というものをしっかり把握せずに、ダムができたからそれでなんとかあれこれ手を打てばいいということにはならないと思うんです。その意味で言うと、私は福田地域、周匝地域の場合には苫田ダムの効果というのは、平成10年の場合のシュミレーションをしても、ぐうっと下がってくると思うんですよ。そこのところを議論しないとやはり駄目ではないかというのが私の見解ですし、こういう具体的な問題として、具体例ですので、すぐお答えになれないかもしれないけれども、言いたいのはそういう局部、局部できちっとそこの治水どうするか議論をしないと、苫田ダムがあるから福田はもうああいうことおきませんよというふうにはならないと思うんですね。そこの議論をちゃんとすべきだと私は思うんですが、いかがでしょうか。

 最後にTPPですけれども、知事は医師会の言うことも全部が全部はそうではないとおっしゃるんですが、しかし、これも手元に配っていると思うんですが、TPPはこういう大変な状況があります。だから単に農業だけではなしにですね、しかも国の文書を見ましたらですね、ご存知の方もあると思いますが、フライドポテトの大腸菌、日本の検査が邪魔だと、いいですか、フライドポテトの大腸菌がついているのを日本が厳しく検査するからそういうのを取っ払えというのが入っているわけですよ。こういうことまでね認めていいのかと、というのを私は思うし、その意味で言うと知事のやっぱりTPPの認識は少しですね、やはりまだ甘いんではないかと思うので、よければ最後にもう一度答弁いただきたいと思います。以上です。



再質問への答弁

  知事の答弁

 武田議員の再質問にお答えいたします。

住宅リフォーム関係であります、他県では地域住宅計画に県産材を活用した住宅リフォームを位置付けている例、こういう事例も見受けられるようになっているといったようなことから、今後多くの県民の皆様、議会の皆様方のご理解得られるような、そういうようなものがあるのかどうか議論をこれからしていく必要があると思いますが、財政的な誘導というお話がございましたが、もちろんそういったものも含め、一定の行政目的に適う住宅リフォームの地域住宅計画への位置づけ、これにつきまして検討していきたいと、こういう趣旨でございます。

それからTPPの問題で、認識が甘いのではないかとのお話でございましたが、もちろん私も重大な関心を持っておりまして、このTPPの内容いかんによっては、大変大きな影響が県政各般に及ぼうとしてくるものと、このように考えてはおりますが、ただご案内のとおり、まだ現段階ではTPPの詳細、これが不明でございます。とりわけ、ご質問いただきました医療分野で見てもですね、ご質問にございました皆保険に対する影響、こういったこともございましたが、これがどの程度影響があるのか、こういったことを現時点で判断をするということは困難であると、このように思っているところでありまして、そういった立場で今後、情報収集あるいは影響の把握ということに努めていかなければいけないと、このように考えているところでございます。影響等につきましては、大変大きな影響があり得るんだということで全庁的にこれからも検討を進めてまいりたいと、このように思っております。以上でございます。

環境文化部長の答弁

再質問にお答えをいたします。事業者が作成をいたしました簡素化基準の中には、職員が確認をしたものでございますけれども、目視、年に1回以上は実地の測定を行い、残りは目視方法によることができるとされておりまして、また、実測をした場合と区別するために、括弧を付記するという記述があったということを確認をしております。職員が立ち入り調査を行いました折に、確認をいたしましたところ、少なくとも過去3年間は簡素化基準に定められた実測を行っていなかった との回答がございまして、事業者自ら定めた簡素化基準を守られていなかったものでございます。目視の場合の括弧の付記の有無につきましては、職員にまだ確認をできておりませんけれども、今申し上げましたように、簡素化基準そのものも守られていなかったということでございます。以上でございます。

土木部長の答弁

 再質問にお答え申し上げます。局所、局所での議論というのがもっと必要なのではないかというご指摘でございますけれども、ダム事業におきましては、議員ご承知のとおり、河川改修一緒にやることで治水効果を生み出すということでございまして、まずは河川改修が完了しておりませんので、河川改修のほうを順次進めていく必要があると考えていますが、確かに、局所、局所できめ細かなシュミレーションをやり、しっかりした検討をすることは必要であるという認識はしております。そのため、局所的に対応が緊急に必要な場合にはですね、やはりふるさとの川リフレッシュ事業も活用して、今後対応していきたいというふうに考えております。以上でございます。

武田議員の再々質問

 JXですけども、部長が明快に、明確に答弁されたように、指示書そのものが法律違反なんです。同時にその指示書も守ってなかったということなんですよ。指示書そのものが法律違反なんだけども、その指示書には、年に1回は検査しろと、それから検査の時には、例えば0.00か0.001と書くと、目視の場合には括弧を付けて書くと、だから検査と目視を分けて書くようになっていたわけです、指示書は。それも守ってなかったというわけですから、事は非常に重大なんですよ。私ども公害問題というのは、私の大先輩である栗本たいじさんという大先輩、ご存知の方もあろうかと思いますけれども、「公害退治の栗本たいじ」という異名をとってですね、公害問題で頑張ってきた、特にわが党県議団、それを歴史としているわけです、伝統としているわけです。しかも公害闘争の大きな焦点は何かというと、企業の発表する数字を信頼する、これが公害闘争今の到達なんですよ、それでお互い信頼関係で、それを踏みにじったわけですから、今回のJXの問題は非常に大きいというふうに思っています。是非ともですね、しかもそれを見抜けなかった県の責任というのは、部長も反省をしておられますが、全くそのとおりだと思いますので、重大な警告として今後の教訓にしていただきたいというふうに思います。

 リフォームの問題は、知事も一定の検討というふうに言われました。国の国交省の動きなどをみますと、早く社会資本交付金の具体化を急げという通知もきております。是非その意味でも検討を早くしていただいて、一定の前向きに進むようにお願いをしておきたいと思いますし、またダムの問題も、部長おっしゃったように、私は吉井川に住んでもう吉井川から上斎原まで、この一生のうちもう千回近く行ったり来たりしているものとして、吉井川の形状をよく熟知しております。やはり、その形状とか雨の降り方をしっかり踏まえた治水対策というものを講じていただきたいということをお願いしておきたいと思いますし、あとその他触れたいこともたくさんありますけれども、質問を要望とご理解いただいて、今後の検討をお願いしたいと思います。

 先程知事からもお言葉いただきましたけれども、本議会をもちまして、20年の県議生活を引退させていただきます。本当にありがとうございました。私はやはり地方自治体というのは、二元代表制が一番大事だと思います。憲法は、国の場合においては国会が最高の機関として、議員内閣制をとっています。地方の場合は、むしろ住民が知事と議会両方選ぶという、いわゆる二元代表制をとっている。国と地方の違いをつくったところも憲法の大事な点だと思っております。その二元代表制のひとつの柱として、岡山県議会がさらに前進されるように、期待をしておりますし、またいろいろご協力、またご指導いただいた執行部の皆さん方にも御礼を申し上げて、私の最後の質問を終わらせていただきたいと思います。ありがとうございました。

森脇議員の討論

 

2011年3月16日 森脇久紀



日本共産党の森脇ひさきでございます。

この場をお借りいたしまして、東日本大震災で被災された方々に心からの哀悼とお見舞いを申し上げます。地震、津波による甚大で広範囲な被害に加え、原発からの放射能発散が住民をさらなる危険にさらしています。余震が続くなか被災された方々の救援にあたっておられる方々に、また義援金や物資の提供など、県民のみなさんの様々な支援に敬意を表したいと思います。

さて、私は今議会に提出された議案5件、陳情6件、発議4件について、委員長報告の通り決することに反対し、主なものについてその理由を述べます。

まず議第1号、平成23年度一般会計予算についてです。予算には県民要求にもとづいて私どもも要望してきた、たとえば発達障害児への支援、DV被害者民間シェルターへの支援、高校生や若者の就職支援体制の充実、県産材を活用した住宅改修への補助、県立児童会館の改修、そして高等学校校舎耐震化の前倒し実施などが含まれており、これらについては歓迎するものです。一方、税収確保対策として、駐車料の有料化、県施設使用料の値上げ、職員の給与カットなど県民や県職員に負担を強いていること、施策の面では、低所得者への配慮はされたものの、なお全国最悪の重度障害者医療費補助制度の改善がみられないこと、中学校一年生全員を対象にし、子どもを競争に追い立てかねない全県いっせい学力テスト、苫田ダム建設にともなう広域水道企業団の「余り水」分への立て替え払いなど、県民の立場からみて納得できない内容が含まれています。したがって、議第1号には反対するものです。

また、議第22号、広域水道企業団への出資には、過剰な水需要予測のもとに建設した苫田ダムの「余り水」分への支出が含まれています。昨年6月議会でわが党の武田議員は、この「余り水」分を「治水など他の目的に振り替えること」「国への買い上げを求めること」など提案しましたが、「ムダ遣いをやめてほしい」という県民の声にてらせば、知恵をつくして一刻も早くこの問題を解決することが求められており、これについても反対するものです。

また、議第41号、岡山テルサ条例の一部を改正する条例ですが、岡山テルサを早島町へ譲渡することについて、早島町内には施設の必要性や財政負担の面で様々な意見があります。十分な議論がされたのかどうか疑問であり、これについても反対するものです。



次に陳情について、採択を主張する立場から意見を述べたいと思います。

昨年秋から日本共産党がとりくんだ「暮らし」のアンケートでは、「暮らしが悪くなった」と回答された方が75%にのぼりました。その原因は、回答率の高い順に、年金が減った、医療や介護の負担が増えた、収入が減ったなどでした。これらはいずれも個人の努力だけでは解決できない問題です。従っていま、暮らしを良くする方向に政治の流れを変えることが必要です。

その第1は、社会保障の拡充です。そういう点から、医療・福祉に関する一連の陳情、さらに養護教諭の配置拡充など教育の充実を求める陳情について、いずれも緊急焦眉の課題であり採択を求めます。

とくに意見を述べておきたいのは陳情第178号、重度心身障害者医療費助成制度に関してです。先の武田県議の質問に、知事は「他県と比較して厳しいと指摘される部分があることは認識している」と答弁されました。制度の厳しさを認識しながら、改善しないというのはいかがなものでしょうか。一刻も早く、本来の福祉の精神、国連障害者の権利条約等もふまえて、制度を改善することを求めるものです。



次に、アンケートで県民が求める施策の2つめは経済対策の拡充です。この観点から、農業に関する陳情の採択を求めます。

とりわけTPP(環太平洋経済連携協定)への参加は、国内農業、食の安全はもちろん、雇用・労働、医療・福祉、安全・衛生、金融など国内のあらゆる分野に負の影響を及ぼす大問題であることが明らかになってきています。議論を尽くすことは当然ですが、ここに至っては「参入阻止」の立場を明確にすることを強く求めるものです。



次に、発議2件について、反対の立場から意見を述べたいと思います。

まず、発議第26号、「総合経済対策の策定を求める意見書案」についてです。1月15日付「朝日新聞」で日本政策投資銀行参事は「経済停滞は国際競争に負けた結果ではない。内需の縮小こそ病気だ」と述べ、「賃上げ→内需拡大→売り上げ増加という好循環を」と提案しています。日本共産党も、国民の暮らしをささえ所得を増やす経済対策を提案してきましたが、「いまこそ賃上げを」というのは立場の違いを超えた共通の願いになっています。

これを現実のものにするには、大企業に蓄えられた244兆円もの内部留保の一部を「生きたお金」として、日本経済に還流させる、国民の暮らしを守るルールづくりが必要だと考えます。その立場から本意見書案に反対するものです。



次に、発議第22号、「民主党衆議院選挙マニフェストの早期の撤回・見直しを求める意見書案」についてです。

一昨年の衆院選における国民の怒りの原因は、くらしをどんどん悪くしてきた自民党、公明党の政治にあったわけです。国民は、その是正を民主党政権に託しました。特に後期高齢者医療制度の廃止、障害者の応益負担の廃止、労働者派遣法の見直し、農業の不安の解消、米軍基地の移設、金権腐敗の根絶などは、どこへ行っても大きな期待の声がありました。ところが新政権は、これら要の部分でそれを実行せず、逆に政策を180度転換し、国民を裏切ったわけです。いま、この裏切りに対する国民の怒り、同時に何でもかんでも足を引っ張る一部野党の見苦しい姿に、怒りを通り越した落胆、政治不信が広がっています。

いま、国民が求めているのはマニフェストの撤回ではありません。国民への約束を実施せよということです。私は、国民のいのちと暮らしを守るという立場でマニフェストを実施すること、それができないのであれば解散総選挙をおこなって信を問うべきだという立場から、本意見書案に反対するものです。

もちろん民主党マニフェストに全面賛成という立場ではありません。国民との矛盾は正していく、そのためにおこなうのが国会での議論であり、国民運動だと思いますし、それは県議会も同様だと思います。



最後に、議会改革について、日本共産党は政務調査費の1円以上からの公表、議員歳費のさらなる削減など、できることを直ちに実行することを求める立場であります。

以上述べましたように、福祉の充実で暮らしを良くし、仕事と雇用をふやし地域を元気にする政治をめざし、討論を終わります。