2010年2月定例県議会

森脇ひさき県議の一般質問と答弁(要旨)
赤坂てる子県議の一般質問と答弁(要旨)
武田英夫県議の討論
議案に対する各党(会派)の態度
請願・陳情に対する各党(会派)の態度
議会報告



森脇ひさき県議の一般質問と答弁(要旨)



1.安保50年――核兵器のない世界へ

  まず、陸上自衛隊日本原演習場でおこなわれている3回目の日米共同訓練について知事にうかがいます。訓練に参加した米軍は、沖縄県に駐留する第3海兵師団戦闘攻撃大隊です。地元の方の話では、「自衛隊の演習を認めても、米軍は歓迎できない」という住民の声が、前回にも増して大きくなっているとのことです。こうした住民の思いに立って、日米地位協定2条4項Bにもとづく指定は撤回するよう国に求めるべきではないでしょうか。知事の見解をうかがいます。

  さて、いま米国には前向きな変化も生まれています。昨年4月、オバマ米大統領がチェコのプラハでおこなった「核兵器のない世界をめざす」演説は、核廃絶に向けたとりくみに大きな影響を与えています。今年は広島・長崎の被爆65周年でもあります。また5月には、5年に一度の核不拡散条約(NPT)再検討会議がニューヨークで開かれます。国を超えた市民レベルのとりくみとして、ニューヨークに世界中の反核・平和の声を結集しようと準備がすすめられています。岡山県からは原水爆禁止岡山県協議会から30人、これには私も参加いたします。全国では、他に被爆者団体の代表、市民団体や労働組合の代表などが参加します。岡山県の要請団に対して、知事のメッセージいただきたく思います。



2.緊急雇用対策

 次ぎに、深刻さを増している経済・雇用問題について質問いたします。

  私は昨年12月29日から今年1月3日まで、岡山市役所南の大供公園に設置された「おかやま年越し派遣村」に通いました。労働組合や市民団体でつくる「派遣・労働者支援センター」がよびかけたとりくみですが、新聞やテレビのニュースで知ったという方々も参加され、支援にかかわったボランティアは300人を超えました。仕事を失い路上生活をしている方など支援を求めてこられた方は、毎日30〜40人、のべ236人でした。公園周辺の住民のみなさんも、市の職員さんも支えてくださり、また、相談に来られて無事住居も決まり落ち着きをとりもどした方が、その後はすすんでボランティアとして支援活動に参加する、そんな温かい連帯もありました。12月31日の夕方、私が相談を受けた方でしたが、その方の生活保護申請を1月1日に岡山市の福祉事務所が受理したというのは画期的であり、感動的でした。

  まず、緊急を要する雇用問題の解決についてうかがいます。一つは職を失った方々の相談を受け付ける体制です。「おかやま派遣村」で私は、住む家が無い、生活資金が無い、体の具合が悪いなどの相談を受けました。幸い、岡山市が民間団体に委託した一時宿泊所を利用することができ、福祉事務所や医療機関の協力もありましたのでスムーズに解決できました。ワンストップ・サービス・デイが昨年末、県も参画して開催されました。これは一つの前向きな取り組みとして評価できますが、私はこれをさらに充実させ、相談者の困りごとをトータルでサポートできる体制にしていくことが必要だと感じています。ぜひご検討いただきたいと思いますがいかがでしょうか。知事にうかがいます。

  二つめは、就職が内定していない新規学卒者への対応についてです。職業訓練や県の緊急雇用創出事業に新規学卒者の優先枠を設け、いずれかに入れるようにすること、また、職業訓練では、生活給付も受けることができるようにすることを求めますがいかがでしょうか。さらに、県の緊急雇用臨時職員については、臨時ということをふまえ、任用期間終了後の就職に向けた支援を求めますがいかがでしょうか。あわせて産業労働部長にうかがいます。

  三つめは、これ以上失業者を増やさない対策が必要です。県の臨時的任用職員の雇い止め、職員定数削減を中止することを求めますがいかがでしょうか。また、現在「派遣」や「期間工」として働いている方々が、会社都合で一方的な雇い止めがされないよう、各企業に強力に働きかけるとともに、県としても監視するよう求めますがいかがでしょうか。あわせて知事にうかがいます。

  国では労働者派遣法改正の議論がはじまっています。内容をみると、「派遣切り」で大きな問題になった製造業への派遣は原則禁止としながら「常用型派遣」は例外としていること、登録型派遣も原則禁止としながら「専門26業務」は例外としていることは、大きな抜け道になってしまう危険があります。本当の意味での抜本改正にし、派遣労働者を保護する内容となるよう改善を求めることが必要だと考えますがいかがでしょうか。知事にうかがいます。

  雇用情勢の厳しさが続く中、働いている人たちの労働条件も悪くなっています。民主青年同盟がとりくんでいる「働く青年アンケート」では、「休みがとれない」「朝早く、夜は遅い」「残業代をもらっていない」などという回答が少なくありません。働く若者自身が労働基準法を知らない、それを良いことに雇用主が「仕事があるだけマシと思え」などと劣悪な労働を押し付けているケースもあるようです。青年労働者に労働法制について知ってもらうことがますます重要になっていると思います。県はこれまで、わが党も要望してきたパート労働者向けのガイドブックや、若者向けの就職支援ガイドブックなどを作成し、配布しておられます。大いに評価するものですが、さらに違法労働行為や働く権利についてわかりやすく知らせるとりくみを強めていただきたく思いますがいかがでしょうか。

  また、現在活用中の「わかもの就職支援ガイド」ですが、「派遣社員としての働き方」の項に「労働者派遣法があり労働者を保護しています」とあります。一昨年来の大量の「派遣切り」、国において労働者派遣法の見直しが議論されていることを考えれば、この部分は訂正するべきではないでしょうか。あわせて産業労働部長にうかがいます。



3.経済対策――地域経済の再生を

 さて、岡山ハローワークでうかがいますと、求職相談に来られる約8割の方が正規の雇用を求めているということでした。安定した雇用を確保し、維持するために何が必要か、真剣に考えることが求められています。その際、今日のような格差と貧困の拡大、ワーキング・プアの増大、失業し住居をも奪われ「派遣村」が生まれるなどという深刻な事態がなぜ生じたのかという点を深め、教訓を引き出すことが必要だと考えます。

  深刻な事態になった大きな原因は自公政権が「構造改革」の名でおしつけた新自由主義の政策にあったことは明らかであり、昨年の総選挙では、そういう政治に対して国民が審判を下しました。したがって新しい政治は、大企業依存から抜け出し、地域経済再生にこれまで以上に重点を移し、岡山県経済の主役である中小企業や農林水産業など地域の主体を強め、内需を拡大し、地域での経済循環をつくり出す、持続可能な地域づくりをすすめることです。さらに、社会保障を充実させ将来の安心をつくることも大切です。

  まず、地域で活用できる資源は何か、経営資源、自然資源、観光資源、歴史資源など、この際思い切った調査をしてはいかがでしょうか。知っているようで意外と知らないのが地域の資源だと思います。東京都墨田区では商工業事業所悉皆調査を実施し、どのような支援が必要かを見極め有効な支援をしているとのことです。京都府舞鶴市では特産品であるカマボコの調査を行い、販路の工夫に成功しているようです。意欲を持った若者を県が雇用し、中小企業団体等と連携して取り組めば、仕事おこしにとどまらず、中小企業の発展にも有効だと考えますが、産業労働部長にうかがいます。

  私たちの生活の基本、経済の基本は言うまでもなく「衣・食・住」です。地域経済再生のためには、これらの分野で地産地消の循環をつくり出すことを重視する必要があると思います。あわせて今日的な課題である地球環境対策として、自然エネルギーの活用が必要です。この際、「衣・食・住・自然エネルギー地産地消宣言」(仮称)をおこない、すでに設定している食糧と自然エネルギーに加えて「衣」と「住」にも自給率目標を設定し、その達成のために事業者や県民が意欲をもってとりくむことが利益になるような県の支援策を設けてはいかがでしょうか。知事にうかがいます。

  「衣・食・住・自然エネルギーの地産地消」のうち、今日は「住」について知事にうかがいます。

  県産材による住宅建設への補助制度は、今年度当初1件あたり20万円だったものが、国の緊急経済対策によって10万円引き上げられ、関係者からは非常に喜ばれていました。残念なことに来年度予算案ではまた20万円に戻ってしまうようです。ぜひ、現行制度を維持あるいは拡充することを求めますが、いかがでしょうか。また、県産材利用の補助制度を増改築にも適用してはどうでしょうか。木造住宅建築の増加は、林業と建築分野での雇用の拡大ができます。地域経済に及ぼす影響も絶大です。地球温暖化対策という点でも大きな効果があります。そういう観点からこれまでにない県の思い切ったとりくみを求めるものです。

  山形県庄内町では、地元業者に新築、増改築等を発注すると上限50万円で工事費の5%の祝い金がもらえる「持家住宅建設祝金事業」によって「建築ブーム」が起きているということです。住宅建設は、建築、土木、電気、水道、いろんな業種の方がかかわり、地域経済への影響は決して少なくありません。ぜひ県でもこのような制度をつくってはどうでしょうか。あるいは同様の制度を実施した市町村に財政支援策を実施してはどうでしょうか。

  また、真庭市ではペレットストーブ、薪ストーブ、木質バイオマス農業用ボイラへの補助制度を設け、バイオマス資源を活用したまちづくりにとりくんでいます。ペレットストーブ等の普及を促進し、中小企業の仕事と雇用を増やし、林業の再生をはかるとともに、CO2削減にも結び付けるため、県として、ペレットストーブ等の宣伝・普及のための支援、林業者との交流の場づくりなどを実施してはどうでしょうか。

  この項最後に、国の緊急経済雇用対策予算を使っての物品調達および土木部が発注した公共工事についてうかがいます。予算の性格上、地元の事業者にどれだけ仕事がまわったのかという視点が大事だと思います。県内企業が、どの程度の仕事を受注したのでしょうか。件数と金額、およびそれぞれの割合をお知らせください。土木部長及び出納局長にうかがいます。

  これまでも県の事業は出来る限り、地元事業者へ適正な価格で優先的に発注する努力をされてきたと理解しています。この際、県が発注する公共事業や物品調達等の契約について、適正な価格や労働条件を確保するこれまでのルールをとりまとめ、不十分な部分があれば改善し、「公契約に関する条例」を制定してはいかがでしょうか。知事にうかがいます。



4.環境問題

 次に環境問題について質問します。

  一つめに、生物多様性のとりくみについて質問します。「生きものがにぎわう地球に」と、国連は今年を国際生物多様性年に定めています。また10月には、生物多様性条約第10回締約国会議が名古屋で開催されます。これに呼応したシンポジウムやネットワーク結成、カエル、クモ、トンボなど昔馴染みの生きものを「指標生物」とし、それらの生息状況を調査するとりくみがはじまっています。県として、自然保護団体、NPOなど市民レベルの様々なとりくみを支援するとともに、県民へのわかりやすい情報提供が求められていると思います。岡山県でのとりくみはいかがでしょうか。生活環境部長にうかがいます。

 二つめは、地球温暖化防止対策について質問します。先月、06年度岡山県内の温室効果ガスの排出量が公表されました。排出量は前年度比2.6%増で、5年連続増加、京都議定書で定めた基準年度に比べて国全体では6.4%の増ですが、岡山県では11.5%も増えていました。増加の最大の要因は製造業からの排出です。県内の事業者に対して、来年度から「温室効果ガス算定・報告・公表」制度による報告が開始されます。制度の意義を広く県民にも知ってもらうことが重要だと思いますが、どのようなとりくみを考えておられるでしょうか。生活環境部長にうかがいます。

  県民全体の様々なとりくみも大切であることは言うまでもありませんが、岡山県の削減目標達成のためには製造業など産業界へ排出削減を求めることが重要な課題です。産業界と協議の場をもち協力を求めるなど、とりくみを強めることが必要だと考えますが、知事の考えをおきかせください。



5.社会保障制度

 次は後期高齢者医療制度と介護保険制度について、保健福祉部長にうかがいます。

  私は昨年秋、医療や福祉の制度に関するアンケートを実施しました。岡山市に居住する年配の方々が回答をよせてくれました。医療保険料の負担感をたずねた質問に対して、「高い」あるいは「やや高い」と答えた方は75%を超えており、あらためて驚きました。窓口負担については40%の方が「無料に」、36%の方が「もう少し安く」と回答されました。89歳の男性は「医療費負担が増えた。もう限界」とか、別の方は「年齢を重ねるほど医療費の負担は高くなる。納得できない」などと書かれており、「1割でも負担は大きい」「なんとかしてほしい」というのが共通した思いのようです。ところが、鳩山内閣は後期高齢者医療制度の廃止を先送りし、保険料値上げにも何ら手を打たない方針で、県民の不安と怒りを広げる大きな原因となっています。

  先般、岡山県後期高齢者医療広域連合は来年度からの保険料を試算しました。広域連合の剰余金や財政安定化基金を活用してもなお平均4.2%の値上げになるとのことです。国の責任で保険料を据え置くよう求めるべきではないでしょうか。また、県としても支援策を講じるべきではないでしょうか。保険料も上がり、窓口負担も上がる、これでは、お金がなければ命と健康が守れる保証がありません。こんなに矛盾が大きい制度はただちに廃止するよう国に求めるべきです。あわせてうかがいます。

  介護保険制度でも、1割の利用料負担が大きくこの制度が利用できない状況が生まれています。その結果、介護サービスを利用する当事者のみならず、家族をも苦しめることになっています。利用料負担の軽減を国に求める必要があると考えますが、いかがでしょうか。

  介護保険制度に関するもうひとつ深刻な問題は、介護に携わる人材不足です。介護現場の劣悪な労働条件を改善することが求められています。昨年実施された「介護職員処遇改善交付金」等を利用した助成制度の申請はどのくらいあったでしょうか。高齢者の介護施設と障害者支援の施設についておうかがいします。この制度については、対象が介護職員に限定されていること、助成期間が限定されていることなど問題点が指摘されています。交付金制度の改善、その他の支援策の充実など、公費による恒久的な処遇改善がおこなわれるよう、国に求めていただきたいと考えますが、いかがでしょうか。あわせてうかがいます。

  次に、障害がある人々の福祉と医療制度について知事にうかがいます。

  障害者自立支援法は障害者の人間らしく生きる権利をうばうものと、国を相手におこなった裁判は、政府の側から和解の申し出があり、原告団、弁護団と国・厚生労働省の間で合意文書が交わされました。国は「障害者の人間としての尊厳を深く傷つけた」ことを反省し、「憲法等に基づく障害者の基本的人権の行使を支援する」総合的な福祉法制を実施することを約束しました。また国は、応益負担の廃止のため当面、低所得者の障害福祉サービス利用と補装具に係る負担を無料にすることを決めました。私は、勇気をもって立ち上がった原告の方々、それを支えた関係者の方々に心から敬意を表します。この件について、知事はどのように受け止めておられるでしょうか、お聞かせ下さい。

  国制度の利用者負担は一定程度改善されるものの、市町村の地域生活支援事業の利用料がどうなるのか、障害者支援の施設・事業所の苦しい経営をどうするのか、課題は残されています。障害者福祉制度は全県民的な課題であり、県としても財政支援を検討するべきではないでしょうか。

  県が、「給付と負担の公平を図る」として、障害者自立支援法にならって制度設計したのが現行の心身障害者医療費公費負担制度です。私は、ただちに平成18年の見直し前の無料制度に戻すよう強く求めます。それがすぐにできない場合は、せめて低所得TおよびUの区分については至急無料化することが必要だと考えます。また、65歳を過ぎてあらたに障害者になった方も対象に加えることを求めます。いかがでしょうか。あわせておうかがいします。



6.特別支援教育

  最後に、特別支援学級の設置に関して知事にうかがいます。この間、県教委が設置に同意してくれないため、学区の特別支援学級に入れない事態が生じている問題をとりあげ改善を求めてきました。来年度予算案では、知事の査定の結果、小中学校あわせて20学級分を増設するための人件費が、当初の要求に上乗せされたことは評価いたします。知事のこの査定は、市町村の就学指導委員会が特別支援学級への就学が適切だと判断すれば、たとえ対象者が1人であっても学級を設置する必要があるという考えにもとづくものなのでしょうか。お聞かせください。

  学級が設置されない最大の原因は、「行財政改革大綱2008」にもとづく教職員の定員削減にあります。この削減目標達成を至上命題にするのではなく、必要な教員はきちんと配置することを求めますがいかがでしょうか。



答弁



知事

 日米共同訓練についてであるが、日米地位協定第2条第4項bに関する事項については、条約等に基づき国が専管して実施されるものであり、国に対し指定の解除を求めることは考えていない。

 核不拡散条約再検討会議への県要請団についてであるが、核不拡散条約再検討会議が、本年5月にニューヨークで開催されるのにあわせて、本県をはじめ、わが国から多くの方々が核廃絶・平和の声を届ける活動を進められることは、世界で唯一の被爆国として、平和の大切さを伝えていくうえで意義深いことと思う。

 相談者へのトータルサポートについてであるが、国と県・市が連携し、住居や生活に困窮する離職者から各種相談に応じるワンストップ・サービスをこれまでに2回実施したところである。労働局においては、この結果を踏まえ、今後の開催や連携・支援の在り方等について関係機関で検討するため、生活福祉・就労支援協議会を昨日、発足し、近く第1回目の会議を開くことになっている。お話のような体制づくりについては、そこでの議論を踏まえ、今後、適切に対応してまいりたい。



産業労働部長

 新規学卒者への対応等についてであるが、公共職業訓練において新たに特別枠を設けるとともに、緊急雇用創出事業を活用して、就業体験を通じて正規雇用につなげる「未就職卒業者就職応援事業」に取り組むこととしているほか、県の緊急雇用臨時職員の採用に当たって時期を工夫するなどの配慮をしているところである。職業訓練中の生活給付については、国において一定の要件のもとに支給する制度が設けられており、訓練受講者に対して引き続き制度の周知を図ってまいりたい。また、県の緊急雇用臨時職員についても、任用期間の終了に備え、ハローワークでの職業紹介や相談等の各種支援が受けられるよう適切に配慮してまいりたい。



知事

 失業者を増やさない対策についてであるが、県では、行財政構造改革大綱2008に基づき、職員定数の計画的な削減に取り組む一方、現下の厳しい雇用情勢に鑑み、現在、緊急雇用創出事業を活用した臨時職員の採用に取り組んでいるところである。なお、臨時的任用職員は法に基づく期間満了により退職するものであり、雇い止めには当たらない。企業への働きかけについては、これまでも派遣労働者等の雇用の安定・確保等について、教育長、岡山労働局長との連名で県内の経済6団体に繰り返し要請を行ってきたところである。今後とも労働局等と連携を図りながら、雇用の安定・確保に向け、必要な要請等を行ってまいりたい。また、派遣労働者等の雇い止めに関する監視については、国の専管事項である指導監督業務に含まれるものであり、県で実施することは困難である。

 労働者派遣法改正についてであるが、学識経験者、労働者代表及び使用者代表等で構成する国の労働政策審議会において、労働者派遣制度の在り方について精力的な審議が行われ、先般、改正法案の要綱がとりまとめられたところである。現在、改正法案の取扱いを巡り様々な動きもあることから、引き続き国の動向を注視してまいりたい。



産業労働部長

 労働法制の周知等についてであるが、県では、これまで、お話しのあった「わかもの就職支援ガイド」などの作成・配布により、若者に対して社会人として必要な法律上のルールなどの周知に取り組んできたところである。今後は、法律上のルールなどに加え、働く権利などについても紹介するホームページを開設し、情報提供を行うほか、若者就職支援センターなどを活用して労働法制の周知に努めてまいりたい。また、お話しのあった「わかもの就職支援ガイド」の記述については、今後、労働者派遣法の改正動向等を踏まえ、適切に対応してまいりたい。

 地域資源の活用についてであるが、本県では、これまでに158品目が地域資源として国の認定を受け、これらを活用した新商品開発等の取組が進められている。また、雇用創出関係基金事業を活用した地域資源の発掘等の取組が各市町村で展開されており、県としても、お話しのような若者の視点を取り入れた地域資源の発掘等の事業の実施について、今後検討してまいりたい。



知事

 地産地消の循環についてであるが、衣・食・住に自然エネルギーを加えた地産地消宣言を行い、全ての分野で自給率目標を設定し支援しては、とのご提案については、「衣」や「住」の分野の複雑な生産・流通過程などから、自給率目標の設定になじまない面があり、実現は難しいと考えている。県としては、これまでの地産地消の取組を一層強化するとともに、市町村等と連携し、さらに幅広い分野での地産地消の促進を図ってまいりたい。

 県産材利用補助の拡充についてであるが、住宅は、木材産業をはじめ建築、設備、家電など関連する産業が多岐にわたり経済的波及効果が大きいことから、昨年度の財政構造改革プランにおいて、当該補助制度は、内容を見直した上で継続としたところであり、来年度においても、今年度当初予算同様、事業効果の高い新築住宅を対象に、1戸当たり20万円、受付枠200戸を限度として実施したいと考えている。なお、お話の現行制度の維持・拡充についてであるが、今年度における助成枠の拡充等は、国が経済危機対策として措置した第一次補正予算の柱である、住宅取得促進のための様々な施策の効果を相乗的に高めていくため、国からの交付金を活用し緊急対策として実施したものであり、御理解賜りたい。

 住宅建設への支援についてであるがお話の事例は、20年度から3年間、地元建築業界の振興等を目的に実施されていると聞いている。こうした事業は、地域の実情を踏まえて、それぞれの市町村において、検討されるべきものと考えており、県として対応することは難しいと考えている。

 木質バイオマス資源の活用等についてであるが、木質バイオマスは、環境に優しい資源として今後一層の利用拡大を図る必要があることから、県ではこれまで、公共施設等へのペレットストーブやボイラーの導入を支援し、その普及を促進してきたところである。来年度以降、多くの県民が訪れる県施設へ、ペレットストーブの設置を進めるとともに、農業用ハウスにおけるペレットボイラーの利用効果の実証を行うほか、木質バイオマスに対する理解を深めるため、県南において普及展示会を開催したいと考えており、こうした場を活用して、都市住民と林業関係者の交流を図ってまいりたい。



土木部長

 公共工事についてであるが、厳しい地域経済と雇用情勢を踏まえ、その発注に当たっては、県内企業の受注機会の確保に配慮したところである。その結果、国の緊急経済雇用対策予算により発注した公共工事304件のうち、県内企業が受注したのは295件で、その割合は97%となっており受注した金額については、発注額約40億円のうち約36億円であり、その割合は90%となっている。今後とも、県内事業者への受注機会の確保に努めてまいりたい。



出納長

 物品調達についてであるが、これまで、国の緊急経済雇用対策予算により県内に本店のある事業者が受注した物品調達は、総件数288件中222件で、金額では約5億3千万円となっており、受注割合は件数で約77%、金額では約57%となっているが、タミフルやリレンザなど県内事業者では調達できない物品を除くと、その受注割合は件数で約82%、金額では約83%となっている。



知事

 公契約条例についてであるが、県では、これまでの入札制度の見直しに際し、県内業者の受注機会の確保や、公共工事における最低制限価格の引き上げ等による労働条件の確保にも配慮してきたところである。お話の条例の制定については、労働条件の基準は労働関係法令で定められ、労使間の自主的な決定が原則とされていることから、こうしたこととの関係も含め、国における公契約に係る議論の動向等を適切に把握し、対応したいと考えている。



生活環境部長

 生物多様性の取組についてであるが、これまで、自然保護団体、NPO、地域住民等と連携して、希少な淡水魚、昆虫、植物等の生息地の環境保全、外来生物の防除などに努めるとともに、県民に自然の大切さを認識してもらうために、自然観察会や体験学習会などを実施してきた。今後、希少野生動植物をはじめ県内に生息する動植物についての理解がさらに深まるよう、パンフレットやホームページの充実、自然保護センターでの学習メニューの拡充、県内各地における自然保護推進員の活動などを通じ、積極的な普及啓発に努め、すべての生き物の生命を支える生物多様性への県民の理解と関心を高め、県内の豊かな自然環境を守る取組を一層促進してまいりたい。

 県民への周知についてであるが、この制度は、県内の大量排出事業者による温室効果ガス削減に向けての自主的な取組を促進し、排出削減を図ろうとするものである。事業者自らが、排出量の現状を把握し、削減計画を実施するとともに、公表により、事業者間の対比や取組への評価が行われ、さらなる削減が促されると考えている。現在、県ホームページで制度について分かりやすく紹介しているが、今後、エコパートナーシップおかやまや岡山県地球温暖化防止活動推進員の活動などを通じて一層の周知に努め、県民の理解を深めてまいりたい。



知事

 産業界の排出削減についてであるが、県では、今年度創設した温室効果ガス算定・報告・公表制度により、大量排出事業者の自主的な取組を促進し、温室効果ガスの削減を図りたいと考えている。また、来年度は、本県の新たな温暖化防止行動計画策定に着手することとしているが、国で検討中の関係法令や排出量取引制度等の動向も踏まえつつ、産業界とも十分協議を行い、産業部門の削減目標等について具体的に検討してまいりたい。



保健福祉部長

 保険料等についてであるが、保険料の上昇抑制については、これまで国において、国費の投入も含めて検討されてきたところであるが、この度、広域連合の剰余金や県の財政安定化基金を活用し、保険料の上昇を極力抑制するとの方針が示されたところであり、県としては、この方針に沿って適切な支援に努めてまいりたいと考えている。また、国では、新たな制度へ移行するための検討を、昨年末から開始したところであり、県として、直ちに制度を廃止することを国へ求めることは考えていないが、見直しに当たっては、高齢者にとって公平で分かりやすく、また、安定的な制度となるよう国に提案してまいりたい。

 負担軽減についてであるが、介護保険制度では、家計に大きな影響を及ぼさないようにするため、利用者の自己負担額に上限を掛けており、特に低所得の方については、その限度額を低く設定するなどの配慮がなされているところである。利用者負担の在り方は、保険料や公費負担など、介護保険財政全体の中で検討すべき課題であると考えており、利用者負担の更なる軽減のみを国へ提案することは考えていない。

 介護職員処遇改善交付金等についてであるが、21年12月末現在の申請率は、事業所ベースで、高齢者の介護施設については、80パーセント、障害者の支援施設については、72パーセントであった。この交付金は、他の業種との賃金格差等により、人員の確保が困難な状況が続いている介護職員について、その処遇を改善することを目的として、経済危機対策の一環として創設されたものであり、その対象や実施期間が限定されているところであるが、お話のような問題点を指摘する声が寄せられているところである。国では、こうした声を踏まえ、恒久的な処遇改善について検討する方針であると聞いており、県としては、国における議論を注視してまいりたい。



知事

 障害者自立支援法違憲訴訟についてであるが、この度、原告団と国との間で基本合意文書が交わされ、それに基づき、国において、制度改正の検討が進められていることは、承知している。新しい制度については、障害のある方の意見を十分に踏まえて設計され、将来にわたって持続可能で、安定的な制度となることを期待している。

 財政支援についてであるが、市町村地域生活支援事業は、地域の実情に応じて、それぞれの市町村の判断に基づいて実施されているが、市町村が利用者負担を無料にした場合の経費についても、県は一定の負担をしているところである。また、施設・事業所への支援についても、国において報酬単価の引上げが行われるとともに、県としても、サービス事業者の経営基盤の強化を図るための助成事業や、経済危機対策の一環として、福祉・介護人材処遇改善事業などに、取り組んでいるところである。利用者負担や事業者支援の仕組みについては、国において制度設計されているところであり、県としては、この制度に基づき、今後とも、市町村や事業者の支援に努めてまいりたい。

 心身障害者医療費公費負担制度についてであるが、18年度に、給付と負担の公平を図り、持続可能な制度となるよう対象者の範囲や自己負担のあり方等を見直したものである。この度、障害者自立支援法において障害福祉サービスにかかる低所得者の自己負担を無料とする方針が示されたが、医療費の取扱いは、引き続き検討されることとなったところであり、その動向に注意を払ってまいりたい。お話の低所得者の医療費の無料化や年齢制限の撤廃については、そのような要望があることは承知しているが、本県の厳しい財政状況や、市町村財政への影響などを勘案すると、慎重に検討すべき課題であると認識している。

 特別支援学級設置の考え方についてであるが、児童生徒の様々な障害に対する教育的ニーズが多様化しており、また市町村からの強い要望もあることなどから、よりきめ細かな指導を行うため、少しでも特別支援学級が増設できるよう、私の判断で来年度の予算案に20学級分の人件費を上乗せした。学級の設置にあたっては、県教委において、個々の児童生徒や学校の状況等について、児童生徒の数にかかわらず市町村教委と十分に確認・協議した上で、総合的に判断していると聞いている。

 教員の配置についてであるが、県教委では、行財政構造改革大綱2008に基づき、児童生徒数の減少に伴う教職員の自然減や、事務の効率化等による事務局職員の削減などにより、定員削減に取り組んでいるところであり、私としても危機的な財政状況の中で、必ず達成しなければならない目標であると考えている。教員の配置については、県教委において標準法に基づき、適切に措置していると聞いているが、教育は引き続き目配りをしなければならない分野であると考えており、このたび、特別支援学級の増設のための人件費を上乗せしたところである。今後とも、県教委と連携を図りながら、特別支援教育の充実に努めてまいりたい。



再質問

 再質問をさせていただきたいと思います。まず障害者自立支援法に関わってなんですけれども、安定的な制度を確立されるようにという知事の考えが示されましたが、これまで安定的な制度、継続できる制度ということで財政負担をもたらし、障害者本人の負担増ということになったわけですよね。その点を考えますと合意文書に書かれた記述と非常にかけ離れていると言わなければなりません。合意文書に従った見直しこそ必要じゃないか、と私はそのように思います。そういう意味で医療費補助制度についてお伺いしたいと思うのですけれども、国の動向を見て、ということでした。しかし国の自立支援医療というのは障害に起因する医療に関わる医療でありまして、これは重要な課題にする、と。原告の側は緊急課題として無料化を求めたわけですけれども、重要な課題として検討すると。緊急ではないけれども、無料への見直しをするという思いを込めた内容だったと言っております。県の医療費補助制度というのは正に福祉医療制度なんですよね。低所得の方々を病院にかかりやすくする、医者にかかりやすくするという目的で作られたものなわけですから、福祉的な立場で見直しをするということが求められていると思います。自立支援法の福祉サービスが無料に見直しされたわけですから、この動向を踏まえれば、当然岡山県の制度も無料にする、せめて低所得1、2の方は緊急に無料にするということではないかと考えますが、この点に関して知事はどう考えられますか。もう一度お願いいたします。

 次に特別支援教育についてですけれども、教育委員会のお考えは私も承知しているわけですけれども、知事の考えを聞きたい。財政構造改革による削減は必ず達成するものとおっしゃいました。この縛りがあるために、今年度、去年の春、大変な事が起こったわけですね。知事は来年度は見直そうと、決断をしてくださったことは非常に感謝しておりますし敬意を表したいと思っています。その考え方を伺いたいのです。一人でも市町村の就学指導委員会が特別支援学級に入級が必要だと判断すれば、当然先生を増やして学級を設置するという考えに基くものなのか、この点をもう一度確認したいと思います。

 次に新規学卒者の就職支援についてなんですけれども、様々な支援策を講じていただいていることはよく理解しておりますが、岡山労働局に聞きますと、1月末で557人の方が未定だということでありました。2月3月とまだ取り組みは続くと思いますけれども、300人位の方が残るのではないかという心配もされておりました。全ての卒業生の方々に何らかの訓練やあるいは臨時雇用、何らかの進路がきちんと確保されるのかどうか、その辺はどう見積もっていらっしゃいますか。部長に伺いたいと思います。

 次に雇用対策に関わって、仕事起こしということで住宅建設の補助金をと述べました。地元の業者に仕事を委託した場合の補助制度については市町村の事業でやるべきものではないか、やるのが適切ではないか、というご答弁いただきましたけれども、私の質問は、県の補助とあわせて市町村がその制度を実施すればまたあるいはそれを実施しやすくするために県の補助を設立してはどうですか、ということも付け加えさせていただきましたけれども、その点について答弁いただいておりませんので、是非よろしくお願いしたいと思います。

 次に公契約条例なんですけれどもね、これは50型デジタル放送テレビの入札結果を表に示しました。ちょっと条件がついているんですけれども、赤の四角は倉敷市が地元の業者で落札した金額です。ここでは岡山市が大手の家電店に入札した結果です。だいたい5千円から1万円くらいの価格差があるんです。そうなると地元の業者の方たちはこれじゃ経営が成り立たない、いくら落札しても経営が成り立たない、という悲鳴の声をあげていらっしゃいます。これは公共事業についても同じことだと思うのですね。大手と競争しても価格はきちんと維持される。で労働協定というのはもちろん労働者との協定ですけれども、これが保障されるためにも、公契約条例がいるのではないかと思いますが、いかがでしょうか。以上で再質問を終わります。



知事

 再質問にお答え致します。先ほどもご答弁申し上げましたとおり、医療費の取り扱いにつきましては現在国において検討をされることとなったということでございまして、まだ具体的な方向性につきまして聞き及んでいないところでございます。引き続きその動向に注意を払って参りたい、このように考えているところでございます。

 特別支援学級一人でもか、というお話でございますが、これはあくまでも県教委におかれまして市町村教委と充分協議をしながら判断をされていると、こう聞いております。県教委におかれまして個々の児童生徒の状況などを踏まえまして十分市町村教委と協議をした上で総合的に判断、いうことでございますので、その県教委のその方向性というものを私といたしましてはできる限り財政面で応援をしていくということでございます。

 次に住宅建設への支援でございますが、先ほども申し上げましたとおり、それぞれこういった住宅建設への支援は地域の実情を踏まえられたそれぞれの市町村のご判断だと思います。県としてこの支援措置ということも含め、対応することは難しいと考えております。 

 公契約条例でございます。地元業者の方々に対する配慮ということは先ほど来出納局長等がご答弁申し上げている通りでございます。この条例を制定するということにつきましては、国における公契約における議論の動向といったものもあるようでございまして、こういったこと等を適切に把握をいたしまして対応いたしたいという考えでございますのでご理解をいただきたいと思います。以上でございます。



産業労働部長

 再質問にお答えをいたします。新規学卒者の内定者に対する支援についてお尋ねがございました。先ほど議員のほうから具体的な数字でお話がございましたけれども、私どもも労働局との話し合いの中で、そういった数字というものがこれまで超氷河期であった平成13年・14年のそういったレベルではないかな、といったようなことを様々なところから想定を一応いたしまして、今回の先ほど申し上げましたような事業を計画したところでございます。先ほど申し上げましたとおり、県のほうでは未就職の受け入れ事業でありますとか、職業訓練への特別枠の設置、さらには臨時の直接雇用、こういったようなことであります他、また経済産業省を通じまして県内の中小企業に受け入れるインターンシップのメニューが新たに追加しておりますことや、それから福祉の分野での働きながら資格を取得できます介護雇用プログラム、こういったようなものが準備されておりますので、こういったものを総動員いたしまして卒業者の就職内定者が一人でも増えますように最後まで頑張っていきたいとこのように考えております。以上でございます。



再々質問

 再々質問をさせていただきたいと思います。まず障害者自立支援法に関わる再々質問になりますけれども、これ多分見えないというふうに思いますので、議長の許可も得ましてこの合意文書の全文をプリントさせたものを配らせていただいておりますのでご覧ください。アンダーラインを引いたを部分をここに記載をさせていただいております。この合意文書というのは非常に大きな意味があると思います。これ国(厚生労働省)となっている意味なんですけれども、単に厚生労働省がこの合意文を飲みましたということだけじゃないのですね。国もこれについて責任を果たそうと。つまり財政面でもきちんと保障していこうということを国全体が合意した、というふうに理解できるというお話を伺いました。さらにこの内容ですね。内容なんですけれども、憲法と人権保障を明記したと。合意文章の中に、憲法と人権保障ということを明記したと。さらに新しい法整備につきましては障害者も参加して法整備を行うということ。いずれにしましても非常に画期的な内容ということができます。先日岡山裁判の原告の方が住んでいる美咲町の方にお話を聞いたんですけれども、美咲町では合意文書に基いて障害者施策を見直していきたい、そういう決意を固められているようなんです。是非岡山県でもこれに基いた施策の見直しということを是非やっていただきたいし、特に先ほど指摘をいたしました医療費公費負担制度、この無料化を早く実現されるように是正されるように強く求めたいと思うんです。それにあたってですね、ここでは障害をもった当事者の方とも話をしながら検討していこうということですから、是非原告の方やあるいは裁判を支援している岡山県の団体の方たちとも話し合いをするような場をもっていただいたらいかがでしょうか。そういうなかでこれから検討を進める、というご答弁をいただきましたけれども、こういうなかで早期の検討をいただくようにお願いしたいと思うのですけれども、質問をしたいと思います。

 次は意見だけですけれども、ガイドラインに書かれている「派遣労働者を保護≠キる」という観点についてなんですけれども、まあ法律が改正されれば保護もされるのではないかという部長の思いもあるのかもわかりません。それから法律が改正されたその動向を踏まえて検討したいというご答弁だったわけですけれども、これがあの常用型派遣については例外とされているわけですよね。この常用型派遣で企業の側が派遣会社に対して解雇通告をした場合に、その派遣労働者がどういうふうになったのか、これも議長の許可をいただきまして表の全ての部分を配らせていただいています。厚生労働省が調査した結果なんです。そのうち会社から解雇の通告を受ければ大部分の方が離職せざるを得ない状況になっています。しかも解雇の割合、この総数に占める割合は76%、72%、7割超えているわけですよ。これじゃあ安定的な雇用ともいえないし、保護されているってことは到底いえない、というふうに思うんですね。そういう誤解を生むような一文が入っていたということは、私も知らなかったわけですけれども、この間読んでみまして気付きましたので是非来年度から活用なさる際には訂正をいただきたいというふうに、これは要望としてお願いしておきたいと思います。前向きなご答弁もいくつかいただきました。是非実現に向けて取り組んでいただきますようにお願い申し上げまして質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。



知事

  再々質問にお答えします。先ほどお示しになりました障害者自立支援法違憲訴訟に関わります原告団と国との間の基本合意文書につきましては、私も承知をしているところでございます。これに基いて国において現在制度改正の検討が進められているということも承知をしております。障害者のみなさんと話し合いをして、とのご質問でございますが、新しい制度を作る際には、障害のある方々の意見というものを充分踏まえられて制度設計されるということを私も期待をしているところでございます。県としての心身障害者医療費公費負担制度のあり方につきましては先程来申し上げていますとおり、国における医療費の取り扱いについての今後の検討の動向に注意を払っていきたいと、こういうことでございますのでご理解いただきたいと思います。以上でございます。




赤坂てる子県議の一般質問



  21番。日本共産党の赤坂てる子です。通告に従い質問します。



1. 「子どもの貧困問題」について

  まず、最初は「子どもの貧困問題」についてです。

  いま暮らしの悪化は底なしです。「格差と貧困の拡大」は、子育て世代に深刻な打撃を与えています。日本の子どものいる現役世帯の貧困率はOECD(経済協力開発機構)30カ国中19番目という水準となっており、子どもの貧困率は14.2%という状態にあることを政府も初めて認めました。

  先日、市民団体が岡山市で開催したシンポジュウムに参加しました。「修学旅行にいけないこどもたち」「温かい食事が学校給食だけ」、進学をあきらめる子どもたち、貧困に苦しみあえぐ子どもたちの姿が語られました。

 石井知事は、今議会提案説明で、「子どもたちが将来に夢を描き、厳しい中でも希望を失わず輝く未来の自分をイメージできるようにしていくことは、私たちの果たすべき責務であります」とのべられました。貧困問題解決にむけて行政の姿勢が問われ、「いのち・そだち・まなび」を保障する具体的施策が求められます。この立場で、以下質問します。

  第一は、高校の通学費補助制度についてです。ある生徒は、家族が失業したため、通学定期代が払えなくなり、片道2時間かけて自転車で通学しているといいます。また、県教育委員会がこの間県立高校再編整備を進めてきた中で、高校進学に当たって遠距離通学を余儀なくされている生徒もおり、家庭の経済負担は大変大きなものがあると考えます。負担の実態をどのように把握されているでしょうか、家族の失業などによる家計急変や、低所得世帯への定期代等の通学費補助制度創設が必要と考えます。教育長いかがでしょうか。

  第二に、高校授業料の無償化についてです。このたび国が2010年度から公立高校授業料の無償化に踏み出し、私立高校の生徒にも、年118,800円から237,600円の「就学支援金」を支給することは一歩前進です。こうした中、県が「私立高等学校授業料減免補助金」を「私立高等学校納付金減免補助金」として、年収500万円未満の世帯に、24,000円〜72,000円を支給する県独自の低所得者向け助成制度の創設を決めたことは評価します。これにより、年収250万円未満の世帯の場合、国の支援金と合わせて年309,600円の補助となります。しかし、岡山県の私立高校の場合、授業料と施設整備費などの学校納付金の合計は、平均は45万円です。今回の措置でも年14万円余りの負担が残ることになり、低所得者世帯にとっては大きな負担です。

  全国的には、京都府が低所得世帯に学校納付金を含め実質無料化するため県予算を増額しました。隣の広島県も、昨年度より予算を増額し、424,308円を補助しています。ところが、岡山県の「私立高等学校納付金減免補助金」予算は、今年度予算と比べて約7000万円減少しています。少なくとも前年度予算を確保すべきと考えます。知事にお伺いします。



2.子どもの医療問題について

  つぎに、小児医療費公費負担制度についてです。

  子育て中の一番の心配は、子どもの病気です。費用の心配なしに病院にかかれるよう子どもの医療を無料にすることは切なる願いです。県内市町村では、美咲町の高校生までを先頭に、過半数で中学校卒業まで入院・通院とも無料化しています。こうした中で県が、入院のみですが小学校卒業まで対象拡大し10月から実施を決めたことは評価するものです。これについてお伺いします。

  まず、今回県としての対象拡大は入院のみですが、通院も小学校6年生まで助成対象とした場合の予算額はいくらか。また、市町村の助成制度についてですが、今回の県の対象拡大を機に、さらに多くの市町村が対象年齢引き上げの検討を進めているとお聞きします。県として把握されている実施を検討している市町村の状況はどうか。併せて、保健福祉部長にお伺いします。

  次に、小児医療費公費負担制度を子どもの歯の健康づくりに生かしてはどうかということです。

  県は、子どもの虫歯予防の「325運動」や「6歳臼歯を守ろう大作戦事業」に取組んできました。平成20年度「学校保健概要」の小学生の永久歯の治療率を比較すると、小児医療が就学前までの岡山市、倉敷市、津山市では約5割であるの対して、小学校6年生まで拡大している市町村では、新庄村が100%、総社市が7割近くになるなど大きく向上しています。近年「子どもの噛む力の低下」も深刻化しているといわれます。

  永久歯の虫歯治療率の向上、乳幼児や学童に対する歯科保健を一層強化してはどうでしょうか。保健福祉部長にお伺いします。

  小児医療費公費負担制度について、すべての児童を対象に通院も小学校6年生まで拡大することが無理なら、せめて歯科の通院だけでも拡大できないでしょうか。知事にお伺いします。

  関連して、成人の歯科保健の充実についてです。

  歯科保健は健康づくりに直結します。80歳で20本以上の歯がある人は、歯を失った高齢者に比べ医療費が少なく、生活習慣病にもかかりにくいなどの調査結果もあります。島根県などが歯と口腔の健康を守る8020推進計画を策定するとともに「8020条例」を制定したとお聞きしました。本県も検討してはどうでしょうか。

  また、国の補助制度も活用し、公的な歯科健診を拡充すること。在宅患者や障害者など、住民が安心して健診や治療が受けられるように歯科医療推進体制の充実整備を行ってはどうでしょうか。併せて保健福祉部長にお伺いします。



3.教育について

  次に、教育についてです。いま、教育崩壊といわれる深刻な事態にあり、教育の再生が求められています。

  まず、第一は、教員配置についてお伺いします。

  教員配置は、子どもたちに豊かな教育を保障する最大の教育条件です。しかし、自公政権は教職員数の削減政策を進めてきました。小泉政権下の2006年6月に行革推進法が施行され、少子化で児童生徒が減ってもそれ以上に教職員数を減らすことを義務づけ、それ以降、教員の定数改善計画は行われてきませんでした。その一方で進められたのが安上がりの教育政策です。これを転換し、30人以下学級の実現に踏み出すために、教職員の定数改善を国に求めてはどうか、教育長に所見をお伺いします。

  また少人数学級については、知事のマニフェスト岡山「暮らしやすさ日本一」宣言のなかで、「子どもの教育の充実」について、今後4年間の取組内容の一番に、県として独自にすすめてきた35人学級を拡充すると公約されています。ぜひ一日も早く実現していただきたいと思いますが、知事いかがでしょうか。

  第二は、非正規教員が急増している問題です。岡山県は、財政難を理由に「行財政改革大綱」、「行財政構造改革大綱2008」で教員の削減を進め、正規教員の定数を、定数内講師・非常勤講師といった非正規教員へ置き換える、いわゆる「定数振り替え」を進めてきました。

  この約10年間の推移をみると、生徒減にもかかわらず、特に義務教育の小・中学校について増加が激しく、平成13年5月時点の定数内講師336人が21年には704人に2倍以上と、非常勤講師への「定数振り替え」は40人分から157人分に、約4倍に増えています。こうしたことも含め、小・中・高・特別支援学校の非正規教員は増え続け21年度2,298人にのぼります。これ以外にも、小1グッドスタート事業の支援員や特別支援教育支援員など非正規職員が加わります。

  学校現場では、増えるのは時間講師ばかりで、子どものことを相談する時間を取るのも四苦八苦している。病休の先生の代わりが見つかりにくい事態もおきています。教員の非正規化を止め、正規の教員を増やすべきと考えます。教育長いかがでしょうか。

  第三は、長時間労働の問題です。

  学校の職員室に遅くまで明かりがついています。今多くの教師がストレスを抱えながら子どもへの愛情を支えにがんばっています。2008年文部科学省委託調査「教員のメンタルヘルス対策及び効果測定」によると、ストレスの主な原因の第一位は、「仕事の量」です。これは一般企業の2倍近くに達しています。県教委が行った、一日あたりの「勤務時間終了後の在校時間」の抽出調査によると、比較的落ち着いた6月の調査にもかかわらず、21年度で100分を超えています。そこで、長時間労働の解消に向けての対策について、教育長にお伺いします。

  また、労働安全衛生法では、平成20年4月より、常時50人未満の労働者を使用する事業場も含め、全ての事業場に長時間労働者への医師による面接指導を実施する体制整備が義務付けられました。県教育委員会としてもご努力されていますが、市町村までの徹底が不十分ではないかという声をお聞きします。実態はどうでしょうか。今後どのように徹底されるのでしょうか。教育長にお伺いします。



4.農業問題について

  つぎは、農業問題についてです。農林漁業と農山村の再生と食料自給率の向上は、日本国民の存亡のかかった待ったなしの課題です。農家が安心して農業に励めるよう、主要な農産物の価格保障・所得補償に踏み出すこと、不要なミニマムアクセス米の「義務的」輸入を中止すること。FTA(自由貿易協定)、EPA(経済連携協定)の交渉は、直ちに中止することが求められます。

  私は、昨年6月以降、愛媛県今治市や生産緑地地区指定制度を設けている和歌山市などの調査を行うとともに、市街化区域の農家の皆さんたちと2回にわたって懇談会を開いてきました。日本共産党県議団も、農業関係者との懇談を重ねてきました。そのことを踏まえ、6月議会に続き、いわゆる都市的農業についてお伺いします。

  地元大高小学校そばの農協の倉敷青空市「やさい畑」が大変好評です。そこには市街化区域でがんばっている農家の新鮮な野菜も並んでいます。

  都市部の農業は、安全で新鮮な野菜はもちろん、食と農の情報提供や災害に備えたオープンスペースとして、また、失われていく自然のなかで、潤いや安らぎを与える緑の空間としての多面的な役割がいま見直されています。

  同じ米・野菜を作っても市街化区域農地というだけで高い固定資産税です。昨年10月には、倉敷市農業委員会が市長に対して「市街化区域農地の固定資産税の軽減を求める建議」をされました。これを倉敷市でみると、水田10aあたりの固定資産税は、一般農地の平均が748円にたいして、市街化区域農地は、平均で94,044円とも聞き、なんと約130倍です。ある専業農家は、「税金のために働いているようなものだ」といわれます。

  笠岡市で、昨年都市計画法にもとづく、いわゆる線引きが廃止され、注目されています。この結果、これまで市街化区域で宅地並評価となってきた農地が、22年度から一般農地の評価となり、山林も一般山林の評価となり固定資産税額も下がります。

 また、都市農地については、国土交通省の社会資本整備審議会の小委員会が、昨年6月、「都市政策の面からも積極的に評価し、農地を含めた都市環境のあり方をより広い視点で検討していくべき」との報告書を策定しました。

  都市計画法第7条によるいわゆる線引き制度は制定されてから何十年も経っており、現実にあわなくなっているのではないでしょうか。県内の市街化区域内の農地の現状と併せて土木部長のご見解をお伺いします。

  また、市街化区域の農業は、農業振興の助成制度がほとんど適用されないため、農政の広大な空白地域になっているのが現実です。

  今後、報告の主旨を農政に生かし、都市農業振興策の確立をすべきと考えますが、いかがでしょうか。農林水産部長にお伺いします。



5. 公共交通について

  つぎは、住民の足の確保、公共交通を守ることについてです。

  今回、宇高航路を運行するフェリー業者のうち1社が、当面の継続を表明され、最悪の事態については回避することができました。

  党として航路存続に向け、23日玉野市議団とともに、高松市にある2事業者をお伺いするとともに、3日には国への要望を行ってきました。

  こうした事態を招いたのは、自公政権が実施した高速道路の休日上限1000円をはじめとする料金割引、さらに新政権の高速道路原則無料化の方針のもとで、社会実験が動き出す情勢になったことが大きな打撃となったものです。まさに国の責任において緊急に対策をすべきものです。

  フェリーにとどまらず、市民に欠かせない日常の「足」である鉄道、バス、タクシーなど地方の公共交通機関と地域経済への大きな影響が心配されます。料金割引によりJR瀬戸大橋線マリンライナーの車両を減らされたため利用者は、車内が混み合い困っています。一部報道機関の調査によると、高速道路の無料化には、国民の約7割が反対しているとのことです。知事として見直しを求めるべきではないでしょうか。

  交通基本法の制定が予定されていますが、公共交通の維持について、真剣に議論し対策が求められると考えますが、生活環境部長にお聞きします。



6.災害から住民の安全安心を守ることについて

  つぎに、災害から住民の安全安心を守ることについてです。

  この項第一に、津波対策について、総務部長にお伺いします。

  先日の南米チリの大地震による津波により、岡山県にはじめて警報が出され、瀬戸内海にも津波のくる恐れがあることに驚いた県民も多かったのではないでしょうか。東南海・南海地震が同時発生する可能性があるとして、内閣府の中央防災会議は、県内では、津波第1波は早いところで地震発生から2〜3時間後に到達し、その後には最大で約3mの津波が襲ってくると想定されています。これに基づき、沿岸の各市で津波ハザードマップの整備が進んでいます。今回の教訓や問題点を今後の対策に生かすことが必要と考えますが、いかがでしょうか。

  総務省消防庁の全国瞬時警報システム(J-ALERT)が全国各地に警報や注意報を速報した際、津波警報が出ている地域にあらためて警報を流したり、注意報が解除された地域に誤って注意報を速報したりしていました。県内ではどうだったのか、また改善すべき点は何でしょうか。

  また、県内の研究者で作る「備讃瀬戸津波被害調査研究会」の奥田節夫代表は、「瀬戸内は津波と無縁だと思われがちだが、津波の被害は地形による影響が大きく被害を有効に防ぐためにも、それぞれの地域における過去の災害の歴史に着目することが必要ではないか」と語っておられました。研究会に寄せられた瀬戸内沿岸の過去の津波被害情報のなかに、昭和21年12月に起きた南海地震によるものがあります。この被害情報では当時、牛窓での観測値は30p程度と報告されていますが、片上湾では2〜3mの津波となり、何度も押し寄せ「海水は沿岸の倉庫の中まで入ってきた」そうです。こうした地域の過去の被害情報を防災対策に生かしてはどうでしょうか。

  第二に、高潮対策について、土木部長にお伺いします。

 16年の高潮被害から6年になりますが、倉敷市玉島の県道倉敷長浜笠岡線の稲荷町〜天満町間は湾奥部にあり被害の大きかった地域です。平成20年3月に岡山沿岸海岸保全基本計画を改訂し、防護水準を見直しましたが、この地域は16年台風以前の設計高潮位(せっけいこうちょうい)の改善にとどまっており護岸のかさ上げなど早急に改善すべきと考えますがいかがでしょうか。こうした改訂後の防護水準に照らし、今後、対策が必要な箇所は、何カ所あるのかも含め、お答えください。

  また、港に放置された船舶の管理の問題です。水島港玉島地区では平成16年の高潮で港近くの銀行の駐車場に船が乗り上げたといいます。同地区には現在も狭い港湾の中に放置船があり、災害を防ぐ上でも撤去すべきと考えますが、如何でしょうか。



7.行財政改革について

  今議会に提案された歳入確保策と「本庁組織の再編案」について、知事にお伺いします。

  まず、県有施設駐車場の有料化及びその他の使用料の適正化についてですが、これらは施設利用者に新たな負担を求めるものであり、それぞれの施設の性格や設置場所もあります。実施を急ぐのでなく、時間がかかっても県民的議論をすることが必要ではないでしょうか。

  次に、「本庁組織の再編案」について、住民から、「なぜ再編か」理念がよくわからないとの疑問の声があります。よりわかりやすい説明が必要ではないでしょうか。知事にお伺いいたします。

  石井知事は、これまで男女共同参画推進に積極的に取り組んでこられました。この点は評価するものです。その上で、現在の「男女共同参画課」を「青少年課」と統合し、「男女共同参画青少年課」とすることと関連しての今議会の代表質問に答えて、知事は、「理念に何ら変わりはない」とのご答弁がありました。

  しかし、理念を実行する裏付けとなる予算ですが、これが大きく減り続けています。平成21年度当初予算で、全国比較すると、岡山県の予算額は38位に過ぎず、新年度予算は、さらに減っています。関係する女性団体や住民からは「やはり後退ではないか」という批判の声がでています。

  この声にどうお答えになりますか。予算を増やすべきではないでしょうか。知事いかがでしょうか。以上、質問といたします。



答弁



教育長

 まず、県立高校の通学費補助制度についてであるが、本県では、高校生の通学費負担の調査は実施していないが、県立高校再編整備に伴う通学費貸付制度の対象となる生徒の出身中学校と進学先の高校の設定に当たっては、通学距離や交通手段、交通費等の実態を考慮している。お話の通学費補助制度の創設については考えていないが、岡山県育英会の奨学金により、低所得世帯や保護者の失業などによる家計急変に対応しているところである。



知事

 私立高校への補助についてであるが、県の納付金減免補助金の水準については、国の就学支援金と合わせた最終的な保護者負担額を目安とすることが適当と考え、この負担額が、低所得世帯を中心に、これまでの半分から3分の2程度まで軽減されるよう配慮したところである。その結果、例えば、年収250万円未満の世帯では、従来の年間約33万円から約14万円まで引き下げられており、修学支援制度として相当に充実されたものと考えている。



保健福祉部長

 対象拡大の予算額等についてであるが、通院費まで補助対象を拡大した場合には、年間県費で試算すると、約5億円の増額が必要となる見込みである。また、市町村の検討状況は、これまで小学校6年生まで拡大していなかった8市町のうち、7市町が県の補助制度の拡充を契機に、補助対象の拡大を予定しており、1市が検討中であると聞いている。

 子どもの歯の健康づくりについてであるが、お話の公費負担制度の有無と、虫歯治療率との間には、明確な相関関係があるとは言い難いと考えている。しかしながら、健診後の受診指導等により、虫歯治療率を向上させることは、歯科保健上、極めて重要であると考えており、県としては、今後とも、歯科保健推進協議会などを通じて、学校や地域での歯科保健活動を強化するよう、働きかけてまいりたい。



知事

 歯科通院への拡大についてであるが、虫歯治療率が高い市町村では、公費負担制度の有無よりも、歯科保健活動に熱心に取り組んでいることが、大きく影響しているものと考えている。こうしたことから、子どもの歯の健康づくりを充実させるためには、公費負担制度の歯科通院への拡大よりも、引き続き、歯科保健推進協議会などを通じて、学校や地域での歯科保健活動を強化していくことが重要であると考えている。



保健福祉部長

 歯科保健の充実についてであるが、これまで、「健康おかやま21」に基づき、着実に歯科保健の成果を上げてきているが、近年、歯科保健の取り組むべき課題は、介護予防や気道感染予防など、多岐にわたってきていることから、県では、既に歯科保健に関する推進計画の策定や、条例の制定に向けた検討に着手しているところである。また、国の補助制度の活用についても、歯科保健対策事業の積極的な取組を、市町村に働きかけるとともに、歯科医師会など、関係団体と連携して、在宅患者などが、安心して歯科医療や指導を受けられる体制を整備する事業に取り組んでまいりたい。



教育長

 次に、定数改善についてであるが、本県では、小学校5学年から中学校3学年までで、各学年3学級以上の学校で35人学級を実施している。また、加配教員や非常勤講師を配置し、少人数授業を実施するなど、きめ細かな指導を進めている。現在、国において学級編制基準の見直しが議論されており、県教委としても、学力向上やいじめなど、今日的な学校の教育課題に対応した多様な教育が積極的に展開できるよう、30人以下学級ということではないが、新たな教職員定数改善計画の策定を国に提案している。



知事

 35人学級の拡充についてであるが、これまで対象学年の拡大に努めてきたところであり、マニフェストに掲げているとおり、将来を担う子どもの確かな学力の向上を図るため、取り組むべき重要な課題と認識している。今後、国の動向や学校の状況等を踏まえ、県教委と十分に協議しながら、検討してまいりたい。



教育長

 次に、正規教員の増員についてであるが、定数内講師は、将来の児童生徒数の減少への対応などのため、非常勤講師は、少人数指導等きめ細かな指導の充実のため配置している。県教委としても、行革に基づく定数削減に取り組んでおり、事務の効率化等による事務局職員の削減や、児童生徒数の減少に伴う教職員の自然減で対応するほか、大変厳しい財政状況であることから、やむを得ず正規職員の講師への振替も行っている。いずれにしても、講師の人材確保に取り組み、学校への影響が最小限になるよう努めてまいりたい。

 次に、長時間労働解消の対策についてであるが、平成21年度の勤務実態調査では、勤務時間終了後に在校した者の主な業務は、教材研究や部活動、生徒指導等によるものである。県教委では、昨年度から教員の勤務負担軽減に関する研究を行っており、調査や研修・出張の精選、コンピュータを活用した事務の効率化、また、学校では、校内会議や校務分掌の在り方の見直しに取り組んでいる。今後、関係者が教員の負担軽減の意識を一層高め、市町村教委や学校と連携し、ゆとりをもって子どもと向き合う体制づくりに努めてまいりたい。

 最後に、医師による面接指導体制についてであるが、平成20年5月の県内市町村立学校の整備状況は、教職員50人以上の学校では100%、50人未満では71%であった。面接指導は、長時間労働による健康障害の防止対策として重要なことから、県教委では労働安全衛生研修会等により、速やかに体制整備を行うよう周知に努めてきた。今後も、未整備の教育委員会に対しては、早急に対応するよう個別に働きかけるとともに、体制が整備された教育委員会には、それが有効に機能するよう、働きかけてまいりたい。



土木部長

 市街化区域内の農地についてであるが、本県において、市街化区域内農地は約2,900haであり、市街化区域面積の約11%となっている。お話の報告書を踏まえて、都市計画制度全体を検討する新たな小委員会が設置され、小委員会では、市街地の無秩序な拡大を抑制する線引き制度が担う機能を維持しつつ、市街化区域及び市街化調整区域の概念について見直しを行うこととされていることから、今後の国における審議状況を注視してまいりたい。



農林水産部長

 都市農業振興策の確立についてであるが、お話の報告では、地産地消の農作物の提供はもとより、自然とのふれあいの場など市街化区域内農地の多面的機能は、都市政策の面から積極的に評価すべきとされている。しかし、優先的かつ計画的に市街化を図るべき市街化区域内の農地では、生産基盤の整備など効用が長期に及ぶ施策は行わないこととしており、県としては、今後とも、経営や栽培技術の指導、直売所での販売支援など、経営形態や地域の実情に応じた支援を行ってまいりたい。



知事

 高速道路無料化の見直しについてであるが、昨年来、高速道路無料化の検討にあたっては、公共交通機関や環境面など地域に与える広範な影響を十分に予測・検証し、渋滞・環境対策を講じるとともに、公共交通事業者が事業を継続できるよう、必要な支援措置を国に要請してきたところである。このため、まずは、宇高航路への影響や交通渋滞などの顕在化している課題を、国の責任で解決していただきたいと考えており、現時点で見直しの要請までは考えていない。



生活環境部長

 公共交通の維持についてであるが、公共交通は、県民の生活に欠かすことのできない社会基盤であることから、県では、来年度、有識者、県民代表や交通事業者等からなる「公共交通のあり方検討会議(仮称)」を設置し、公共交通を将来にわたり維持・確保するための方策を検討することとしている。国において、現在、交通基本法の制定作業が進められているが、地域の実情を踏まえた総合的な交通政策が樹立されるよう強く求めてまいりたい。



総務部長

 チリ大地震の教訓等についてであるが、全国各地の状況を見ると、実際に避難した人が少なかったことや、避難した場合でも第1波の後、独自の判断で帰宅したケースがあったことなどから、正しい知識の一層の普及啓発を図り、適切な避難につなげる必要があると認識している。今後は、東南海・南海地震の発生が高い確率で予測されていることから、本県においても、沿岸各市との緊密な連携を図りながら、住民の避難誘導体制の整備や災害時要援護者対策をさらに進めることが重要と考えている。

 警報等についてであるが、国では津波警報の発表とともに、J−ALERTにより、全国自治体にこの警報を伝達しているが、本県では、警報を防災行政無線の自動起動により住民に伝達した瀬戸内市において、東北地方の大津波警報が津波警報に切り替えられた際に、あらためて警報が流れたため、住民から複数の問い合わせがあったとのことである。消防庁では、既に原因の調査を始めたと聞いているが、県としても、この様な誤報等による混乱を生じることなく、災害に迅速・的確に対応できるよう、国に対し、システムの改善と情報の信頼性の確保・向上を求めてまいりたい。

 地域の過去の被害情報についてであるが、津波に限らず地域における過去の災害の状況を把握することは、発生の可能性がある災害を具体的にイメージし、地域の特性を踏まえた予防対策や応急対策を講じていくうえで有効と考えている。今回のチリの地震による津波に際しても、1960年のチリ地震の教訓を踏まえて、全国的に地域に応じた対応が執られたと承知している。本県における過去の被害情報は、市町村が作成するハザードマップ等に生かされているところであるが、防災意識の向上等のためにも、さらに、こうした情報の普及や活用を促してまいりたい。



土木部長

 防護水準見直し後の対策についてであるが、倉敷市玉島の稲荷町から天満町までの高潮対策については、設計高潮位を見直す前の16年度に事業を完了したため、護岸の高さが現在の設計高潮位よりも低くなっているが、16年台風により浸水などの被害が大きかったことから、現在護岸嵩上げ方法の検討を進めているところである。なお、改訂後の防護水準で、現在整備中を含め整備が必要な箇所は、本地区をはじめ129か所である。

 放置船の撤去についてであるが、放置船は、適正な港湾利用の妨げとなるだけでなく、お話のように、高潮発生時に二次災害を引き起こす危険性があることから、放置船の保管施設への誘導を行うとともに、所有者不明の放置船の処分等を進め、撤去に取り組んでいるところである。さらに、強制的な撤去が可能となるよう、放置等禁止区域の指定に向け、現在、関係者と協議を進めているところである。



知事

 歳入確保策についてであるが、県有施設駐車場の有料化等の検討に当たっては、その内容や効果などについて、施設利用者のご理解が得られるよう努めるとともに、料金設定や利便性にも十分配慮したところである。この間には、施設利用者や関係団体の方などから様々なご意見をいただいているが、その都度、私から直接お答えし、また、マルチメディア目安箱を通じてご意見をいただいた際には、基本的な考え方をお答えするなどしてきたところである。今後とも、県民の皆様のご意見に謙虚に耳を傾け、一層のご理解が得られるよう丁寧な説明に努めてまいりたい。

 本庁組織の再編案についてであるが、今回の再編は、政策の推進機能の充実や、的確な危機管理体制の整備、また、県民のニーズに即した部局の再編を行うことにより、厳しい財政状況においても、夢づくりプランを着実に推進できる体制を構築しようとするものであり、4月からの施行に向け、こうした再編の趣旨や内容について、県の各種広報媒体を通じて広く周知を図ってまいりたい。

 男女共同参画関係予算についてであるが、男女共同参画の推進については、「新おかやまウィズプラン」に基づき、直接担当している男女共同参画課とウィズセンターのみならず、全部局において、様々な事業に取り組んでいる。今後とも、国・市町村・民間団体はもとより、県民や事業者との幅広い協働のもと、知恵と工夫を凝らしながら、効果的な事業推進に努め、男女が共に輝く社会の実現を目指してまいりたい。



再質問

 ご答弁ありがとうございました。再質問させていただきます。まず最初に子どもの医療費の無料制度を、県が小学校6年生まで入院についてのみ拡充ということで、予算額としては2千万。通年で5千万程度ですが、これだけで県内市町村が大きく制度を前進させているとのこと。県の社会保障、本当に県民の暮らしを守る上での大きさというのを非常に実感したところです。ではいくつかの点についてご質問したいのですが、特に教育の問題について、ご質問させていただきたいと思います。

 まず最初に、子どもの貧困に関して、通学費補助の制度の創設をということで教育長にお伺いしたのですが、実態調査をされていないということなのですが、是非今の深刻な経済不況のなかで貧困と格差の広がりのなかで、こうした貧困で本当に退学をしないといけない、また卒業できるかどうか本当に授業料滞納をどうしようかと思っておられるようなご家庭が増えているなかで、是非この負担について是非ご検討いただきたいと。これは高校の再編整備を県が行われたことによる影響も相当大きいものがあります。今日も倉敷は雪が降りましたが、雪のなかを2時間もかけて通学している子どももいると。こういう状況もあるわけです。ぜひこれをお願いしたいと思います。特にですね、今回、高校授業料無償化ということで出ているのですが、既に授業料の減免を受けている家庭には新たな恩恵はないのではないかと思います。それどころか所得税と住民税の特定扶養控除のうち、16歳から18歳分の縮減が決められましたので、逆に増税がかかってくるところもあるというこういう状況なので、私学と同じように、やはり県としてもこうした通学費補助についてもう一度ご検討いただきたいということでお願いをしたいと思います。

 それと教員の問題ですが、前と同じ答弁なんですね。これ何回目かの質問なのでどういうご答弁がくるのか期待をしていたのですが,前回とほとんど変わらないご答弁でした。しかし事態がどうなのか、というのが問題です。定数内講師、実はですね20年この時に県は財政構造改革大綱2008を決める時に、ここで校長会、小学校校長会、「定員の削減により正規の教員が減り、講師が増加すると危機的な状況が予想されます」と、定数削減による講師の増加の見直しを教育長宛に申し入れられたのです。それにもかかわらずまた21年はぐっと増えているんです。確かにもう少し増えるところを減らされたのかもしれませんが、こういう校長会などの声があるにもかかわらず増えてきているということです。それと同時にですね、お伺いしたいのは、今このなかで岡山県の臨時への切り替えですね。その切り替えがどういう状況かということで調べてみましたら定数内講師への振り替えでも全国高位なんですよね。小学校で14位ですかね。中学校で4位、5位、6位。その辺り10番以内にあります。そういう状況にあるということと、それともう一つはですね、非常勤講師の配置数というのが、国に対して出している学校基本調査ですか、それに基いての調査を一覧表にしたものがありまして調べてみましたら、小中の非常勤講師の配置数、まあ中身は色々だと思うのですが、東京、愛知、神奈川、兵庫、に次いで岡山は1320人と、非常に高くなっているということで、まあこのなかに小1グッドスタートなども入っているということではあるのですが、文科省に提出された学校基本調査のなかでこういう数字があがってきている、ということで、それと同時に問題になるのがそこで働いている教員の労働条件が大変深刻な事態にある、ということで、この点についてもう一度教育長のご所見をお伺いしたいと思います。



教育長

 再質問にお答えいたします。通学費の負担についての調査の検討ということでございますが、最初の答弁でも申し上げましたように、そうした調査は実施をしておりませんが、高校再編に関わります地域につきましては、中学校から何処の高校へ行くのにはどういう手段でどれくらい時間がかかって、どれくらいかかるとか、そういうふうなことを調査をしまして通学費補助の制度を創っているところでございます。それ以外のところについてはそういう調査は実施をしておりませんが、生活困窮世帯等につきましては奨学金の制度がございます。そうしたものをしっかり活用していただきたいというふうに考えているところでございます。

 それから教員の講師が増えているという件についてでございますが、これにつきましては行革を進めていくという部分もございます。まあそういうふうなことで目標に向かってある程度努力をしていかなきゃいけない。このことはもうご理解をいただけるというふうに思うわけでございますが、そういうものに加えまして非常勤講師等は施策のなかで非常勤の方に入っていただくというような施策も色々実施しているわけでございまして、そういうものもカウントすれば多くなる、という部分がございます。そういうことで、まあ、できるだけ正規の教員を配置するように努力はいたしますが、色々な枠のなかで総合的に検討し、配置をさせていただいているところでございます。以上でございます。



再々質問

 ご答弁ありがとうございました。子どもの通学費の問題ですが、私は通学費問題は一つの問題としてまた取り上げたということで、象徴的な問題として取り上げました。今回県のほうが、高教研(岡山県高等学校教育研究会)をまた開かれるということです。これまで再編整備を進められてきた結果、特に中山間地での通学遠距離の問題は、大変深刻になっていると思います。こういう点がどうだったかということを、きっちり検証されていくということが必要ではないかと思うのです。児童生徒数だけではなくて。そこのところを是非高教研の検討のなかにも加えていただきたい、ということが一つお願いです。それともう一つは非正規化の問題なんですが、大変ですね。もう限界に来ているのではないか、ということです。教員が足りないわけですよね。何かしようと思っても先生が足りないから、本来中学年にはしっかりした先生入れないといけないのに、実は非正規の先生を配置せざるを得ないから学級のなかの集団体制がきちっと取れない。それから見通しを持って子どもを見てあげければならないのに、そのことで細切れの先生になっている、という教育現場の苦悩がございます。こういう実態にあるっていうことをご認識されているのか、ということが一つと、それからもう一つはですね、さっき教育長から構造改革についてこれを進めなければならないという、本当に苦しみに満ちたご答弁があったわけですが、やはりこの構造改革による教員削減をそろそろ見直さなければならない時期に来ているのではないか、ということです。その点について、これはご答弁といってもなかなか難しいかもしれませんが、是非この点についてご検討いただきたいと思います。

 知事にですが、知事はですね、「岡山暮らしやすさ日本一宣言」というのを出されまして、そのなかの教育の第一番目のところにですね、「将来を担う子どもの確かな学力の向上に向けて、35人以下の拡充というきめ細やかな指導を」というふうにいわれているんですが、口では言われても教育現場はこんな実態にあるということをちゃんと掴んだ上で、財政構造改革を進めていかなければ取り返しのつかないことになるのではないか、ということで私はご意見を述べておきたいと思います。



教育長

 再々質問にお答えいたします。通学費問題ということではないが、再編整備がどうだったのかということを、高教研のなかでも検討していただきたいということですが、次期高教研では今後の児童生徒数の推移を睨みながら、これまでやってきたことも検証しながら次のどういう取り組みが必要なか、ということをいろんな立場から検討していただきたい、というふうに思っております。そういう意味でこれまで実施してきました再編整備につきましても、そのことについてどうであったか、ということについては協議をしていただくことにしております。以上でございます。




武田英夫県議の討論



 日本共産党県議団を代表して、議案9件、請願・陳情35件、そして後に提出される予定の意見書2件について、委員長の報告の通り決することに反対し、その主なものについて意見をのべるものです。

 まず、議第1号平成22年度岡山県一般会計予算についてです。予算の中には子どもの医療費無料化の拡大や特別支援教育の拡充など県民の声を反映したものもあるわけですが、一方、本会議で我が党の森脇・赤坂両県議が指摘したように「全国的にも劣悪な県の障害者医療費助成制度」や「正規教員の非正規への振り替え」問題、また昨年12月議会で私が本会議で指摘した「広域水道企業団の余剰水量への立て替え問題」など納得しがたい内容も多々含まれています。そこで、本予算に異を唱えて反対の態度を表明するものです。そして同様の趣旨で、議第23号「岡山県広域水道企業団出資について」も反対の態度を表明します。

 次は、議第189号「権利の放棄について」です。岡山県住宅供給公社に対する50億円を超す債権放棄、特にその7割近い債権放棄となる吉備高原都市に関わる住宅事業は、チボリ事業や苫田ダムと並んで長野知事以来の岡山県政の失政の典型と言われるものです。現時点で、住宅供給公社問題の解決の仕方はこのような方法しかないことは承知していますが、やはりその失政の責任を問いただす意味で、異議を唱えておくものです。

なお、議第169号岡山県一般会計補正予算は、この債権放棄の財政処理の内容が含まれていますので、反対の態度をとるものです。

続いて、議題31号「岡山県職員定数条例の一部を改正する条例」ですが、先日我が党の赤坂県議が本会議で指摘した「正規教員の非正規への振り替え」問題などを含んでいるために、賛成できないものです。

次は、議第32号「県有施設の有効活用及び使用料等の適正化を図るための関係条例の整備に関する条例」についてです。自動車など環境に負荷をかけるものに駐車料金など一定の料金を課すことは我々も必要なことと考えていますし、県の歳入確保のために一定の公共料金の引き上げに全く反対という態度をとるものではなりません。しかし、それが、県民の負担増に繋がるだけに県民の合意を得る慎重な議論が必要であることは明らかです。今回の問題について、我々として様々な機会に県民の声を聴く機会を設けてきましたが、まだまだ県民の合意を得ているとは言えません。もっと時間をかけて議論をすべきだと言う意味で、賛成できないことを表明するものです。

議案の最後は2008年度一般会計歳入歳出決算についてです。私たちが「不認定」を主張する理由のその一は、予算の段階から賛成できない内容が含まれており、その意味で決算認定には反対ということです。具体的内容は、この間議論してきた、税金投入に異議があるチボリ事業、無謀な吉備高原都市計画、苫田ダムの余った水に毎年6億円も投入している広域水道企業団事業などです。その二は、国庫補助金の不適正使用問題です。もちろん、内部調査では「私的流用はない」とのことであり、「補助金の運用に関して国との見解の相違」の部分もあるのは確かです。しかし、「不適正使用」であることは確かであり、実際、岩手県議会のように同様の理由で不認定にしている県もあるわけです。今後の是正の意味を込めて県議会が「不認定」の態度をとるのは、議会の当然の責務だと思います。

さて次は、請願・陳情に関して意見を述べます。

まずは、障害者の医療費などに係わる陳情については、採択を主張します。本会議で、わが党の森脇県議が質問いたしましたが、障害者自立支援法は障害者の人間らしく生きる権利をうばうものと、国を相手におこなった裁判は、政府の側から和解の申し出があり、原告団、弁護団と国・厚生労働省の間で合意文書が交わされたことはご存知の通りです。県の心身障害者医療費公費負担制度は、岡山県が「給付と負担の公平を図る」として障害者自立支援法にならって制度設計したものです。根底となる自立支援法の「見直し・廃止」を国が打ち出している以上、県としても根本的な見直しは当然であり、そのことを求める陳情は、この議会で採択すべきであることは明らかではありませんか。

また、後期高齢者医療制度の廃止を求める陳情に関しても、今議会での採択を主張するものです。「姥捨て山制度」と悪名高い「後期高齢者医療制度の廃止」を公約とした鳩山政権ですが、この政権がいまやろうとしていることは、廃止の先送りだけではなく、新しい制度として、「姥(うば)捨て山」の入山年齢を65歳に前倒しするひどい代物といえます。さらに、制度が継続されたことにより、保険料もこの4月から引き上げられる事態が続きます。私は、こうしたことへの高齢者の怒りを込めて、本陳情の採択を強く主張するものです。

 次は、私学助成に関する陳情2件は、採択をするよう強く求めるものです。「岡山県私学助成をすすめる会」から昨年9月議会に出された陳情と、12月議会に出された陳情は、いずれも、民主党政権のもとで公立高校の無償化が実現することを評価した上で、私学も実質無償化の実現を求めるもので、全く当然の要求です。特に12月議会に提出された陳情は、20万人を超す署名が添えられた重い陳情です。私は、鳩山政権の高校無償化の方針を高く評価するとともに、県当局が国の制度に上乗せする制度を設け、私学の負担を大幅に軽減する措置をとったことに敬意を表した上で、「いっそうの公私格差是正」を求めて、陳情の採択を主張するものです。

永住外国人の参政権に関する陳情4件ですが、時代に逆行するものとして、不採択を主張するものです。永住外国人の参政権付与問題に関して我が党は賛成し、その実現に努力してきました。今議会冒頭に採択された意見書に賛成したのは、現政権の一部に「地方の声を聞く必要なし」の動きがあったため、「地方の参政権問題である以上、地方の声を聞くのは当然」と考えたからです。永住外国人の参政権付与は、我が国の政治・社会に「共生」の理念を定着させ、民主主義を根付かせ発展させるものとして極めて重要な意味をもっています。私は県議会が、その立場から、掛かる陳情は不採択にし、逆に「促進」の意見書を挙げるよう強く求めるものです。

最後に、農業関係の意見書ですが、その第1項は、「農業の大規模化促進」となっています。我が党は、「所得補償」だけでなく「価格保障」も組み合わせて、「日本的な家族経営でも成り立つような農業」を目指しています。この意見書にある「農業の大規模化促進」は、これまでの破綻した自民党農政の復活を目指すものであり、同意できません。その意味で、この意見書の第1項には賛成できないことを申し上げておくものです。

以上で討論を終わります。


議案に対する各党(会派)の態度

民県 結果
議第 163 平成21年度岡山県一般会計補正予算(第7号)について
議第 164 公有財産の処分について
議第 165 岡山県地域活性化・経済危機対策臨時基金条例を廃止する条例
議第 166 岡山県地域活性化・公共投資臨時基金条例
議第 167 岡山県地域医療再生臨時特例基金条例
議第 168 岡山県緊急雇用創出事業臨時特例基金条例の一部を改正する条例
議第 169 平成21年度岡山県一般会計補正予算(第8号) ×
議第 170 平成21年度岡山県心身障害者扶養共済制度特別会計補正予算(第1号)
議第 171 平成21年度岡山県農業改良資金貸付金特別会計補正予算(第1号)
議第 172 平成21年度岡山県造林事業等特別会計補正予算(第1号)
議第 173 平成21年度岡山県農業総合センター農業試験場実験農場特別会計補正予算(第1号)
議第 174 平成21年度岡山県林業改善資金貸付金特別会計補正予算(第1号)
議第 175 平成21年度岡山県中小企業支援資金貸付金特別会計補正予算(第1号)
議第 176 平成21年度岡山県内陸工業団地及び流通業務団地造成事業特別会計補正予算(第1号)
議第 177 平成21年度岡山県公共用地等取得事業特別会計補正予算(第1号)
議第 178 平成21年度岡山県後楽園特別会計補正予算(第1号)
議第 179 平成21年度岡山県港湾整備事業特別会計補正予算(第1号)
議第 180 平成21年度岡山県流域下水道事業特別会計補正予算(第2号)
議第 181 平成21年度岡山県収入証紙等特別会計補正予算(第1号)
議第 182 平成21年度岡山県用品調達特別会計補正予算(第1号)
議第 183 平成21年度岡山県公債管理特別会計補正予算(第1号)
議第 184 平成21年度岡山県営電気事業会計補正予算(第1号)
議第 185 平成21年度岡山県営工業用水道事業会計補正予算(第1号)
議第 186 工事請負契約締結の変更について
議第 187 工事委託契約締結の変更について
議第 188 公有財産の処分について
議第 189 権利の放棄について ×
議第 190 県営土地改良事業等に対する市町村負担金について
議第 191 岡山県立学校授業料徴収条例及び岡山県立高等学校通信教育入学金及び受講料徴収条例の一部を改正する条例
議第 1 平成22年度岡山県一般会計予算 ×
議第 2 平成22年度岡山県母子寡婦福祉資金貸付金特別会計予算
議第 3 平成22年度岡山県心身障害者扶養共済制度特別会計予算
議第 4 平成22年度岡山県農業改良資金貸付金特別会計予算
議第 5 平成22年度岡山県営食肉地方卸売市場特別会計予算
議第 6 平成22年度岡山県造林事業等特別会計予算
議第 7 平成22年度岡山県農林水産総合センター農業研究所実験農場特別会計予算
議第 8 平成22年度岡山県林業改善資金貸付金特別会計予算
議第 9 平成22年度岡山県沿岸漁業改善資金貸付金特別会計予算
議第 10 平成22年度岡山県中小企業支援資金貸付金特別会計予算
議第 11 平成22年度岡山県内陸工業団地及び流通業務団地造成事業特別会計予算
議第 12 平成22年度岡山県公共用地等取得事業特別会計予算
議第 13 平成22年度岡山県後楽園特別会計予算
議第 14 平成22年度岡山県港湾整備事業特別会計予算 ×
議第 15 平成22年度岡山県流域下水道事業特別会計予算
議第 16 平成22年度岡山県立高等学校実習経営特別会計予算
議第 17 平成22年度岡山県収入証紙等特別会計予算
議第 18 平成22年度岡山県用品調達特別会計予算
議第 19 平成22年度岡山県公債管理特別会計予算
議第 20 平成22年度岡山県営電気事業会計予算
議第 21 平成22年度岡山県営工業用水道事業会計予算
議第 22 全国自治宝くじ事務協議会への相模原市の加入及びこれに伴う全国自治宝くじ事務協議会規約の一部の変更について
議第 23 岡山県広域水道企業団出資について ×
議第 24 独立行政法人日本高速道路保有・債務返済機構出資について ×
議第 25 包括外部監査契約の締結について
議第 26 岡山県グリーンヒルズ津山の指定管理者の指定について
議第 27 岡山県健康の森学園就労継続支援事業所及び障害者支援施設の指定管理者の指定について
議第 28 岡山県職員給与条例等の一部を改正する条例
議第 29 岡山県職員等の旅費に関する条例の一部を改正する条例
議第 30 岡山県部等設置条例の一部を改正する条例
議第 31 岡山県職員等定数条例の一部を改正する条例 ×
議第 32 県有施設の有効活用及び使用料等の適正化を図るための関係条例の整備に関する条例 ×
議第 33 岡山県市町村合併推進審議会条例を廃止する条例
議第 34 岡山県環境保健センター条例の一部を改正する条例
議第 35 岡山県景観条例の一部を改正する条例
議第 36 知事の権限に属する事務の処理の特例に関する条例の一部を改正する条例
議第 37 岡山県生活環境関係手数料徴収条例の一部を改正する条例
議第 38 貸付金の返還免除に関する条例の一部を改正する条例
議第 39 岡山県保健福祉関係手数料徴収条例の一部を改正する条例
議第 40 岡山県健康の森学園条例の一部を改正する条例
議第 41 岡山県工業技術センター条例の一部を改正する等の条例
議第 42 岡山県ファーマーズ・マーケット条例等を廃止する条例
議第 43 岡山県農林水産総合センター条例
議第 44 岡山県農林水産関係手数料徴収条例の一部を改正する条例
議第 45 岡山県土木関係手数料徴収条例の一部を改正する条例
議第 46 岡山県青年の家条例の一部を改正する等の条例
議第 47 岡山県響察職員定員条例の一部を改正する条例
報第 1 知事の専決処分した予算について
議第 150 平成20年度岡山県歳入歳出決算の認定について ×
発議第 17 岡山県振り込め詐欺被害防止条例案
発議第 18 改正貸金業法の早期完全施行党を求める意見書(案)
発議第 19 選択的夫婦別姓を認める民法改正に反対する意見書(案) × × ×
発議第 20 生産性の高い競争力に富んだ農家の育成を求める意見書(案) ×
発議第 21 漁港・漁場・漁村の整備促進を求める意見書(案)
発議第 22 岡山県議会委員会条例の一部を改正する条例
発議第 23 岡山県議会の議員の議員報酬の特例に関する条例

請願・陳情に対する各党(会派)の態度

2010年2月議会 各会派の態度
新規継続 受理番号 受理年月日 委員会 提出者 要旨 紹介議員 共産 自民 民主 公明 採否
継続 陳情第 50号 20.02.04 総務 日本会議岡山 永住外国人への地方参政権の付与を日本政府に求める意見書を採択しないよう求めることについて × × ×
継続 陳情第104号 21.01.07 総務 林 健二 国籍法の改正によって生じ得る偽装認知の防止などを要請する意見書の提出について
継続 陳情第116-1号 21.09.02 総務 原口 茂浩 岡山県の税金でつくる「県議会だより」及び「晴れの国ジャーナル」について、税金の無駄遣いがあるので、改善することについて
継続 陳情第123号 21.09.09 総務 岡山県私学助成をすすめる会 高校教育無償化導入において、父母負担の公私格差の解消が配慮されることを求めることについて × × ×
継続 陳情第128号 21.11.19 総務 日本労働組合総連合会岡山県連合会 核兵器の廃絶と恒久平和を求める決議採択を求めることについて
継続 陳情第133号 21.11.30 総務 岡山県私学助成をすすめる会 私立高校において高校無償化が実質的に実現することを求めることについて × × ×
新規 陳情第137号 21.12.16 総務 大森 浩二 憲法違反の外国人参政権による選挙を実施しないことを再確認することについて × × ×
新規 陳情第138号 21.12.16 総務 大森 浩二 永住外国人への地方参政権付与の法制化に反対する意見書の決議を求めることについて × × ×
新規 陳情第142号 22.02.01 総務 大日本皇國曾 永住外国人地方参政権に関する法案に反対する意見書を提出することについて × × ×
新規 陳情第144号 22.02.16 総務 日本会議岡山 永住外国人地方参政権付与に慎重な対応を求める意見書採択について × × ×
継続 陳情第 2号 19.04.02 生・保 木下 富夫 公的年金の未加入期間を国民年金でつなぐ場合の期間の延長に関することについて
継続 陳情第37号 19.11.20 生・保 岡山県難病団体連絡協議会 難病相談・支援センター事業の充実について
継続 陳情第73-1号 20.09.08 生・保 岡山県青年司法書士協議会 貧困の連鎖を断ち切り、市民生活を底上げすることを求める意見書の採択を求めることについて × ×
継続 陳情第119号 21.09.08 生・保 岡山県腎臓病協議会 肺炎球菌ワクチン公費助成及び新型インフルエンザ公費助成と対策について
継続 陳情第120号 21.09.08 生・保 岡山県難病団体連絡協議会 肺炎球菌ワクチン公費助成及び新型インフルエンザ公費助成と対策について
継続 陳情第131-1号 21.11.26 生・保 岡山県司法書士会 改正貸金業法の早期完全施行等を求めることについて
新規 陳情第139号 22.01.21 生・保 障害者の生活と権利を守る岡山県連絡協議会 障害者自立支援法に基づく市町村実施の地域生活支援事業の利用料軽減を図るために県独自の支援策を求めることについて × × ×
新規 陳情第140号 22.01.21 生・保 障害者の生活と権利を守る岡山県連絡協議会 心身障害者医療費公費助成制度の改善を求めることについて
新規 陳情第143号 22.02.16 生・保 日本会議岡山 選択的夫婦別姓を認める民法の一部改正に反対を求める意見書提出に関することについて × × ×
新規 陳情第148号 22.02.23 生・保 全日本年金者組合岡山県本部 後期高齢者医療制度の廃止と高齢者・国民が望む医療制度に関することについて × × × ×
新規 陳情第149号 22.02.23 生・保 全日本年金者組合岡山県本部 2010年度の年金引き上げ等に関することについて × × ×
新規 陳情第155号 22.02.24 生・保 新日本婦人の会岡山県本部 子宮頸がん予防ワクチン接種の公費助成を求めることについて × ×
継続 陳情第34号 19.11.08 産・警 国鉄労働組合岡山地方本 JR不採用事件の早期全面解決を求めることについて
継続 陳情第57号 20.02.25 産・警 全日本建設交運一般労働組合岡山県本部 トンネルじん肺根絶の抜本的な対策を求める意見書の提出を求めることについて
継続 陳情第83号 20.09.10 産・警 岡山労災職業病支部 トンネルじん肺根絶の抜本的な対策を求める意見書の提出を求めることについて
継続 陳情第85号 20.09.10 産・警 日本労働組合総連合会岡山県連合会 仕事と生活の調和(ワーク・ライフ・バランス)の街づくり宣言を求めることについて
継続 陳情第103号 20.12.03 産・警 雇用促進住宅を守る会 雇用促進住宅の存続を求める意見書提出に関することについて
継続 陳情第131-2号 21.11.26 産・警 岡山県司法書士会 改正貸金業法の早期完全施行等を求めることについて
新規 陳情第154号 22.02.24 土木 鹿谷橋上流地域河川改修復旧対策委員会福山地区 山家川河川災害復旧助成事業に関することについて
継続 陳情第22号 19.09.11 文教 岡山県教職員組合 教育予算の拡充を求める意見書の採択を求めることについて
継続 請願第22号 21.11.30 文教 ゆきとどいた教育をもとめる岡山県民の会 県独自の少人数学級の拡大を求めることについて 武田森脇赤坂
継続 請願第23号 21.11.30 文教 ゆきとどいた教育をもとめる岡山県民の会 教育費の父母負担軽減を求めることについて 武田森脇赤坂
新規 陳情第145号 22.02.19 文教 総社おたまじゃくしの会 障害のある子供の教育環境・条件の改善を求めることについて × ×
新規 陳情第146号 22.02.19 文教 中田 ミカ 障害のある子供の教育環境・条件の改善を求めることについて × ×
新規 陳情第147号 22.02.19 文教 江草 伸江 障害のある子供の教育環境・条件の改善を求めることについて × ×
新規 陳情第150号 22.02.24 文教 岡山県高等学校教職員組合 生徒と学校の実態に見合うように養護教諭の複数配置を求めることについて × × × ×
新規 陳情第151号 22.02.24 文教 岡山県高等学校教職員組合 養護教諭の臨時採用を解消し、正規採用を求めることについて × × × ×
新規 陳情第152号 22.02.24 文教 岡山県高等学校教職員組合 統廃合対象校にも、生徒が在籍している限り養護教諭の配置を求めることについて × × ×
新規 陳情第153号 22.02.24 文教 岡山県高等学校教職員組合 障害児学校に学部1名の養護教諭を配置することを求めることについて × × × ×
継続 陳情第84号 20.09.10 議運 日本労働組合総連合会岡山県連合会 議会基本条例の策定を求めることについて
継続 陳情第116-2号 21.08.24 議運 原口 茂浩 岡山県の税金でつくる「県議会だより」及び「晴れの国ジャーナル」について、税金の無駄遣いがあるので、改善することについて