2008年9月定例県議会


赤坂てる子県議の一般質問と答弁(要旨)
武田英夫県議の討論
議案に対する各党(会派)の態度
請願・陳情に対する各党(会派)の態度

議会報告



赤坂てる子県議の一般質問と答弁(要旨)



21番、日本共産党の赤坂てる子です。

福田首相が突如辞任。またもや政権の投げ出しです。「構造改革」の名で国民の暮らしを痛めつける一方で、一部の大企業だけを応援し、格差と貧困を広げる政治、アメリカ言いなりで憲法を踏みにじって自衛隊を海外派兵してきた自公政治―がいよいよ行き詰まり、立ち往生しています。大企業から家計へと軸足を移す、大きな経済政策の転換、「政治の中身の変革」が求められています。くらしと地域が危機に直面している時だからこそ、岡山県が、国の悪政から、県民の暮らしを守り地域経済再生の立場に立つことが求められています。この立場で以下2点、知事にお伺いします。

まず、4月1日に始まった後期高齢者医療制度についてです。実施から5ヶ月。時が経てば経つほど国民の怒りは広がっています。10月からは、サラリーマンである子どもなどに扶養されている75歳以上の方からの保険料徴収が始まります。県内でも県医師会は「国の責務を減らし、患者負担増や受診を抑制するような仕組みを潜ませた『高齢者に負担を求める制度』であると、「反対」を決議されました。「廃止」「見直し」を表明する医師会は全国4分の3の35都府県に拡がっています。国民の批判の高まりに、政府・与党は、保険料軽減などの制度の見直しを何度も行わざるをえない事態に追い込まれています。しかし制度の根幹は何も変わっていません。参議院で、野党提出の「廃止法案」が可決されたのは国民の世論の力です。県として、「後期高齢者医療制度」の「撤廃」を国に求めるべきと考えますが、いかがでしょうか。

次に待ったなしの緊急課題、農業者への直接補填措置についてです。原油価格や生活必需品の値上げが相次ぎ、くらしと営業に大打撃を与えています。わが党は、県民各層との懇談を重ね、実態調査を行い、国や県、関係機関に対して申し入れを重ねてきました。こうした時、国の対策待ちになるのでなく、県民の苦難に思いを馳せ、県民の願いに応え、対策を進めることが求められます。今回、漁業者に対して、県としても直接補助に踏み込まれたことは一定の評価をするものですが、同時に、燃油、飼料・肥料・農業資材の急騰は、農家の経営を存続不可能な危機に直面させています。ただ、こうした高騰の原因には投機マネーの暴走があります漁民や農民には何の責任もありません。政治の責任で解決するしかない問題と言えます。そのため、県として、例えば、国際的な協調の力で投機マネーを規制するための実効ある対策に踏み出し投機マネー規制で価格引下げが実現するまでの間、漁業者のみならず農業者に対する直接補填の措置をとることなどを、国に対して求めることが必要と考えますが、知事いかがでしょうか。  

岡山県は、施設園芸農家に対して「園芸産地重油高騰緊急支援対策事業」として、省エネ化促進などの支援を行ってきたところですが、農林水産省の「農業物価指数」によると、重油の価格は、本年7月現在、2005年平均価格対比で実に2.1倍となっており、マスカットやバラなど施設園芸農家は、まさに産地崩壊の危機という事態となっています。緊急措置として、燃油への依存度が高く、漁業と同様に価格転嫁が難しい施設園芸についても、県として直接補填を行うことが必要と考えますがいかがでしょうか。農林水産部長にお伺いします。  

また、今後、大きな問題となるのが肥料価格の急騰です。燐酸・カリ・窒素など肥料原料の殆どは外国からの輸入に頼っており、肥料価格は、それら原材料費の占める割合が高いことから、海外での原料価格の動向に大きく影響されます。昨年と比べ、店頭価格が1.6倍もの大幅な値上がりをしたものもあり、農協のお話では、「今年は何とかしのいでいるが、来年の作付けから深刻な影響がでるのではないか」と心配される事態です。この肥料価格の高騰対策について、農林水産部長のご所見をお伺いします。

次に、財政構造改革プラン素案について伺います。8月27日、石井正弘県知事が発表した「財政構造改革プラン」(素案)に対して、わが会派は「コメント」を発表し、基本的な態度を示しました。今日は、そこで指摘しているいくつかの点について、知事の見解を伺うものです。まず、今回の岡山県財政危機をもたらした責任についてですが、わが会派は、@国の「三位一体の改革」の名による地方交付税の大幅カットA石井県政3期12年間の失政の二つを指摘しています。まず、国の「三位一体の改革」の名による地方交付税の大幅カットや、従前から続いている国直轄事業負担金の、有無を言わさぬ押し付けなど、地方を国の悪政の犠牲にするやり方に対して、これを許さないキッパリとした態度を取るべきと考えますが、知事いかがでしょうか。  

そして大事なことは、その共通項として、石井知事自身が「国の三位一体の改革」路線に乗って、全国知事会で旗振りした「義務教育費国庫負担制度」問題の結果が、国の負担率が2分の1から3分の1へ引き下げされた一方、交付税は抑制基調となったことにより、県財政の悪化をもたらす結果となったことです。ある意味では、石井知事は岡山県だけでなく、全国の地方自治体の財政悪化の責任も問われると考えますが、いかがでしょうか。  

さて、自治体財政の役割と機能を何処で評価するか・・それは「地方自治の本旨」である「住民福祉の向上」が達成できているか、ということであり、その「本旨」を果たす上で「簡素で合理的な運営」が行われているかどうか、にあると考えます。こうした見地からみると、今回の「財政構造改革プラン」(素案)は、耐え難い負担を県民に押し付けるものであり、その発表の瞬間から抗議の声が上がっているのは当然です。その声は、私学関係者や市町村当局、市町村教育委員会、公務員関係の組合、トラック業界など各方面に渡っています。現在開会中の倉敷市議会において、市長は、倉敷市における影響額が、事務事業関連で毎年約5億円、県有施設関連で約2億円と、単年度で最大7億円程度の負担となる試算を示し、「市が肩代わりする事は困難」と反対する立場を表明しました。知事はそうした声にどういう立場で臨むつもりなのでしょうか。お伺いします。とりわけ、岡山市・倉敷市から反対の声が出されている「保健所建設費補助金」の廃止は「協定違反」とも言えるものであり、許されないと思うのですが、いかがでしょうか。

次は、県庁職員・教職員の定数削減問題と給与削減問題です。ある意味では、石井知事の「行財政改革」は、職員・教員定数の削減と給与カットの歴史といっても言い過ぎではありません。本来の「簡素で合理的な行政運営」とは「規模の小ささ」を競うものでないことは明らかで、問題は「合理性があるかどうか」です。その点で、今回の知事の定数削減の手法は、行政運営の効率化という視点を欠落させたもので、合理性があるとは思えません。実際の事業の見直しと定数の見直しがリンクしてないからです。これでは、現場に極端な労働強化と県民サービスの低下を招くことは間違いありません。事業の見直しとリンクさせて、定数の管理を図る本来の「行政改革」に戻すべきだと考えますが、いかがでしょうか。  

また、全国最悪の給与カットは、職員・教員とその家族に犠牲を強いるだけでなく、地域の労働者の生活悪化に連動し、地域の景気にも影響するものといえます。一方的な削減計画を撤回し、人事委員会の勧告を踏まえた本来のルールに沿った給与決定に戻すべきだと考えますが、いかがでしょうか。   

関連して、心身障害者医療費公費負担制度についてです。障害者にとって命綱であり、財政危機の中でも後退させてはなりません。全国でも厳しい原則一割負担の導入という制度改悪が実施されて10月1日で2年となります。障害者は耐え難い苦しみを押し付けられてきました。改めて撤回・見直しを求めるものです。当初の県の計画では低所得者への激変緩和措置は今年度までとなっています。現在所得がゼロの世帯の場合1000円、住民税非課税世帯は2000円という所得による一部負担限度額を2倍に引き上げるもので、低所得者にとって耐えられないものです。少なくとも減額措置は継続実施すべきと考えますがいかがでしょうか。  

また負担限度額を超えた場合、各人の口座に償還給付される仕組みですが、65歳以上74歳までの任意加入の方を含めて、後期高齢者医療制度加入者で、この公費負担制度の対象となる方の4月診療分が未だに償還されていません。あってはならない、こうした事態になぜなったのでしようか。早急に改善を求めるものですが、併せて保健福祉部長にお伺いします。

この項、最後は教員の定員削減についてです。今後の5年間で400人もの教職員の定員削減を進める計画といいます。しかし、本県では、この10年間で、既に教職員定数が909人減少しています。県内の臨時教員数は小学校で14%、中学校で20%にのぼり、子どもと学校現場に深刻な事態を引き起こしています。さらに今回の素案では、児童生徒の減少に伴う自然減などに加えて、一部を正規教員の講師等への振り替え=つまり「定数振替」で行うと言います。小・中学校は義務教育であり、教員の定数は標準法などによって定められており、学校に必要な教員は正規教員が配置されるのが本来のあり方です。ここで指摘するのは、これまで岡山県は今回と同様の手法で、教員定数を定数内講師、非常勤講師などに振り替えてきました。しかもその数は年々増加してきています。今年度(2008年度)でみると、教員定数のうち、なんと1137人分が、903人の定数内講師と234人分の非常勤講師に振り替えられ、234人分の非常勤講師は、さらに1000人規模の実人数となっています。ここまで非正規化が拡大しているにもかかわらず、県の公表は不十分です。小・中学校のそれぞれの定数内講師数、また非常勤講師数の現状はどうなっているか。  

また、これ以上の教員定員の削減を行い、財政削減のために臨時化を進め、子どもたちと学校現場に犠牲を強いることは論外ではないでしょうか。併せて教育長のご所見をお伺いします。  

非常勤講師の方々は、「生徒の細かな情報が入ってこない」と悩み、「長期休暇は収入がなくアルバイト」「予告無しの雇い止め」「保険も年金もない」と、ワーキングプアとも言うような劣悪な労働条件のもとで働いています。「講師は使い捨て。人生設計が立てられない・・・」ある臨時教員の声です。「妊娠が判明すると、退職勧奨を受けた」「妊娠したら産休を取りたいと言ったら「やめてもらうことになる」と言われた、「一度やめたら常勤の話はなくなる」とも言われた」という常勤講師の声をお聞きし、驚きました。労働基準法や男女雇用機会均等法にも抵触するのではないでしょうか。こうした実態を教育委員会は把握しておられるのでしょうか。教育長にお伺いします。  

今回の「財政構造改革プラン」素案では、教育分野を「配慮分野」としたとしていますが、教育条件を大幅に切り下げる内容となっています。「財政危機」を口実に教育を犠牲にしてはなりません。

次に、チボリ問題です。わが会派は、遅きに失したとはいえ、知事がチボリへの税金投入に終止符を打つ決断を下したことについてはこれを評価するものです。その上で、このたび知事が提案説明でお示しになったチボリ問題の総括についてですが、県政を預かる最高責任者の総括文書としてはあまりにもお粗末です。その理由は、第一に、多額の税金を投入したにもかかわらず中途で挫折に追い込まれたこの事業に対する県としての基本的な評価がありません。第二に、このような事態を招いた責任の所在について県行政としての分析が全くなされていません。第三に、従って、今後の県政に生かすべき教訓が何一つ導き出されていません。  

まず、第一の点ですが、私は、チボリ公園事業は岡山県政史上特筆に値する大失政だと考えています。知事は、平成16年度までで、県全体で約5,800億円、倉敷市で約3,000億円の経済波及効果があったという試算を金科玉条のごとく持ち出すわけですが、チボリ開園前の平成8年と昨年・平成19年を比べて、例えば、倉敷市の代表的な観光地である美観地区では観光客が59万3千人、率にして15.6%も減少しています。知事はこの事業について、目標を100点とすれば、達成された成果は概ね何点位と評価されますか。また、その理由もお聞かせ下さい。  

続いて二番目の責任問題です。知事の総括を要約すると、平成12年度から非常に厳しい経営状況になった原因は「景気の低迷」と「開園効果の減退」と「減損会計基準の適用」で、「県民・市民公園化」を基本的方向性としたのは「県議会」と「在り方検討委員会」と「県民」が望んだから、しかしそれが行き詰まったのは「倉敷市」と「デンマーク・チボリ社」のせいで、知事である石井正弘ご自身は「取り得る最善の選択をしてきた」、つまり、自分には全く落ち度はなく、うまくいかなかった責任は全て他にあるというのが結論です。しかし、わが党が再三指摘してきたように、「5年後には補助金なしに単年度黒字化」というT・J社の「経営改善計画」の見通しを前提に35億円もの新たな支援策を立案し議会に提案したのは他ならぬ知事自身ではありませんか。チボリの閉園が決まった今の時点で客観的に振り返れば、この35億円の税金投入は、全く無意味であり、チボリの幕引きの時期を引き延ばすことに役立っただけです。知事、自らの政策判断の誤りによって貴重な税金を無駄づかいしたことについて、あなたは何の責任も感じないのですか。この際、はっきりとお答え下さい。  

三番目の教訓についてです。知事自身の総括では、このチボリ事業からは、今後の県政に生かすべき教訓は何ひとつ導き出せなかったと理解してよろしいのですか。それとも、それは第三者委員会の仕事だとお考えですか。お答え下さい。知事の総括で触れられていましたが、バブル景気にうかれ、国の制定した民活法やリゾート法に乗り遅れまいと、第三セクター方式のレジャーランドに莫大な税金をつぎ込む道に、県行政も、議員も突き進んできた事について、どう総括し、どのような教訓を得るのかが、問われているのではないでしょうか。  

関連して、総括の中には、「岡山市が撤退を表明した際や、一部公設民営方式に変更した際には、慎重な対応を求める意見等が、また、借地方式や、公共性と収益性の両立を求められる第三セクター方式、さらには事業の採算性等についても、色々な意見があった」ことが指摘されていますが、その意見の詳細についてお示し下さい。  

また、総括の最後の部分で、「私としては、官と民との役割分担、県と市町村との役割分担、県行政の守備範囲等に更に思いを致し、……全力で取り組んでいく所存」とありますが、どのような問題意識からあえてこの三つの点について言及したのか、その理由をお聞かせ下さい。いずれも知事にお尋ねします。  

最後に、第三者委員会の設置をされましたが、県民の意見を聞く、パブリックコメントなどを実施すべきと考えますが、知事のご所見を伺います。

最後に高潮災害対策についてです。平成16年の台風16号の高潮被害から4年がたちました。この間、高潮被害地域の住民の声をお聞きしてきました。台風シーズンを前に「不安で眠れない」との住民の声がたくさん寄せられます。以下、土木部長にお伺いします。  

潮位だけを考慮し試算すれば、平成16年に大規模災害をもたらした台風の規模で、現在、高潮を防止できるのが、倉敷市内で6割程度とお聞きしました。「岡山沿岸海岸保全基本計画」を、既往最高潮位などにあわせて見直し、改訂されましたが、この基本計画に基づいた県内の海岸における高潮対策の実施状況はどうか。また、今後の整備計画はどうか。  

一方で、各地で局地的な集中豪雨被害が相次いでいます。岡山平野はゼロメートル地帯が多く、三大河川の下流域の地盤は、洪水時の河川水位より低いところが多く、内水対策が重要だと考えます。ため池や県管理の河川などの安全点検、内水ハザードマップの作成を含め、県として内水対策を市町村と協力して進めることです。今後、どのように対応していかれるのでしょうか。お伺いします。



答弁

知事  

後期高齢者医療制度についてであるが、いわゆる長寿医療制度は、高齢化に伴い医療費の増大が一層見込まれる中、従来の老人保健制度の諸問題を解決し、国民皆保険制度を将来にわたり持続可能なものとするため、現役世代と高齢者で、ともに支え合う制度として設けられたものである。県としては、こうした趣旨を十分御理解いただけるよう、広域連合や市町村と連携を図りながら、引き続き、制度の周知に努めてまいりたい。また、長寿医療制度に関しては、高齢者や医療関係者などから様々な御意見をいただいているところであり、こうした地方の実情については、しっかりと国に伝えてまいりたい。  

国への要望についてであるが、燃油価格等の高騰は加温栽培を行う園芸農家などへの影響が大きく、その経営の維持が懸念されることから、県としてはこれまでも、国による総合的かつ抜本的なエネルギー対策の推進や農林漁業者への経営安定化対策の強化などを要望してきたところである。国は8月末に示した総合経済対策の中で、省エネ・省資源型生産への転換を進める基本方針の下、省エネ設備・技術の導入や効率的な施肥体系への改善等に取り組む農業者グループに対し、燃料や肥料費の増加分に着目した支援をモデル的に実施することとしている。県としては、国の動向や原油価格の推移も注視しながら、国に対し、お話の直接補てん措置を含め、対策の一層の充実・強化を要望してまいりたい。



農林水産部長  

施設園芸農家への支援についてであるが、お話の県独自の漁業用燃料油価格高騰対策は、経費に占める燃料費の割合が高い上に、その増加分を魚価に転嫁できないことから、休漁せざるを得ない漁業の窮状に鑑み、一日も早い支援が必要と判断し、国の補てん措置が実施されるまでの緊急的措置として設けたものである。加温が必要な施設園芸についても、漁業と同様に経費に占める燃料費の割合が高く、冬期の重油の需要期に向けて経営は厳しさを増すと予想されることから、農業者に対する国の総合経済対策の具体的内容や、今後の原油価格の推移も注視しながら、県として必要な措置を検討してまいりたい。  

肥料価格高騰対策についてであるが、本年産用の肥料は多くの農協で、また、来年産用の肥料についても一部の農協で、値上がり前の価格で必要量が確保されているが、来年以降、経営費に占める肥料代の割合が高い水稲や麦などの生産への影響が懸念される。このため、これまで農業団体等と連携し、堆肥や緑肥を活用した土づくりや、土壌診断に基づいた肥料の種類、施肥量、施肥方法等の見直しを進め、技術指導マニュアルの作成・配布及びホームページへの掲載等を通じて農家への普及を図ってきたところである。今後とも、こうした技術の一層の普及促進に努め、肥料価格の高騰による影響を最小限にとどめるとともに、化学肥料を抑えた環境にやさしい農業の推進にもつなげてまいりたい。



知事  

国に対する姿勢についてであるが、交付税ショックにより、本県の一般財源が約300億円減らされ、国によって一方的に失われたこの財源については、国において復元されるべきものと考えている。また、国直轄事業負担金についても、自治体に対して、個別に財政負担を課する極めて不合理なものであることから、早急に見直すべきであり、特に、維持管理に係るものは、本来管理主体が負担すべきであり、直ちに廃止すべきであると考えている。こうした考えから、今回の改革プラン素案においても、安定的な財政運営に必要な地方交付税等の総額の確保や国直轄事業負担金制度の見直しを国に対して一層強力に主張することを盛り込んでいるところである。今後とも全国知事会等と連携しつつ、あらゆる機会を捉えて、国に対してより一層強力に主張していく所存である。  

義務教育費国庫負担制度についてであるが、私としては、地域の実情に応じた教育が実現できるよう、負担率の引き下げではなく、全て税源移譲すべきである旨を強く訴えてきたにもかかわらず、自由度の向上につながらない単なる負担率の引き下げという結果になったことについては、極めて遺憾であると考えている。なお、負担率が2分の1から3分の1に引き下げられたことに伴う、全国の地方自治体財政への影響については、地方交付税の算定の中で、それに見合った額が算入されているところである。  

関係者等の声についてであるが、ご指摘のとおり、各方面から要望書等を頂いており、また、私自身も直接お話しを伺うこともあり、その趣旨については、十分理解している。今回の改革は、財政再生団体への転落を絶対に回避し、岡山県の明るい未来を切り拓くために、何としても成し遂げなければならないものであり、今後とも各方面に丁寧に説明を尽くすとともに、十分にご意見をお伺いし、いただいたご意見を全体的に検討していく中で、必要性や緊急性などを総合的に勘案し、11月中には最終的な方針を決めてまいる所存である。  

保健所建設費補助金についてであるが、県は、岡山市・倉敷市が、保健所政令市に移行するに当たり、各市と協議の上、協定を締結して、保健所建設費の起債償還経費等について、毎年度補助金を交付してきたところである。しかしながら、今回の見直しに当たり、市町村との役割分担を厳しく精査する中で、保健所の建設は、本来、保健所政令市が自らの負担において行うものであること、また、全国的な動向として、保健所政令市移行の際に保健所建設費に助成をしていないこと、更に、県の極めて厳しい財政状況からも、こうした政策的な補助金を引き続き交付することが困難となったことから、人口規模や財政力が高い両市には自立して事務事業を実施していただくことにより県財政の再建に御協力いただきたいと考え、今回の改革プラン素案に盛り込んだところである。岡山・倉敷両市に対しては、こうした県の考え方を丁寧に説明し、また、両市からの御意見も十分お聞きしながら、御理解がいただけるようお願いしてまいりたい。  

定数削減の手法についてであるが、定数削減の目標として、知事部局等において、同規模県と比較して最もスリムな体制を目指すことを考えている。具体的には、事務事業や公の施設などの見直し、これまでの仕事のやり方の見直しなど様々な工夫をしながら、見込まれる業務量を適切に把握し、定数に反映させるとともに、徹底して簡素で効率的な組織体制を整備することにより、適切に定数の見直しを行ってまいりたい。  

給与カットについてであるが、人事委員会勧告制度の重みは十分認識しているところであるが、本県の明るい未来を切り拓いていくためには、今回の改革を何としても成し遂げなければならないと考えており、この改革を進めていくために、緊急避難的な措置として、やむを得ず、給与カットを行わざるを得ないことについて、職員には、大変心苦しく思っているところである。こうした臨時的な対策に依存した財政運営から脱却すべく、今回の改革に全力で取り組んでまいりたい。



保健福祉部長  

心身障害者医療費公費負担制度についてであるが、お話しの措置は、18年に、給付と負担の公平を図り、持続可能な制度となるよう見直しを行った際に、低所得者への特別の配慮として、本年度までの経過措置として実施しているものであり、御理解いただきたい。また、御指摘の長寿医療制度加入者で、この公費負担制度の対象となる人が、複数の医療機関の受診等により窓口での負担が限度額を超えた場合の償還給付についてであるが、それぞれの制度の電算システムを調整する必要があり、現在、システムの開発等について、関係機関と鋭意協議を進めており今後できる限り早期に給付が行われるよう適切に対応してまいりたい。



教育長  

まず、定数内講師数等についてであるが、定数内講師は、将来の児童生徒数の減少への対応などのため、本年度は、小学校で324人、中学校で326人を配置している。また、非常勤講師は、少人数指導や不登校対策など、きめ細やかな指導の充実のため、小学校で276人、中学校で334人を配置している。改革プラン素案では、教育委員会としても定員削減に取り組むこととしており、事務効率化等による事務局職員の削減や児童生徒数の減歩に伴う教職員の自然減で対応するほか、大変厳しい財政状況であることから、やむを得ず正規職長の講師への振替えも行うこととしている。いずれにしても、講師の人材の確保に取り組み、学校への影響が最小限となるよう努めてまいりたい。  

次に、非常勤講師等の実態についてであるが、常勤講師や非常勤講師の採用にあたっては、任用期間や職務内容、給料や報酬の額などの勤務条件を本人に具体的に説明している。また、お話の個々の具体的な事例については承知していないが、常勤講師の妊娠の際には、産前・産後の特別休暇を承認するなど、県の条例や規則に基づいて対応するようにしている。いずれにしても、常勤講師や非常勤講師の勤務の在り方については、法令等に基づき適正なものとなるよう、引き続き市町村教育委員会や学校を指導してまいりたい。



知事  

チボリ公園事業の評価についてであるが、私としては、一貫して公園を維持し、安定的に運営することを基本に取り組んできたところであるが、開園11年余りで事業を廃止せざるを得なくなったことは、道半ばと言わざるを得ず、誠に残念であり、大変申し訳なく思っているところである。しかしながら、倉敷チボリ公園は、開園以来1700万人を超える入園者を迎え、本県の重要な広域観光拠点として、また、県民・市民の憩いの場として、大きな役割を果たしてきたところであり、経済波及効果のみならず、公園の整備を契機として、周辺地域のインフラが整備され、倉敷駅周辺のまちづくりも進展するなど、地域の活性化にも大きく貢献してきたものと考えており、具体的に何点と評価することはできないが、一定の成果はあったものと考えている。  

私の責任についてであるが、平成13年度においては、チボリ公園が県民の憩いの場として、また、観光拠点として、県民の貴重な財産となっていることに鑑み、公共性、文化性あふれる県民の公園として安定的な発展を図る必要があると考え、チボリ・ジャパン社が作成した経営改善計画に沿って追加支援を行うこととしたところである。社員一丸となった取組にもかかわらず、経営改善計画が達成できなかったことは残念であるが、経費の大幅な削減により、13年度に約27億円もあった当期損失が、計画当初想定されなかった減損会計基準の適用を除けば、2〜3億円程度に大幅に縮小しており、一定の成果はあったものと考えている。しかしながら、結果として、チボリ公園事業を廃止せざるを得なくなったことは、この事業を当初から主導し、支えてきた県の責任者として、責任を痛感しているところである。  

教訓等についてであるが、総括でお示ししたとおり、県としては、その時々で取り得る最善の選択をし、チボリ公園事業を推進してきたところである。しかしながら、一部公設民営方式や第三セクター方式、事業の採算性等について色々な意見があった中でスタートしたチボリ公園事業を、結果として、開園11年余りで廃止せざるを得なかったことに鑑みれば、私としては、今後の県政運営に当たって、官と民との役割分担、県と市町村との役割分担、県行政の守備範囲等について、さらに思いを致し、県民本位の県政を第一義として、全力で取り組まなければならないと考えているところである。また、第三者委員会は、行政内部からの視点にとどまらず、客観的、多角的視点から、チボリ公園事業を検証いただくため、設置したものである。なお色々な意見について、その詳細を、とのことであるが、積極的に事業を推進すべきとの意見があった一方で、岡山市の撤退表明の際には、「事業の必要性は認識しているが、課題も山積しており、慎重な取組が必要」とか「第三セクターは、民間のような自由な発想になじみにくい」、「白紙撤回」との意見が、一部公設民営方式への変更の際には「チボリ公園建設は是とするが、事業実施には慎重な対応が必要」とか「採算性に問題がある」、「見直し案は白紙に戻し、事業は凍結を」との意見等があったところである。  

県民からの意見聴取についてであるが、チボリ公園事業について、行政内部からの視点にとどまらず、独立した立場で、客観的、多角的な視点から検証をいただくことも必要であることから、今般、地域・経済や法律、企業監査等の各分野の専門家の方々で構成する検証委員会を設置したところである。お話のパブリック・コメントについては、県の施策の基本方針を定める計画等に県民の皆様の多様な意見を反映させることを目的としたものであることから、事業の検証には馴染まないものと考えている。



土木部長  

高潮対策についてであるが、16年台風による高潮被害に対応した護岸の嵩上げなどの緊急対策を昨年度までに完了したところであり、現在、16年台風後に見直しを行った岡山沿岸海岸保全基本計画に基づく抜本的な高潮対策を実施しているところである。これまでに、宇野港海岸宇野地区、水島港海岸勇崎宝亀地区の2地区の整備を終え、現在、水島港海岸柏島地区など9地区の整備を鋭意進めているところである。基本計画では、抜本的対策が必要な延長が228kmと非常に長いことから、整備には相当の期間を要するものと考えているが、県民の安全・安心を確保する観点から、想定される被害の程度等を勘案して、この計画に基づいた高潮対策を緊急度の高い区画から着実に推進してまいりたい。  

内水対策についてであるが、内水による浸水被害を防止するには、河川の流下能力の拡大にあわせた排水機場の整備などのハード対策を進めるとともに住民の方々が防災情報をリアルタイムに入手できるようにするなどのソフト対策の充実が重要である。このため、平素より、市町村等関係機関と連携して、水門、排水機場などの施設及びため池等について整備・点検を行うとともに水防訓練を実施する、など、集中豪雨等の浸水被害の軽減に努めているところである。また、岡山県総合防災情報システムにより雨量情報や河川情報を提供するとともに、市町村に対しては、内水ハザードマップを作成して公表するなど情報提供に努めるよう、助言しているところである。今後とも、総合的な内水対策について、関係機関と連携して、被害の防止に努めてまいりたい。



再質問

再質問させていただきます。一つは保健所の問題ですが、協定違反だ、と言ったんです。そのことをひとつ押さえておきたいと思います。それともうひとつが後期高齢者医療制度にかかわって、障害者の方の還付給付の遅れの問題です。これは県に責任があるのではないでしょうか。私、倉敷市からのご報告を聞いたのですが、65歳から74歳、1,156人。うち後期高齢者加入者数1,139人。後期高齢対象者の方は県および広域連合と国保連合会のシステムがうまくいっていないため、現在のところ、4月分から自己負担限度額を超えた額の償還給付は不明。県が指導、とわざわざ書いてあるわけで、県の指導はどうだったのか、ということをもう一度お答えいただきたいと思います。  

それと障害者の方の減額措置ですが、本当にこれはね、いまやっちゃならないと思います。この障害者の方の実態をどうとらえているのか、このところが今問われていると思います。これは求めたいと思います。  

もう一点。教員の問題なんですが、みなさんに資料をお配りしていると思うのですが、この間私は何度もこのことを取り上げてきました。これはどういうことかと言いますと、先程定数内講師と教育長おっしゃいましたが、本来は正規教員で雇ってもいい教員の先生。東京などはほとんどそうやっておりますけれども、岡山県の場合は年々年々、その定数内の先生を臨時化、非常勤化してきた、ということです。こういう状態で(パネルを示しながら)、そしてここの非常勤化というのがどういう状況かといいますと、このように、定数を、非常勤の先生(大体時間10時間弱くらいだと思いますが)、分けてここまで、135人を610人、小中学校に限っての話ですが、ここまで非常勤化を進めているという実態がある、ということです。実は私18年の2月議会で宮野前教育長が定員削減について、私の質問に対して、「安易に臨時的任用を行うことは慎むべきと考える」とご答弁されました。また去年の2月議会で教育長ご自身も「これは指導形態工夫のため」というふうにおっしゃっていました。それはそういう論もあるかな、ということもあるかもしれませんが、今回はですね、財政構造改革でこれまでの計画をさらに増やす、ということですよね。財政削減のために非正規化という手法を取る。このことをもう一度確認したいと思います。そしてこの400人の削減のうち、定数振り替えを何人やろうとしているのか、ということをお答えいただきたいと思います。  

先程非常勤の労働条件に関して、ご答弁いただきました。「十分把握していない」ということですが、妊娠した方が、退職勧奨を受ける、職場を去らなければならない、ということが一件、二件ではない、ということです。この実態を把握してください。県はそういう建前であっても実態はそうはなっていない、ということです。そして、あわせまして、ある小学校ですが産休代替の先生が来ない。校長先生が授業に入る、教頭先生が授業に入る、教務主任の先生がもう大慌てで今大混乱だ、というお話もお聞きしました。現場の状態をしっかりつかまなければならないのではないか。このことを改めてご質問したい、というふうに思います。  

それと知事のほうが義務教育費の国庫負担制度について言われたんですが、私、当時の全国の知事会のご意見があるモノを持ってきましたが、付帯記録として多くの知事が「義務教育費国庫負担制度を廃止しては困る」「急ぐべきではない」「議論が充分必要だ」このように言われている付帯の意見がついていたと、いうことをみましても、どれほどこの問題にみんなが憂慮したか、と言うことだと思います。私がお聞きしたいのは、いま「地方交付税で算定された」とおっしゃいましたが、私実際調べててみましたが、平成18年度の義務教育費の決算調査ですけれども、国が280億円、岡山県は565億円払わないといけない。この差額がちゃんと、交付税で措置されたのかどうか。このところをちゃんと数字でお示しいただきたいと思います。  

最後はチボリの問題ですけれども、やはり「最善の選択をしてきた」とおっしゃるわけです。この問題についてはみなさんに資料お配りしていますが、この資料に見られるようにこれが最善の選択の結果だ、ということです。また引き続き再々質問させていただきます。この状態について知事はどのようにお考えでしょうか。5年前に(補助金を)出してからどんどん下がっていくと。知事が最善の選択をされてこの結果、でございます。このところについての再度のご答弁をお願いしたいと思います。



再質問への答弁

知事  

再質問にお答えいたします。義務教育費国庫負担制度につきましてでございますが、当時知事会で大激論がございまして、多数決ということで決した関係上、付帯意見ということで取りまとめたものでございます。そのご質問でございますけれども、二分の一から三分の一に引き下げられたという私といたしましては遺憾な結論でございましたけれども、これに関しましての自治体財政への影響、これは金額はこれはちょっと今資料がここにございませんけれども、あくまでもこれは必要額というものは義務的なものでありますから、地方交付税算定のなかで当然のことでございますけれども基準財政需要額の中にしっかりと算入されて計算されている、これがもうわれわれ地方財政対策の基本でございますから、それはもう当然そうなっているはずでございます。数字はちょっとここで持ち合わせておりませんので、答弁はできませんけれども、そういう考え方は国と地方との信頼関係の基本でございます。  

倉敷チボリ公園についてでございますけれども、確かにお示しされましたような入園者数の推移ということでございます。ただこの点は、先程もご答弁申し上げましたようにチボリ・ジャパン社の方で経営改善計画これを作られました。これにそって私は追加支援、ということを決定させていただいたわけですけれども、社長が先頭に立ちまして、社員一丸となって一生懸命取り組んでいただきました。確かに入園者数がこのようになった、ということで計画通りとならなかった、と。達成ができなかったということは残念に思っておりますけれども、しかしながらその当期損失という面におきましては、先程ご答弁申しましたとおり、大幅に縮小してきておりまして、経営の改善という、その方向性につきましては一定の成果はあったもの、とこのように私は考えているところでございます。以上でございます。



保健福祉部長  

お答えいたします。まず償還給付が遅れていることについてでございますが、複数の医療機関を受診した場合の償還給付の額につきましては、長寿医療制度の電算システムから医療費等の情報の提供を受けて、算定する必要がございますが、そのためのシステムの開発が遅れている、ということでございます。ひとつには、長寿医療制度のシステム自体の開発が遅れた、ということと、長寿医療制度の電算システムから医療費のデータを取り出す際に技術的な問題がある、ということでありまして、その関係でシステムの開発が遅れている、ということでありまして、長寿医療制度がスタートいたしました4月以降、その償還をできていない状況が続いているところでございます。この利用者の方々には大変ご迷惑をおかけしているということでございまして、大変申し訳なく思っているところでありますが、現在できる限り早期の償還給付を目指しまして広域連合や国保連合会と鋭意協議を進めているところでございまして、今しばらくお待ちいただくようお願いいたしたいと存じます。  

経過措置の継続についてでございますが、平成18年の改正につきましては、給付と負担の公平を図り、持続可能な制度となるよう見直したものでして、低所得者への特別な配慮として実施している経過措置についても今年度末までとしているところであります。なお、この制度改正後の状況につきましては審査支払い機関等からの情報によりまして注意深く見守ってきたところでありまして、経過措置が終了する21年4月以降も、障害者の必要な医療が確保されるよう適切な制度の運用に努めてまいりたいと存じます。

また保健所建設費補助金についてでございます。協定書におきましては、県が保有しておりました岡山環境保健所、または倉敷保健所と同程度の規模の保健所が建設できるよう、応分な負担をする、ということを県として約束しているところでございますが、先程知事のほうから答弁を申し上げたとおり、県のきわめて厳しい財政状況からも、こうした政策をですね、引き続き継続するということが困難になった、という事情がございますので、そういった事情についてしっかりと岡山、倉敷、両市にご説明する中でご理解を頂き、またその協定書の内容についても見直しをしていく、というようなそういう手続きが必要になるかと存じます。以上でございます。



教育長  

再質問にお答えいたします。約400人のうち、定数振り替えを何人やろうとしているのか、ということでございます。まずは事務効率化等による事務局職員の削減、これをどれだけできるか、ということをできるだけがんばり、またそれから児童生徒数の減少に伴います教職員の自然減、これを煮詰めてまいりまして、そして尚足らない部分につきまして、大変厳しい財政状況であるということからやむを得ず正規職員の講師への振り替えも行う、ということにしているところでございます。それから非常勤講師でございますが、代員がなかなか入らない、いうことでございますが、急に病気休暇をとって休むようになるといいますか、そういうような場合等もございまして、なかなかすぐに代員が確保できないという部分はございますけれども、今一生懸命代員を探して学校に入っていただくように努力をしているところでございます。また非常勤の実態等ももっとよく把握してほしい、ということでございますが、しっかり把握に努めまして勤務のあり方につきましては、法令等に基づきまして適正なものとなりますように引き続き先程ご答弁申しあげましたけれども、市町村教育委員会や学校を指導してまいりたいというふうに考えております。以上でございます。



再々質問  

償還給付についてですが、システムができてないというのは口実にならないのではないですか?答弁になってないと思います。障害者の方がどういう思いでこの障害者医療の一割負担の元で暮らしているか、ということを知らないといけないと思います。障害1級の方が、医療費が足りないからというので、動かない手で内職をされているのですよ。こういう実態があります。さらに県に診療抑制が起きているのではないかとお尋ねをして、「資料を出してください」と言ったら、出ません。「何故ですか」と言ったらこれです。「システムができていないから分からない。手作業でなら出ます」とおっしゃったんです。これは有り得ないことだと思いますが、もう一度ご答弁をお願いしたいと思います。それで、本当に減額措置というのは、改めてそうした実態を踏まえた上でもう一度検討するとご答弁いただきたいと思うのですが、どれだけ診療抑制が起きたか、負担が起きたか、この4月以降わかっていないわけです。それも分からずにこういうご答弁をされるのは間違っていると思いますがいかがでしょうか。これが一つです。  

それと教育長にお伺いいたしますが、急な病気で足りない、それはわかります。それもいけないのですが、産休は決まっています。妊娠が分かってから、産休というのは8週間前とか決まっているわけです。それも確保できない実態があるということ、これをどう把握されているのかということと、先程把握していないとおっしゃった妊婦の方が退職勧奨を受ける、こんな実態をこんなご答弁だけで済ませてよいのか、ということです。本当に厳しく、きちっと把握をして、こういうことが二度と起こらないようにしていただきたいということをお願いしたいと思います。  

チボリですけれども、またチボリ・ジャパン社の経営改善計画のせいにされました。鵜呑みにされた、ということではないですか。この鵜呑みにする、そして誰かの責任にするということでここまで来たと。161億円あった出資金も0です。ほとんど0です。そして三百数十億円の県の税金が支出されました。このところ鵜呑みにしたのではないか、知事はどのような判断をされたのか、知事の判断自体が間違っていなかったのかどうか、ということを私はお聞きしているので、改めてご答弁お願いしたいと思います。そして倉敷市全体でですね、美観地区で59万3千人、平成8年と19年で減っているわけです。倉敷市全体で言えば61万7千人、チボリを除けば減っているわけです。そして岡山県全体でもチボリを除いて客数は28万6千人減少していることです。相乗効果どころか、倉敷市の観光にとってもチボリがマイナスであった。これは数字の上では明らかではないでしょうか。そして本当に国の補助金が1円もつかないような事業にこれだけの税金がつぎ込まれてきたんです。これが本当に福祉や教育や本当に県民のために使うことができたお金だと。今回の財政危機にあたっても、もし320億円貯金としてあればこんな議論はしなくて済んだのではないか、という思いを込めまして再々質問とさせていただきます。



答弁

知事  

再々質問にお答えいたします。経営改善計画についてでございます。当時チボリ・ジャパン社におかれましては、この計画を作って、そして入園者数を増やし、そして必要なリストラとかいったようなことを図りながら経営を立て直していきたいという案が示されまして、種々協議する中で、これにそって県としてもそれでは追加支援していこうということで、私自身考えを議会にもお話をさせていただきまして議論をさせていただきました。結果としてですね、このようなことになったわけですけれども、しかし本当に社員一丸となって一生懸命社長の指揮の下取り組んでいただいたと思っております。数字的には先程申しましたとおり、累損の当期の損失につきましても大幅な縮小等の一定の成果はあったものと、こう考えているところでございまして、私はその都度それぞれの諸状況、それから今後の見通しといったことも勘案しながら、私自身責任を持って判断をしてきたわけでございまして、観光客の減の問題も今ご指摘になりましたけれども、しかし倉敷チボリ公園があることによって観光客が相乗効果で非常に増えたということはこれはまた間違いないことではないかと、このように思っているわけでございまして、そういった大きな経済波及効果はあったものと、このように考えているところでございます。いずれにいたしましても、しかしこのような結果となったということにつきましては、主導してまいりました県の責任者といたしまして責任を痛感しているところでございまして、改めて関係の皆様方に心からお詫びを申し上げさせていただきたく次第でございます。以上でございます。



保健福祉部長  

まず償還給付についてでございますが、こういった償還給付の支給につきましては、正確に適切に実施する必要がある、ということでありまして、まずはそのためのシステム開発を優先させる、ということでこれまで取り組んできたところでございますが、先程答弁させていただいたとおりの状況がありまして、現在その開発が遅れてしまっている、ということでございます。いずれにしましても障害者の方にですね、たいへんなご迷惑をおかけしているということは事実でありますので、現在手作業での作業についてもですね、検討し4月にさかのぼってしっかりと給付できるように職員には作業を急ぐよう指示しているところでございますので、いましばらくお待ちいただくようにご理解をいただきたいと存じます。あとこの公費負担制度の施工後の状況につきましては18年に改正されておりますが、その後の状況を審査支払い機関等からの情報によりまして注意深く見守ってきたところでありまして、またこの4月以降の状況につきましても長寿医療制度以外のところについてはデータ等は把握できているところでありまして、そういったデータから勘案しますと、特に大幅な受診抑制が生じているというようなそういうことは起こっていないのではないか、というふうに受け止めているところでございます。以上でございます。



教育長  

再々質問にお答えをいたします。代員の確保ということに関わりましては、基本的にはホームページによります広報でありますとか、県内外への大学での説明とか、あるいは採用試験受験者への周知とか、そういうふうなことでお願いをしてきているところでございます。しかし都市部におきまして代員が現在不足するというような状況も起きておりまして、いま担当者も一生懸命人材を発掘するといいますかそういう努力をしてきております。できるだけ早く学校に入っていただけるようにがんばりたいと思います。それから非常勤講師等の勤務状況につきましてでございますが、実態等十分把握をいたしまして、法令等に基いて適切なものとなりますように指導をしっかりやっていきたいというふうに思っております。以上でございます。




武田英夫県議の討論
 

通告に従い、反対討論を行います。今議会に提出された議案には全て賛成ですので、請願3件、陳情31件について、委員長の報告どおり決することに反対をします。  

さて、現代日本の「格差と貧困」の根源にあるものは何でしょうか・・一つは、社会保障制度の大改悪で、それは社会的弱者を憲法に保障された社会保障制度そのものから除外する意図をもった大改悪です。そしてもう一つは、小泉内閣以降の新自由主義路線=規制緩和路線です。とりわけ、労働法制の大改悪が、人間を人間扱いせず、使い捨てにする社会にしている問題です。今議会に提出されている請願・陳情には、その二つの問題に関るものが多く出されており、県議会としてはそれを採択することを求めるものです。  

まずは、陳情第86号「社会保障関係費の2200億円削減方針の撤回を求める意見書の提出について」は、採択するよう強く求めるものです。さる7月27日、岡山県の医師会をはじめ県下の医療関係者が総結集した岡山県国民医療推進協議会が主催した「地域医療崩壊阻止のための決起大会」が「2200億円削減断固反対」のスローガンを掲げて盛大に開催されました。集会では、「岡山県では既に地域における医療の崩壊は始まっている」「これ以上の医療費削減は、地域医療を完全に崩壊させる」と深刻な声が出され、来賓として出席していた自民党の国会議員の方々も「頑張る」という決意を表明されていました。この陳情は、そうした内容をそのまま反映したものであり、そうした医療関係者の声を県議会が不採択にするなどということは、絶対にあってはならないことではないでしょうか。小泉内閣以来、社会保障予算の自然増さえ認めず、2002年度には3000億円、03〜07年度までは毎年2200億円ずつ削減し、すでに年間1兆4000億円が削減されました。その結果、医療、年金、介護など社会保障のあらゆる分野で、負担増と給付削減が押し付けられ、社会保障から排除される多くの人々を生み出し、国民のくらしを圧迫し、不安を広げています。こんなやり方はもう限界です。そもそも日本の総医療費はGDPの8%、サミット参加7カ国で最下位です。政府が、国民の命と健康をまもる責任を果たし、高薬価や高額医療機器などにメスを入れつつ、歳入・歳出の改革で財源を確保するならば、公的医療保障を拡充し、高齢化や医療技術の進歩にふさわしい規模に充実することは可能です。以上の立場から、私は本陳情の採択を強く求め、さらに社会保障関係の陳情を全て採択するよう求めるものです。  

次は、陳情第54号「働くルールの確立を求める意見書の採択を求めることについて」、陳情第73号「貧困の連鎖を断ち切り、市民生活を底上げすることを求める意見書の採択を求めることについて」の2件についてです。先日私は、「私たちのまち・岡山を考える市民の集い」に参加し、作家の雨宮処凛さんの講演「プレカリアート・・若者たちの現実と反撃」を聞く機会がありました。プレカリアートとは「不安定な労働者」という意味で、現在の非正規雇用・日雇い派遣問題などの本質をえぐった意義深い講演でした。先般、岡山労働局が発表した資料によれば、労働者派遣が製造業まで拡大された結果、製造現場での派遣労働者の死傷者が急増していることが明らかになりました。労働者派遣の規制緩和が、ものづくりの現場に大変な事態を引き起しているだけでなく、そこで働く人の命まで脅かしているのです。1986年に労働者派遣法が施行され、たび重なる規制緩和がくりかえされてきた結果、派遣労働者は321万人へと急増しています。今日の貧困の根底にあるこうした労働の破壊と非正規雇用の拡大を根本的に見直すことは、日本社会が直面する重要課題です。とりわけ、派遣労働者の権利をまもり、非人間的な労働実態を改善することは、緊急課題となっています。その立場から、岡山県議会としても国に向けて意見書を挙げるべきだと考え、本陳情の採択を求めるものです。  

最後に陳情第84号「議会基本条例の策定を求めることについて」ですが、一言意見を申し上げ、継続審査の態度をとるものです。地方議会の権限は地方自治法の第2節第96条に明記されています。そして、「地方議会の位置づけの確立と向上」の課題は、全国議長会でも議論され、地方自治法も重要な改正が行われていることは周知の通りです。今地方議会に求められていることは、こうした既に定められている法律や条令に基づいて、議会が議会の役割を果たすかどうかです。そうした点で、いま我々議会にとって必要なことは、現在我々に課せられている責務をキチンと果たすことであり、現在岡山県議会においても議論されている政務調査費問題、出県旅費問題、国内外の視察問題など、さらには本会議での一問一答方式や事前協議制の導入など懸案の課題を解決し、議会としての責任を果たすことだと考えます。また、県当局において「総括」が議論されている「チボリ問題」では、当局の責任だけでなく、「議会の責任」についてもキチンと総括がなされなくてはなりません。それらは今の法律や条例で十分出来ることであり、新しい条例を作る必要はありませんし、意味もないと考えます。その立場から、継続の態度を取るものです。  

以上で討論を終わります。


議案に対する各党(会派)の態度

共産 自民 民主 公明 賛否
議第 58号 平成20年度岡山県一般会計補正予算(第2号)
議第 59号 平成20年度岡山県営食肉地方卸売市場特別会計補正予算(第1号)
議第 60号 工事請負契約の締結について
議第 61号 平成19年度岡山県営電気事業会計の決算認定について
議第 62号 平成19年度岡山県営工業用水道事業会計の決算認定について
議第 63号 一般社団法人及び一般財団法人に関する法律等の施行に伴う関係条例の整備に関する条例
議第 64号 知事等及び職員の給与の特例に関する条例の一部を改正する条例
義弟 65号 岡山県環境影響評価等に関する条例の一部を改正する条例
議第 66号 岡山県立特別支援学校設置条例の一部を改正する条例

請願・陳情に対する各党(会派)の態度

各会派の態度
新規継続 受理番号 受理
年月日
委員
提出者 要旨 紹介議員 共産 自民 民主 公明 採否
継続 陳情第 50号 200204 総務 日本会議岡山 永住外国人への地方参政権の付与を日本政府に求める意見書を採択しないよう求めることについて × × ×
新規 請願第12号 200908 総務 日本会議岡山 天皇陛下御即位20年奉祝行事開催について 蓮岡 × ×
新規 陳情第67号 200804 総務 岡山県私学協会 私学助成に関する意見書の提出について
新規 陳情第68号 200818 総務 岡山県市長会 新たな過疎対策法の制定に関する意見書の提出について
新規 陳情第69号 200826 総務 岡山県町村会 新たな過疎対策法の制定に関する意見書の提出について
新規 陳情第74号 200908 総務 岡山県私学協会 岡山県財政構造改革に対する緊急要望について
新規 陳情第76号 200908 総務 真実の歴史を学ぶ会 天皇陛下御即位20年奉祝行事開催について × ×
新規 陳情第77号 200908 総務 日本をよくする岡山県民の会 天皇陛下御即位20年奉祝行事開催について × ×
継続 陳情第 2号 190402 生・保 木下 富夫 公的年金の未加入期間を国民年金でつなぐ場合の期間の延長に関することについて
継続 陳情第37号 191120 生・保 岡山県難病団体連絡協議会 難病相談・支援センター事業の充実について
継続 陳情第39号 191120 生・保 岡山県難病団体連絡協議会 医療附帯療養費支給事業の継続を求めることについて
継続 陳情第65号 200609 生・保 特定非営利活動法人岡山県精神障害者家族会連合会 精神障害者の地域移行支援に関することについて
新規 陳情第70号 200829 生・保 特定非営利活動法人岡山県精神障害者家族会連合会 精神障害者の地域生活確立を促す保健福祉に関することについて
新規 陳情第71号 200829 生・保 特定非営利活動法人岡山県精神障害者家族会連合会 精神障害者の地域生活確立を促す保健福祉に関することについて
新規 陳情第73-1号 200908 生・保 岡山県青年司法書士協議会 貧困の連鎖を断ち切り、市民生活を底上げすることを求める意見書の採択を求めることについて
新規 陳情第75-1号 200908 生・保 (社)岡山県トラック協会 燃料価格高騰・経営危機突破に向けた各種施策の実現を求めることについて × ×
新規 陳情第78号 200909 生・保 岡山県社会保障推進協議会 介護保険制度の見直しと改善を求める意見書の提出について × × ×
新規 陳情第79号 200909 生・保 林友の会 関係者やひきこもり家族への相談・支援活動の実施について
新規 陳情第80号 200909 生・保 林友の会 精神医療・福祉の充実と精神障害者への偏見・差別解消のための啓発活動を強力に推進することについて × ×
新規 陳情第81号 200909 生・保 林友の会 児童思春期の対策を具体化し、早急に実施することについて
新規 陳情第82号 200909 生・保 林友の会 JRを初め、全ての交通機関の運賃割引サービスを精神障害者にも適用するよう関係機関に働きかけ、また、県でも独自施策を検討することについて × ×
新規 陳情第86号 200910 生・保 日本労働組合総連合会岡山県連合会 社会保障関係費の2200億円削減方針の撤回を求める意見書の提出について × × ×
新規 陳情第87号 200910 生・保 日本労働組合総連合会岡山県連合会 生活品の物価高騰に対する緊急対策を求める意見書の提出について
継続 陳情第34号 191108 産・警 国鉄労働組合岡山地方本 JR不採用事件の早期全面解決を求めることについて
継続 陳情第54号 200221 産・警 岡山県労働組合会議 働くルールの確立を求める意見書採択を求めることについて × × ×
継続 陳情第55-3号 200221 産・警 岡山県労働組合会議 原油価格高騰に関する緊急対策を求める意見書提出を求めることについて
継続 陳情第57号 200225 産・警 全日本建設交運一般労働組合岡山県本部 トンネルじん肺根絶の抜本的な対策を求める意見書の提出を求めることについて
新規 陳情第72号 200908 産・警 岡山県高齢者福祉生活協同組合 協同労働の協同組合法(仮称)の速やかなる制定を求める意見書採択に関することについて × × ×
新規 陳情第73-2号 200908 産・警 岡山県青年司法書士協議会 貧困の連鎖を断ち切り、市民生活を底上げすることを求める意見書の採択を求めることについて
新規 陳情第75-2号 200908 産・警 (社)岡山県トラック協会 燃料価格高騰・経営危機突破に向けた各種施策の実現を求めることについて
新規 陳情第83号 200910 産・警 岡山労災職業病支部 トンネルじん肺根絶の抜本的な対策を求める意見書の提出を求めることについて
新規 陳情第85号 200910 産・警 日本労働組合総連合会岡山県連合会 仕事と生活の調和(ワーク・ライフ・バランス)の街づくり宣言を求めることについて
新規 陳情第75-3号 200908 土木 (社)岡山県トラック協会 燃料価格高騰・経営危機突破に向けた各種施策の実現を求めることについて
継続 陳情第22号 190911 文教 岡山県教職員組合 教育予算の拡充を求める意見書の採択を求めることについて
継続 陳情第26号 190911 文教 障害者の生活と権利を守る岡山県連絡協議会 倉敷地域に県立養護学校新設を求めることについて
継続 請願第 5号 191203 文教 ゆきとどいた教育をもとめる岡山県民の会 県独自の少人数学級の拡大を求めることについて 武田森脇赤坂
継続 請願第 6号 191203 文教 ゆきとどいた教育をもとめる岡山県民の会 教育費の父母負担軽減を求めることについて 武田森脇赤坂
継続 陳情第35号 191108 文教 岡山県立弓削高等学校存続期成会 岡山県立弓削高等学校の存続を求めることについて × × ×
継続 陳情第52号 200218 文教 岡山聾学校同窓会 岡山県特別支援学校編成について、岡山聾学校単独校の維持に関することについて  
継続 陳情第 5号 190607 議運 NPO法人市民オンブズマンおかやま 政務調査費収支報告書に領収書等の添付を求めることについて
継続 陳情第14号 190613 議運 市民本位の市政をつくる会 政務調査費に関することについて
継続 陳情第15号 190820 議運 民主県政をつくるみんなの会 政務調査費に関することについて
継続 陳情第28号 190912 議運 NPO法人市民オンブズマンおかやま 岡山県議会の議員の報酬及び費用弁償等に関する条例第3条3項の改正を求めることについて
新規 陳情第84号 200910 議運 日本労働組合総連合会岡山県連合会 議会基本条例の策定を求めることについて
○:採択、△:継続、×:不採択