2006年12月定例県議会


森脇ひさき県議の一般質問と答弁(要旨)
赤坂てる子県議の一般質問と答弁(要旨)
武田英夫県議の討論
議案に対する各党(会派)の態度
請願・陳情に対する各党(会派)の態度

議会報告



森脇ひさき県議の一般質問と答弁(要旨)



日本共産党の森脇ひさきでございます。

まず、新岡山夢づくりプランでも位置づけられている道州制について、意見を述べておきます。  

地方自治法に明記されておりますように、地方自治体の役割は、住民の福祉の増進を図ることです。言い換えれば、地方自治の基本は、住民の目線で、住民のニーズにどうこたえるかということだと思います。ところが、現在の道州制議論には、道州制が住民にとってどうなのかという視点がまったく欠如しています。先日開催された「道州制推進シンポジウム」でもそうでした。この点は大きな問題だと思います。また、「中四国州」実現を口実にして、「岡山の拠点性を高めるための基盤整備」などと、実態にあわない、背伸びした目標を設定し、その達成のために巨大な開発に拍車がかかることを危惧します。私は、地方自治とは何か、原点に立ち返った議論からはじめるべきだと考えます。



1.障害者自立支援法について  

それでは、通告に従って質問をさせていただきます。  

まず、障害者自立支援法についてです。  

障害者自立支援法によってどんな事態がおこっているかについては、9月議会で指摘しました。県として「実態調査をする」と答弁されましたが、調査されたでしょうか。調査の内容と方法、そしてその結果をお示しください。また、結果をどう受け止めておられるでしょうか。保健福祉部長におうかがいします。  

障害をもつ人から見た場合、最大の問題は、応益負担が導入されたことと、10月から障害区分認定が実施されたことです。障害区分認定によって少ない人でも3分の1、多い人では半分に制度利用が制限されました。「今まで24時間のケアが必要だった50過ぎのAさん。ホームヘルプサービスの利用時間を減らさざるをえなくなって、紙おむつをしなければならなくなった」と、事業所の方も、涙を流して訴えていました。「自立」というのは、人間らしい暮らしを保障することだと、私は考えますが、「自立支援法」によって、いま実際に起こっていることは、人間の尊厳もふみにじられる事態だと言わなければなりません。このような実態を承知されていますか。また、このような実態をどう感じますか。保健福祉部長におうかがいします。また、このような事態が明らかになっても、応益負担の中止や障害区分認定の改善について、国に求める考えはありませんか。知事におうかがいします。  

制度の改善を求める声が、障害者団体などから市町村に、県に、そして国に届けられています。すでに倉敷市では独自の支援策を始めています。国においても利用者負担の更なる軽減等が検討されていますが、県としてこのままでよいのでしょうか。市町村を支援する制度を導入するよう求めますがいかがでしょうか。知事におうかがいします。  

次に、障害者自立支援法は、障害者や家族だけでなく、施設で働く職員にも大きな影響を及ぼしており、その改善を求めて質問します。全国福祉保育労働組合の調査によりますと、「時間外を含む実労働時間が増えた職場は43%」、「増加した労働時間を平均すると1週間あたり8時間」、「休日出勤が増えた職場は29%」との結果がでています。障害者自立支援法による報酬単価の引き下げや日払い方式の導入により、多くの障害者施設・事業所は大幅に収入がダウンし、窮地に立たされています。施設事業者は経営維持のための苦肉の策として、土曜日開所や夏・冬の閉所期間の短縮などをおこなっており、その影響が職員の労働時間増として現れているわけです。  

職員構成では、正規職員が減った一方、臨時・パート職員が増えた職場が多くなり、正規職員の非正規職員への置き換えがすすんでいる実態も明らかになりました。職員削減の理由は、「施設収入が減った」が61%を占め、障害者自立支援法の影響であることは明白です。「生活していけない」と職場を去る労働者も少なくないと言います。福祉を支えるマンパワーが消滅する恐れがあります。施設事業所がどのような状況になっているか、これについても実態調査が必要だと思いますがいかがでしょうか。また、事業所への報酬の引き上げ等、国に対して改善を要望するべきだと思いますが、いかがでしょうか。あわせて知事におうかがいします。



2.福祉のまちづくりについて  

次に、「福祉のまちづくり」について質問いたします。  

先日、バリアフリー化を誇るサンステーションテラス岡山「さんすて」を、肢体障害者の方、視覚障害者の方と歩く機会がありました。車イスを利用していた肢体障害の方には段差がなく、お店の陳列棚も低めに配置されており、さすが「さんすて」と、みんなで感心しました。  

ところが、視覚障害の方には「さんすて」に向けての点字ブロックはなく、1人では歩けませんでした。「目の見えんもんは入ってくるなということか!」と、みんな怒っていました。ユニバーサルデザインに熱心にとりくみ、福祉のまちづくり条例を制定している岡山県としても、点字ブロックおよび点字の案内版を設置すること、点字地図を配布することなど関係機関に働きかけてほしいと思いますがいかがでしょうか。保健福祉部長におうかがいします。  

JR岡山駅の切符売り場、改札口に向けては点字ブロックが敷設されていました。しかし、2階への階段を上がったあと、左へ右へ何度も曲がっていますから、自分がどっちを向いているのかわからなくなります。自動販売機まで、どうにかたどりついても1人で切符が買えません。自動販売機の横に点字の運賃表が貼り付けられていましたが、目の見えない人には、そこに貼り付けられていることがわからないわけです。何とか切符を買えたとしても、今度は改札口がどこにあるのかわかりません。以前なら、新幹線に乗ろうと思えば、階段は1つでした。そこを上がれば正面が改札口ですから迷うことも少なかったわけです。改装後は、ワンフロアーですので、どちらへ行けばよいかわからない。このような場合には、誘導チャイムが必要ですが、新幹線の改札口には設置されていませんでした。在来線の改札口は、誘導チャイムがついていたのですが、鳴らされていませんでした。県としても、障害者の声を聞き、鉄道施設の点検もして、JR西日本岡山支社に改善を求めるべきだと思いますがいかがでしょうか。  

また、今までも改善を求めていますが、エレベーターは相変わらず荷物用です。更に、2階改札口近辺にはトイレがありません。これらについても早急な改善と整備を求めていただきたいとおもいますが、いかがでしょうか。併せて、生活環境部長におうかがいします。 この機会にあらためて他の商店街をみてみましたら、地下の一番街も、表町商店街も、点字ブロックはないに等しいものでした。天満屋のバスステーションは、バス乗り場には点字ブロックがあるものの、待合室に向けてはありませんし、点字の案内もありませんでした。視覚障害者の立場からみてみると、バリアフリー化はすすんでいないことを実感しました。この際、視覚障害者も安心して歩けるまちづくりに向けて、全県的な点検と、障害者参加での検討が必要と思いますがいかがでしょうか。知事におうかがいします。



3.高齢者医療・福祉について  

次に後期高齢者医療制度について質問します。  

この制度は、75歳以上の高齢者(後期高齢者)を現在加入している国民健康保険や組合健保などから切り離し、後期高齢者だけを被保険者とする独立した医療保険制度にしようとするもので、再来年度から発足します。  

これによって、後期高齢者ひとり1人から保険料が徴収されることになり、その金額は全国平均で月々6,200円と推計され、8割以上の方は介護保険料と同様に年金からの天引きとなります。さらに問題は、後期高齢者の医療給付費が増えれば、保険料の値上げにつながるという仕組みになっています。保険料の滞納者は保険証が取り上げられ、「短期被保険者証」「資格証明証」が発行されることになります。  

国は「制度の維持」を強調しますが、だからと言って高齢者の命と健康に重大な影響を及ぼすようなことがあってはなりません。私は、県としてどのような支援ができるかを研究し、必要な支援をおこなうことを求めますが、いかがでしょうか。後期高齢者医療制度に対する見解もあわせて、知事におうかがいします。  

この項二つ目に、介護保険制度について質問します。本年度から介護サービス情報の公表制度がはじまりました。これにともなう手数料は県条例で決まったわけですが、岡山県では6万6,000円と、全国第3位の高額に上り、施設の規模に関係なく一律負担というのは非常に厳しいという声が関係者からあがっています。県にも見直しの要望が届いていると思いますが、ぜひ改善をお願いしたいものです。これまでにどのような検討がされているでしょうか。保健福祉部長におうかがいします。  

次に、5年に1度の資格更新の際に受講が義務づけられているケアマネジャーの更新研修について、他職種との兼務が多いという実態にあった研修プランに改善することも必要だと思います。この件につきましても、検討状況を教えてください。保健福祉部長におうかがいします。



4.若者の雇用問題について  

次に、若者の雇用問題についてお伺いします。知事が提案説明で述べられたように、県内の雇用情勢は改善がすすんでいます。また、岡山労働局の調査による高等学校、大学等の卒業予定者の就職内定率も、10月末現在で昨年より上回っています。ただ、10月末現在で、高校生では910人、大学生等では4,797人が、不安な中で就職活動を続けており、関係方々にはいっそうのご支援をお願いします。  

二点おうかがいします。一つは、高校生の就職について、派遣・請負・契約社員・有期(期限付き)雇用など、いわゆる不安定雇用分野への内定についてです。日本高等学校教職員組合と全国私立学校教職員組合連合の調査によりますと、調査学校数のうち43.3%の学校で不安定雇用求人が増え、不安定雇用率は全国平均で昨年度の約2倍と報告されていますが、岡山県ではどうでしょうか。また、高等学校では、不安定雇用分野からの求人に対してどのように対応しているでしょうか。併せて、教育長におたずねします。  

二つめは、職業訓練に関してです。高校や大学等の卒業時に職につけず、やむなくアルバイトや派遣で働く人も少なくありません。そういう方々が職業訓練を受けたくてもお金がないために受けることができないという場合、それはあまりに残酷です。生活保障つきで職業訓練の機会をつくるか、あるいは奨学金制度の創設を検討していただきたく思います。知事におうかがいします。



5.県立自然公園の指定について  

次に、環境問題について一点おうかがいします。  

いま、岡山市の御津虎倉地域へ産廃処分場計画が申請され、地域では大きな問題になっています。51万立方メートルの埋立て処分場で、日量87.4tという規模の焼却炉、木屑やがれきの破砕施設、汚泥の脱水施設、油水分離施設をそなえる、民間では有数の複合施設です。処分場の是非については、岡山市が決めることですので、住民の声をしっかり聞いて、賢明な判断をされるよう期待します。  

さて、ご承知のとおり、この地域では、国の絶滅危惧U種に選定されているオオタカの営巣が確認されました。ハイタカ、ハチクマ、サシバなどの猛禽類やサンコウチョウ、オオムラサキ、カジカガエルなどの希少な動物、キンランなどの希少な植物も生息しています。下流の大野川ではホタルの乱舞も見られ、毎年ホタル祭りもおこなわれています。農業用水、飲料水の重要な水源でもあります。このような自然豊かな地域を守るためにも、「県立自然公園に指定してほしい」という要望が私のところにもたくさんよせられています。知事のご見解をお願いします。



6.農業問題について

(1)足守川パイプライン化事業について  

次に、足守川パイプライン化事業について質問します。岡山南部土地改良事業について来年度、水管理システム建設の予算が要求されているとのことです。そもそも水管理システムとはどういう目的で設置するのでしょうか。現時点では、パイプライン本体工事着工の目途も立っていませんし、管理主体も決まっていません。また、農家のみなさんは、水管理システムの導入によって、田植えの日取りの融通がきかなくなると心配しています。農家の方々の声を無視してこのような施設をつくることは、「十分理解を得られるようにする」というこれまでの国や県の姿勢にも反します。どのようにお考えでしょうか。併せて、農林水産部長におたずねします。ムダ遣い計画がさらにムダ遣いをよぶものになっていると言わなければなりません。国営事業とはいえ、岡山県の負担もあるわけですから、財政難の折、中止を求めるべきだとおもいますが、いかがでしょうか。知事におうかがいします。

(2)中山間地農業の振興  

次に、中山間地農業の振興についておうかがいします。農政の基本は、農家を元気付け、生産意欲を高めるものだと思います。その点で最も大きいのは、売れることです。地産地消を推進する立場で、何とか支援策を考えてほしいと思っています。  

生産者と消費者の交流事業は、市街地の消費者・非農家が生産地へ出かけて農業体験をする場合が一般的でしょうが、逆に生産者が市街地へ出かけ、そこで交流の場をもつ、そのようなとりくみへの支援があってもよいのではないでしょうか。農林水産部長におたずねします。  

また、地産地消の推進として生産者あるいはそのグループが、市街地の商店街の空き店舗を利用して販売する場合の支援をお願いしたいと思いますが、農林水産部長のご所見をおうかがいします。同時に、空き店舗の解消で商店街ににぎわいをとりもどす契機にもなると思いますが、産業労働部長のご所見をおうかがいします。



7.安倍首相の教育論について  

最後に、安倍首相の教育論について、岡山県とかかわる部分について、教育長におうかがいします。  

安倍首相は、教育基本法改悪法案の早期成立をねらい、公立小中学校に、学校選択制、学校・教師の評価制度、教育バウチャー制度を導入するとし、すでに内閣に有識者からなる「教育再生会議」を設置しました。これらは、「教育再生」の名のもとで、教育の格差と競争をいっそう拡大するものだと考えます。

(1)一斉学力テスト   

さて、1つめは、来年度から実施予定の一斉学力テストについて質問します。  

この間大きな問題になった、「いじめ」も、高等学校での未履修問題も、その背景として、受験を中心とした競争主義の教育という問題が指摘されています。国連子どもの権利委員会からも二度にわたって、受験競争による「過度なストレス」という問題が指摘されています。これらについて、教育長はどのようにお考えでしょうか。まずおうかがいします。  

東京都ではすでに、一斉学力テストが実施され、学校ごとの成績が公表されています。しかも学区制廃止・学校選択制とセットでおこなわれているのが特徴です。その結果、「成績上位校」といわれる学校には新入生が集中し、他方では、新入生ゼロの学校が生まれているということです。隣の学校は新入生がいっぱいいるのに、自分の学校は春になっても入学生がない。このことは学校で学ぶ子どもたちの心に、どんな深刻な傷をあたえるか、考えただけでも胸が痛みます。さらに、一斉テストでよい成績をとるために授業時間をふやすなど、学校間競争が激しくなり、先生にも大きな負担となり、子どもたちのストレスに拍車をかけています。  

私は、このようなテストは実施しないことを望みますが、実施する場合でも、学校の序列化につながるような結果の公表はするべきでないと思います、いかがでしょうか。

(2)教職員評価制度  

いま一つの質問は、教職員評価制度についてです。  

学校で起こるすべての問題は校長が責任を問われますし、児童・生徒との関係では担任教員がどのような役割を発揮するかが大きいことは言うまでもありません。同時に、学校の先生も生身の人間です。弱さもあれば。助けてほしい時もあるわけです。今問題になっている「いじめ」への対応でも、「学級崩壊」という問題への対応でも、そうですが、いま、先生ひとり一人の悩みもきちんと受け止める教師集団の果たす役割が重要になっていると思います。教育長はどのようにお考えでしょうか。まずおうかがいします。  

今年度から教職員評価制度がはじまっています。先生になったといっても何もかも完璧にこなせるものではありません。日々新しい変化があり、発見があり、そのなかで成長していくのが人間のあるべき姿だと思います。教育は生きた人を相手にするわけですから、こうだと思って一生懸命やって、ある生徒にはそれで成功する場合もあれば、別の生徒には伝わらない場合もあるわけです。教育はまさに「人間の内面的価値に関する文化的営み」といわれるゆえんです。  

このような教員のとりくみを評価するとどうなるでしょうか。失敗は許されなくなります。「自分は『ダメ教師』になりたくない」という意識が先に立てば、教師の思い通りにならない子どもは気に入らないと思ってしまうでしょうし、他の教師の弱い部分は欠点としか見えない。したがって、自分の弱い部分はできるだけ隠そうとするでしょう。クラスでおこっている問題や悩みも言い出せなくなり、そのことは教師集団のチームワークを分断するということになってしまいます。単なる心配に終わればいいのですが、教職員評価制度についての教育長の考えをお聞かせください。人事評価制度を導入している民間企業で、様々な矛盾・弊害も指摘されています。矛盾・弊害が明らかになった場合でも制度を存続するのでしょうか、あわせておたずねし、質問を終わります。



答弁

保健福祉部長  

実態調査等についてであるが、県では、11月に、身体・知的障害者及び障害児の全施設を対象に、サービス利用の状況等について報告を求めたところである。その結果、経済的負担を主たる要因として、サービスの利用を中止した者は、入所・適所合わせて、3月以降10月までの累計で28名、通所施設の利用日数を減じた者は、4月以降10月までの累計で44名、また、障害児施設については、10月に利用を中止した児童は、該当者が無く、通所施設の利用日数を減じた児童は、42名との回答であった。これらの障害者の方々の中には、新たに他の事業者のサービスを利用している場合等もあると承知しており、今後とも施行状況を把握してまいりたい。  

障害者の実態についてであるが、障害程度区分は、サービスの必要度に関する客観的な尺度として導入されたものである。具体的なサービス量は、障害程度区分のほか、障害者のサービス利用に関する意向や介護を行う家族の状況なども勘案し、市町村において支給決定されるものであり、県としては、一人ひとりの実情を踏まえて適切に決定するよう市町村を指導しているところである。



知事  

国への要求についてであるが、自立支援法の費用負担については、国会等において十分な審議がなされた結果、福祉サービスの利用者も含めて、国民全体で制度を支え合う公平な仕組みとするため、サービスの利用量と所得に応じた費用負担となるよう導入されたものであり、基本的な枠組みの変更を国に求めることは考えていない。また、障害程度区分は、サービスの必要度に関する客観的な尺度として導入されたものであるが、県では、県内での判定の状況等も踏まえ、障害程度区分認定の妥当性・客観性の確保のため、コンピューターによる一次判定の精度向上などを、国に対し、働きかけているところである。  

市町村への支援についてであるが、県では、施行後の状況等も踏まえ、制度設計を行った国の責任において、速やかに適切な対策を講じるよう、中国地方知事会を通じて国に働きかけるとともに、自立支援法の円滑な運営が図られるよう十分な支援措置等について、独自に重点提案も行ったところである。  

施設の実態等についてであるが、関係団体の調査などから、施設収入の減少が見られるなど、事業者に一定の影響があるものと承知している。県では、こうした状況等も踏まえ、利用者に対する良質なサービスが提供されるよう、制度設計を行った国の責任において、事業者への影響について適切な対策を講じるよう働きかけてきたところである。現在、国において、事業者に対する更なる激変緩和措置等が検討されているものと承知しており、県としては、国の動向等も踏まえながら、必要に応じ、適切に対応してまいりたい。



保健福祉部長  

サンステーションテラス岡山についてであるが、県では、福祉のまちづくり条例に基づいて、店舗や公共交通機関の施設等の生活関連施設について、必要な点字ブロックの設置等を求めるなど、住みよい福祉のまちづくりを進めているところであり、ご要望については、福祉のまちづくり条例に基づく協議等の権限を有する岡山市や、施設を設置しているJR西日本にお伝えしてまいりたい。



生活環境部長  

岡山駅の改善についてであるが、駅を大規模改良する際には、いわゆる交通バリアフリー法により、高齢者や身体障害者等の移動が円滑に行われるよう施設を整備することが、事業者に義務付けられている。県としては、JRに対して、障害のある人の声を十分聞き、誰もが利用しやすい施設整備を行うよう強く要請してまいりたい。また、岡山市が建設中の東西連絡通路の完成時には、地下の一番街と2階を結ぶエレベーター等が整備されると聞いているが、それまでの間の適切な案内や障害者に対する配慮についてもJRに要請してまいりたい。なお、議員ご指摘の点については、JRに伝えさせていただく。



知事  

視覚障害者も安心して歩けるまちづくりについてであるが、県では、福祉のまちづくり条例に基づき、道路などを含め、生活関連施設について、設置者や管理者に、必要な点字ブロックの設置等を求めるとともに、バリアフリー化に向けた提案等の訪問活動などを行うバリアフリーアドバイザーの資質の向上に努めているところである。また、福祉のまちづくり条例では、特定の生活関連施設の新築等をしようとする者は、障害者等の意見を聴くよう努めることとされており、今後とも条例の趣旨等の理解の促進を図るとともに、バリアフリーアドバイザーの活用も図るなど、福祉のまちづくりを進めていきたい。  

後期高齢者医療制度についてであるが、この制度は、世代間の負担の公平化などを図るため、「高齢者の医療の確保に関する法律」に基づき、社会保険方式で創設されるものであり、今後の超高齢社会を展望すれば、こうした制度の創設など、医療保険制度の見直しは必要と考えている。この法律では、低所得者に対する保険料の軽減措置が設けられており、県は、これに対する財政補填を行うこととなっている。



保健福祉部長  

介護サービス情報の公表制度についてであるが、本県の手数料は、調査及び公表が円滑に実施できるよう、事業所の調査を行う調査員数や、調査に必要な日数、必要となる経費等を勘案して、国のガイドラインに基づき算定したものである。お話のような要望があることは承知しているが、現在、国においてガイドラインの見直しが検討されていると聞いており、県としては、その動向を注視し、適切に対応してまいりたい。  

ケアマネジャーの更新研修についてであるが、更新研修は、介護保険法の改正により、今年度、制度化され、研修課目や時間数は、厚生労働省告示で定められている。県では、現在、更新に必要な研修を実施しているが、受講対象者の勤務実態にも配慮して、休日の開催や同一課目の複数日開催等に努めているところである。今後とも、対象者にとって受講しやすい研修となるよう検討してまいりたい。



教育長  

まず、不安定雇用率等についてであるが、県教育委員会では、お話のような不安定雇用の求人数等については、把握していないが、学校基本調査によると、本県の平成18年3月の公立私立の高校卒業者のうち、一時的な仕事に就いた者は217名であり、前年度と比較して97名減少している。また、高校では、就職を希望する生徒に対して、学校で受理した求人票や厚生労働省の「高卒求人情報ウェブサービス」の求人票を閲覧させており、その中には、正規雇用でない求人も一部含まれている。各学校では、生徒の希望と将来性等に配慮しながら、雇用形態や雇用期間の定めの有無等の求人内容を十分理解させ、選択するよう進路指導を行っている。



知事  

職業訓練についてであるが、生活保障付き職業訓練や奨学金制度の創設については、県では高等技術専門校における受講料は全額無料としていることまた、国においては、離転職者の職業訓練期間は、雇用保険の延長給付を認めているほか、雇用・能力開発機構においても、技能者育成資金の貸付をしていることから、県としては、こうした新たな制度を創設することは考えていない。  

県立自然公園の指定についてであるが、県立自然公園は、県を代表する優れた自然風景地を関係市町村及び岡山県自然環境保全審議会の意見を聴き、指定するものである。お話の地域は、岡山市が行った調査ではオオタカをはじめ希少な動植物が生息・生育しているとのことであるが、指定に当たっては、県を代表する風景地として評価できることが必要であり、今後、岡山市の意向も踏まえて研究してまいりたい。



農林水産部長  

水管理システムについてであるが、このシステムは、湛井十二ケ郷用水路の各分水ゲート及び高梁川合同堰取水ゲートにおける、水位やゲート開度等の状況監視や取水・分水施設の遠方操作を集中的に行うものである。これにより、この受益地域に適時、適量の農業用水の供給を行い、操作労力の軽減にもつながるものである。また、来年度、国が整備予定の水管理システムは、高梁川合同堰から前川合流点までの開水路部分に係るものであり、パイプライン本体とは関係なく、これまでの国や県の姿勢と変わらないと考えている。



知事  

中止要請についてであるが、来年度、国が整備を予定している湛井十二ケ郷用水路に係る水管理システムは、各分水工を操作している農家の負担を軽減し、この受益地域に適時・適量の農業用水の供給を行うために必要な施設であり、県としては国に対し中止要請をすることは考えていない。



農林水産部長  

生産者と消費者の交流についてであるが、県では「地産地消おかやまフェア」をはじめ、NTTクレド岡山ビルでの「備前地域ふるさと・地産地消フェア」や倉敷チポリ公園での「とれたてうまいもん市」を開催するとともに、岡山ドームで開催された「ミルク&ナチュラルチーズフェア」を支援するなど、都市部における生産者と消費者の交流の場づくりに積極的に取り組んでいる。こうした取組により、地産地消の県民気運がさらに盛り上がるとともに、生産者と消費者との都市部における交流がさらに活発化することを期待している。  

空き店舗を利用した地産地消の推進についてであるが、事例としては、吉備中央町が設置した奉還町商店街の農産物販売店があり、このほかに栄町商店街における6次化商品等の販売を行う半畳市などの取組がある。こうした取組については、農業普及指導センターが中心となって組織している直売所ネットワーク研究会が、消費者ニーズの把握のためのアンケート調査を実施し、それを踏まえて売れる作目づくりや新しい農産物の加工品開発に向けた講習会等を開催している。今後も地産地消を推進するため、こうした支援に努めてまいりたい。



産業労働部長  

空き店舗の解消についてであるが、商店街の空き店舗に新たに出店しようとする団体等に対し、市町村と連携し店舗改装費や家賃の補助制度を設けている。この制度を活用した奉還町商店街の農産物販売店は、大変盛況であると聞いており、商店街の活性化にも大きく貢献している。今後とも、このような空き店舗の解消や商店街の賑わい創出のための事業を、市町村と連携して積極的に支援してまいりたい。



教育長  

次に、競争主義の教育等についてであるが、子どもたちは、自分を取り巻く様々な環境の中で、少なからずストレスを抱えていることは否めないが、子ども一人一人を大切にしたきめ細やかな指導により、個性や能力を伸ばすとともに、様々な体験活動等を通して豊かな心をはぐくむ取組の中で、子どもたちが切磋琢磨しながら育っていくことも大切であると考えている。  

次に、一斉学力テストの結果公表についてであるが、来年度から実施される国の調査は、教育委員会、学校等が、全国的な状況の中で自らの教育や教育施策の成果と課題を把握し、その改善を図ることを目的としており、県教育委員会としては、学校ごとの結果の公表を行うことは考えていない。  

次に、教師集団の果たす役割についてであるが、いじめや不登校、学力向上など様々な教育課題に対応するためには、教職員一人一人の資質能力を向上させ、学校が組織を挙げて特色ある教育活動を展開する必要がある。お話のような教職員の悩みに対応するためには、管理職や同僚とのコミュニケーションを図り、人間関係を深めることや教職員のチームワークによる取組が大切であり、今年度から実施している教職員評価制度は、こうしたことにも対応できると考えている。  

最後に、教職員評価制度の所見等についてであるが、この評価制度は、教職員の資質能力の向上と学校組織の活性化を図るため、目標管理の手法と新しい勤務評価を柱として実施するものであり、県民から信頼される学校づくりに必要なものであると考えている。この評価制度は今年度から導入したばかりであり、課題を把握しながら、その改善に努め、より実効性のあるものとなるよう取り組んでまいりたい。



森脇県議再質問  

せっかく保健福祉部長のほうから、調査をした結果、制度利用を中止したり、抑制した方がいらっしゃる、という御答弁をいただきました。数はそんなに多くないというふうに理解していたとすればこれは大きな間違いだと私は思います。ことは深刻な事態になっていると思うのですね。知事も、そのことを当然認識されていることと思います。こういう実態が明らかになっているのに何もしないということであれば、これは高みの見物だといわれても仕方がないのではないでしょうか。この答弁、県としてはしないということですから、それについては県の役割を放棄するものだと言わざるを得ません。そういう角度で、もう一度御答弁お願いしたいと思います。また、制度自体は公平な制度を導入する、というお話もなさいました。ノーマライゼーションということをみなさんもご存知かと思いますけれども、これは、障害をもっている方の同年齢の市民と同等な権利を保障していく、という考え方なのですね。そのためには、いくらかの制度を利用することが必要だと、その制度の利用を通じて、人間らしい暮らしを獲得していく、実現していく、これが自立だというふうに私は思うのです。制度を利用するために、お金がかかるということになれば、これは公平ではありません。正に不公平そのものではないでしょうか。そういう点も含めて、県として、負担軽減策はもちろんですけれども、同時に応益負担を導入したこと、さらに障害程度区分認定を導入したこと、ここに大きな問題があるのですから、その点についても、国に対して間違いを指摘していただきたいと私は思いますが、この点についてももう一度御答弁をお願いします。

 二つ目は、職業訓練の問題です。確かに受講料は無料ですし、雇用保険だとか育成資金なども利用できるのかもしれません。しかし、いわゆる今大きな社会問題になっているいわゆるニートのこと、さらにはパートやアルバイトを繰り返しているこういう人たちに雇用保険も適用されないし、育成資金も受けることができない方も多いのではないでしょうか。無料で受講ができたとしても、生活費がないわけですね。そういう人に向けた、せめて奨学金制度、就職したあと返す、ということでもいいと思います。低利子の、あるいは無利子の奨学金制度を、ぜひこういった立場で検討していただきたいと思います。いかがでしょうか。  

三つめは、教員評価制度の問題です。教師集団の団結ということが非常に大事だという話を教育長もなされました。ところが、評価をする、ということになりますと、やはり分断もつくり出すということになってしまうわけですね。先程指摘したとおり。そのことがまた傷つきストレスになる。これは評価される人だけでは決してないと思います。評価する人も傷つき、ストレスになるという状況だと思うのですね。教育長は、この評価制度というのを、資質を高めたり能力を高めたり、学校を活性化していく最良の方法だというふうに考えていらっしゃるのでしょうか。別な方法もあるのではないか、というふうに私思うのですけれども、この能力や資質を高めるうえで別の方法もあるのではないかな、と思うのですが、そういうことも教育委員会の中でいろいろ検討された結果なのでしょうか。その辺も教えていただければありがたいと思います。  

最後に、もうひとつはパイプライン化の問題です。御答弁聞いておりますと、なにやら農業が便利になるな、というふうな印象を受けるわけですけれども、実はこれ大きな問題があるのですね。この集中システムにしますと、決められた日取りで田植えをしなければならないということになるわけなのです。今、ご存知のように日曜百姓が中心の、兼業農家が中心の農業になっています。日にちを決められる、ということになると、農業ができなくなってしまう。この点につきましてもこれまで農家の方々が、厳しく指摘をしてきました。パイプライン化事業のひとつの大きな問題として指摘をしてきたわけですね。こういう点もきちんと説明をして、納得をしてもらう努力をされたのかどうか、それなしに、決めたことだからやる、というのはまさに農家のみなさんの反発を一層強くすることになるのではないか、ということを指摘したいと思います。検討されたのかどうか、農林水産部長もう一度御答弁をお願いします。以上です。



答弁

知事  

森脇議員の再質問にお答えいたします。障害者自立支援法につきまして、実態の把握、これは先程保健福祉部長が、私どもが調査したその結果を答弁させていただいた、ということでございます。私もそのことを承知をさせていただいております。県の役割、というようなことでさらにご質問いただいたわけでございますが、たびたび申し上げております通り、現在国のほうにおかれまして利用者負担のさらなる軽減措置が検討されていると、こういう状況であると承知をいたしておりますし、またこの与党と政府の協議を受けまして、また自民党の担当の委員会でも具体的な利用者負担軽減措置等につきましての検討が深められていると、このようにも報告を受けているところでございますので、まずはその国の動向等というものも十分踏まえながら、県といたしましては、必要に応じ、適切に対応してまいりたいと、このように考えているところでございます。根本論からこの制度、大きな問題があるのではないか、という再度のお尋ねをいただきましたけれども、この点も、先程申し上げましたとおり、国会等におきまして、そのような議員ご指摘のような点も踏まえながらの十分な審議がなされたということでございます。そして福祉サービスの利用者というものも含めまして国民全体でこの制度というものを支えあっていく、そういう公平な仕組みにいたしたい、ということで制度設計がされたと、このように承知していることでございまして、この、基本的な枠組みの変更というものを国に申し入れるということは、考えていないところでございまして、ご理解を賜りたいと思います。

若者の雇用問題につきまして、さらに奨学金制度の創設についてのお尋ねをいただきましたけれども、県として行うべきことは行っていると、このように考えております。先程御答弁申しあげましたとおり、高等技術専門校における受講料を全額無料とする等、対応しておりますし、国のほうにおかれましても、様々な制度も、先程御答弁申しあげましたとおり、用意をされておる、ということでございます。県といたしましては、新たな制度を増設するということは考えておりませんので、ご理解を賜りたいと思います。



農林水産部長  

水管理システムの導入によって、田植えの日取り等の融通が利かなくなる、といったご指摘だったと思いますが、水管理システムを導入しても、排水路部分については、分水時期を従前と同じ内容で運営するということにしておりまして、さらに水利権量に変化はございませんし、また、分水口の大きさも変更していない。さらに水管理施設の管理者については、受益農家で構成されている高梁川用水土地改良区とする方向で協議して進めている、ということでございまして、現状の代かきや田植えには影響はない、と考えております。この事業は、元々地元の方々の同意をいただいた全体計画の中に含まれている事業でもございますし、そういうことではございますが、近時現地に入って、利用者の説明をしたか、ということにつきましては事業者である国の行動につきましては把握をしておりません。



教育長

教員評価制度についてでございますが、先程もお答えさせていただきましたが、この制度は教職員ひとりひとりの資質を向上させ、そして学校組織を活性化させる、そして県民に信頼される学校づくりを進めていく、こういう大きな狙いで実施していくものでございます。教員の資質や能力にこれがどうなのか、ということでございますが、これまでいろいろな教員の資質や能力を高める取り組みを進めてきております。そういったものをさらに、教員のいろんな取り組みをしっかり認めていくといいますか、こういうことはこれまで以上に、資質を高めていく、意欲を持っていろんなことに取り組んでいく、というふうに考えているわけでございます。この評価をすることが、教員の分断になるのではないか、というご指摘でございましたが、この教員評価の視点の中に、教職員と連携協力して取り組むとか、そういう視点も入れながら、そういう面からも、見ていくということで、そういうことにできるだけならないような配慮もしていこうということでございます。



森脇議員再々質問  

障害者自立支援法の問題と、パイプライン計画の問題、そして教員評価制度について再質問をさせていただきまして、それぞれ御答弁いただきました。私ね、岡山県の政治本当にこれで良いのか、ということを御答弁いただいて感じています。障害者自立支援法についての知事の答弁というのは、国の動向を見守って、ということでしょ。パイプライン化計画については、国のやることですから、県としては把握しておりません、という話ですし、評価制度についても国が決めたことだから、そのままやります、と。県の自主性はどこへ行ってしまったのでしょうか。岡山県のやらなければいけないのは、現場の声をきちんと聞いて、その現場から出ている声に応えていく、ということが最大の政治の責任だと、私は思うわけですよ。障害者自立支援法について、もう一度質問しますけれども、制度利用を中止しないといけない、抑制しないといけないという事態が生まれている、これはもう明らかに福祉の後退なんですね。そういう問題点をいちばん真っ先に気付くのは国じゃありません。やはり市町村であり、また県、住民といちばん身近なところなのですよね。そこが手を打たないと、いったい誰がするのでしょうか。国の動きを待つ、というのではなく、気付いたのなら早く手を打ってほしい。私はこのことを強く求めるものであります。実は今日パネルを持ってまいりました。「きょうされん」といいまして、全国共同作業所連絡会が調査をした結果なのですが、障害者自立支援法を導入したことによって、市町村独自の負担軽減策が都道府県ごとに、どれだけの比率で実施されているか、ということを示した例です。白がゼロですけれども、赤だとか、紫になるほどたくさんの市町村がその県では実施している、ということになっています。私が言いたいのは、この網目を引いてあるところが見えるでしょうか。栃木県だとか、東京都、京都府、岐阜県、大分県、いずれも赤や紫という、市町村での実施率の高いところです。この網目の引いてあるのは何か、というと県が支援をしているところなのですね。県の支援というのはこれだけ大事なんだということがこれ見ていただいたらおわかりいただけるのではないでしょうか。市町村でいろんな取り組みを全国では始めました。岡山県では、残念ながら、費用負担については障害福祉サービスについては倉敷市だけですし、精神障害者の医療については備前市が行っているようです。もっともっとこれを広めていかないことには、自立に役立たないと思います。障害者自立支援法のひとつの大きな狙いというのは、地域間格差をなくす、ということだったのですね。市町村や県の具体的な制度が導入されないもとで、地域間格差が一層広がっているわけです。国に対しても、最大の矛盾となった応益負担の導入と、障害程度区分の撤回を求めるということを求めていただきたいと思いますし、それが実施されないということで、県としても独自の支援策をつくっていただきたいということをくり返しお願いしまして、またそれに対する御答弁いただきたいと思います。  

もう一つは、一件だけ述べておきますが、足守川のパイプライン化について、いろいろ指摘をこれまでもしてきました。農家のみなさんの理解を得てから事業を着手する、ということを繰り返し答弁されてきたわけですが、今度の場合は既に水路の改修が終わったところだと言いながら結局パイプライン化して必要になる施設の一部を同時につくることになる、というふうにもお伺いをしております。無駄遣いが、さらに無駄遣いを呼ぶ結果になってしまうと思うのですね。さらに、理解を得ながら進めるのだ、ということに反し、これは農政だけじゃない、県行政全てにわたって県民のみなさんの信頼に関わる問題だと私は思うのです。無駄遣いをさらに重ねないためにも、この水管理システムの一時凍結ということも強く訴えて、これは答弁いりませんが、再々質問を終わらせていただきます。



再々答弁

知事  

国の独自支援策を、ということで障害者自立支援法に関しまして、お尋ねをまたいただいたところでございますが、いくつかの県における独自支援策、あるいは県内の市町村の支援策のことも承知をいたしているところでございます。ただ先程来申し上げておりますとおり、国のほうにおかれましてこのたび打ち出そうとしておられます、独自の、今までの実態を踏まえまして、地方からの、我々が地域の実態を一番よく知っている、ということで国のほうに対して強く制度設計を行った国に対して、実情に合わせた方策を、ということを強く要請し、提案してきたわけでございますが、これを踏まえて、国のほうにおいていま方向性は既に出ているわけでございます。そして今現在、具体的な更なる対策というものを、それが利用者の負担軽減策としてどういうものが具体的にでるのか、ということを今注視しているところでありますが、今、自由民主党の担当の委員会で出ております検討の項目を見る限りにおきましては、今既に打ち出しておりますいくつかの県とか市町村の軽減策を上回るようなもの、これをまた含むようなもの、こういったものも検討対象となっているようでございますので、今現在は具体的なそれを受けての中身ですね、これを今注視しているということでございまして、こういった国の新たな対策というものの、具体策、具体化、こういったものを踏まえまして県といたしましては、必要に応じ、適切な対応をしていきたいと、このように考える旨、ご答弁を度々申し上げているところでありまして、ご理解を賜りたいと思います。




赤坂てる子県議の一般質問
 

日本共産党の赤坂てる子です。通告にしたがい質問します。  

まず最初に、医療・福祉について5点お伺いします。  

その第一は、県政において何を重点化すべきか、ということについてです。  

県は、「事務事業の総点検」ということで、公共事業と人件費を除く3,310事業全てを対象として点検を行い、その内1,112事業の見直しを発表しました。保健福祉部でみると、見直し対象は、293事業にのぼります。  

そのなかの一つに難病患者等に対する医療附帯療養費があります。これについては「医療環境の変化や居住生活支援制度が充実されていることから、見直しをおこなう」とされていますが、これは難病患者団体から逆に充実を求める議会陳情が提出され、継続審議になっているものです。また、「8020」運動「325」運動など歯の健康づくり強化事業費も対象にあがっていますが、これは、厚生労働省の「今後の歯科保健医療と歯科医師の資質向上などに関する検討会」において、「8020運動推進特別事業は、今後も歯科保健の中核的役割を担うべきものであると考えられる」とされ「8020運動に加えて、近年の状況変化に対応した生涯を通じた歯科保健対策の展開」の必要が強調されているものです。  

不要となったものを見直すことは当然です。しかし、いまあげたのはほんの一例ですが、県民の福祉にとって必要であり、今後更に充実させることが求められている事業が、逆に、廃止も含む「見直し」対象にあげられているというところに、福祉を軽視する石井県政の県民に冷たい姿勢が端的に示されていると思います。  

さて、県が今年7月に公表した「県民意識に関するアンケート調査結果」によると、「これからの岡山県はどのような地域をめざすことが大切か」という設問に対する回答の第1位は「福祉や医療サービスが充実し、誰もが安心して生活できる地域」です。このアンケート結果は県政にどのように反映されているのでしょうか。この県民の声に照らしても、福祉や医療こそが重点化すべき施策であって、これ以上の県民福祉の後退はしてはならないと考えますが、施策の重点化について、知事の見解をお伺いします。  



二番目は、単県医療費公費負担制度の心身障害者医療費公費負担制度についてです。  

10月1日より、見直しが実施されました。実施2ヶ月が過ぎましたが、深刻な事態が起こっています。  

県の負担増に対して倉敷市、美咲町、美作市、早島町の4市町村が独自負担軽減策を実施しました。11月7日付の山陽新聞に掲載された県民アンケートによると、石井県政が悪くなった理由の第1位は「医療・福祉などが後退した」で、福祉の後退に対する県民の批判は大きく、元の無料にもどすことを求める声が一層大きくなっています。改めて元の無料にもどすよう求めます。また、県は「施行状況を見守る」と答弁されましたが、どう把握されているのか、保健福祉部長にお伺いします。  

知事は、今年の2月議会において、重度心身障害者医療について「全国と比べても最悪の制度」ではないかとの私の質問に対し、「一概に比較はできないと」答弁されました。私は、改めて全国を調べてみましたが、やはり全国で一番冷たい県と言わざるをえません。  

今年見直しをした県は、13府県です。内4県は入院時食事療養費助成の廃止のみ、自己負担の見直しは6県、そのうち一割自己負担導入は、岡山と山形県のみです。県は65歳を過ぎてからの身障手帳取得者を対象からはずす「年齢制限」を導入しました。これを導入したのは、静岡、青森、東京、高知、和歌山、岡山の6県です。青森、静岡、高知は等級が重い場合や低所得者に助成を行っています。岡山県の制度は65歳を過ぎて障害者となった全ての高齢者を切り捨てるものです。岡山県の制度は、自己負担額、対象とする障害等級、所得制限、年齢制限、どこから見ても最低水準ではありませんか。知事の見解を求めます。  

心身障害者医療費公費負担制度の見直しは、障害児と家族にとっても深刻な事態を生み出しています。障害児の医療は発達・健康にとって重要です。しかも障害児を抱えた若い世帯は課税世帯がほとんどであり、一割負担は、深刻な事態となっています。緊急の対策が必要ではありませんか。「必要な医療が受けられない人があってはならない」と考えますが、知事の見解をお伺いします。  

この項最後は、県の予算についてです。今年の2月定例議会で、知事は「急速な少子・高齢化の進展」や「国の制度改革の動向」をあげ「給付と負担の公平に配慮した持続可能な制度の構築を図ってまいります」として、心身障害者医療費公費負担の予算削減を行いました。今後、低所得者の軽減や市町村補助率などの経過措置が終了することに伴い、県の支出は更に減少するのではありませんか。今年度以降のそれぞれの見込み額はどうか。また、国の医療制度改正の実施により、心身障害者医療費にどのような影響が及ぶのか、併せて保健福祉部長にお伺いします。  



三番目は、障害者自立支援法の実施に関連して、障害を持つ子どもたちの問題です。  

まず、応益負担の問題について。「わが子の障害が告げられたとき、子どもとともに、目の前が真っ暗になった親の気持ちを受けとめてくれたのが、通園施設や児童デイサービスでした。そこで発達していくわが子の姿に励まされ、わたしたちは新しい人生の一歩を踏み出すことができたのです。」障害児を持つ親の声です。  

障害児の療育は、すべての子どもたちの健やかな発達を支援する制度でもあります。しかしこの間、自立支援法は、乳幼児期ばかりでなく18歳未満のすべての障害児の生活と発達にとって逆行するものであることが明らかになってきました。県として実態をどのように把握しているのか。保健福祉部長にお伺いします。  

自立支援法による負担は深刻です。国に対して応益負担の見直しを求め、全国的把握を行うとともに速やかに適切な対策を講じるよう要望すること。知事にお伺いします。岡山県として障害児に対する独自支援を行うべきと考えますが、知事、お答え下さい。  



次に、養護学校の問題です。県内の、障害をもつ児童生徒数は増加しています。教育条件整備が遅れています。倉敷市には県立養護学校がなく倉敷市立倉敷養護学校のみです。しかし児童生徒数はここ数年増加を続け、今年度は小学部・中学部・高等部あわせて200名を超えており、教室の増築・高等部の定員拡大、教員の増員で対応しているのが現状とお聞きしています。しかしこれ以上増設のためのスペースはなく、今後の推計でも児童生徒数の増加は続き、22年度には現在より8学級増となり7教室の不足が見込まれるといいます。早急に新設する必要があります。倉敷市に新たな県立養護学校を設置すること、そして、新設校ができるまでの間、倉敷市内の児童生徒を県立岡山南養護学校をはじめ近隣の県立養護学校へ受け入れることを求めますが、教育長にお伺いします。



次は、通級指導教室についてです。平成5年から通級指導教室が制度化されました。今年度県内では、いわゆる「ことば」33教室、「情緒」13教室、「聞こえ」2教室があり、903人の小学生たちが通っています。しかし、この10年間で児童数は約倍化し、教室は増設されたものの、小学校では「希望者が増えて一杯ではいれない」、「以前は週一回通えたが、隔週や一ヶ月に一度しか利用できなくなった」という実態があります。小学校につづき「中学校の設置」は父母・子どもたちの強い要望です。この要望は毎年出されてきたものです。既に島根県において4校に設置され、大きな成果をあげており、他県でも設置を検討しています。通級指導教室の小学校での増設と中学校への新設をもとめますが、教育長いかがでしょうか。

また、就学前の相談では、発達障害の専門医が不足し、3ヶ月から6ヶ月待ちとなる場合もある中で、幼児の発達障害について悩んでいる保護者が増加していると聞いています。就学前相談の充実をすべきと考えますが、教育長いかがでしょうか。  



質問の2番目は、地域農業を守り食料自給率の向上をはかることについてです。  

国の「品目横断的経営安定対策」は農業を危機に追い込み、食料自給率を低下させ、多数の農家を農政の対象から排除するものであり、野菜・果樹・畜産についても担い手のみに施策を集中するものです。新たな対策の対象となる経営が極めて限定され、大多数の農家が切り捨てられるということです。今求められるのは、多様な農業経営を支援することであり、意欲ある全ての農家を大事にする農政です。そのなかでも、農業振興の観点から、市街化区域の農業支援について農林水産部長にお伺いします。  

市街地の農業は、生産基盤のみならず、保水能力、緑地空間、防災など様々な公益的機能を発揮しています。また、市民農園や消費地に近いという利点を生かしての営農もされています。都市近郊という立地条件を生かした農業振興をはかってはどうでしょうか。  

また、市街化区域内農地の固定資産税の課税額は毎年10%ずつ上昇しており市街化域内の農家の経営に重い負担となってきています。市街化区域内の農家のうち真に営農継続を希望する農家の生活と生産の場の確保が必要です。全国でも、都市計画として「生産緑地地区」に指定し、農地並み課税とする生産緑地指定制度を検討する市町村が増えています。これは市町村がその気になれば実現できる制度です。まずは、県として、農業生産活動を支援するため、今後、生産緑地指定制度の活用を、市町村と協力して研究すべきと考えますが、いかがでしょうか。農林水産部長にお伺いします。  



質問の3番目は、「食の安全・安心の確保及び食育の推進に関する条例」についてです。  

この条例制定は、非常に意義あるものであると考えます。県は基本理念にのっとり実施する責務を有するものです。条例制定に当たって実効性のある推進計画と体制整備を求め、いくつかお伺いします。  

まず、「食の安全・安心の確保」について、これは、県民の健康の保護と増進とともに、生産振興、食品加工業、食品流通などの前提となるものです。とくに岡山県は全国に先駆けての有機無農薬農業推進要綱の制定や、BSEの全頭検査、遺伝子組み換え食品検査など積極的に検査等を行ってきました。ポジティブリスト制度をはじめ食品等の検査の多様化に対応して食品等の安全性の確保、安全情報の発信体制の強化が必要と考えますが、いかかがでしょうか。また、食品衛生監視指導計画作成に当たってパブリックコメントの実施をしてはどうでしょうか。併せて保健福祉部長にお伺いします。  

「地産地消」推進。生産者にも消費者にも「地産地消」を簡単に理解できるのが農産物直売所です。たとえば間伐材を利用した農産物小規模直売施設補助の充実など直売所の整備のための支援を行ってはどうでしょうか。農林水産部長にお伺いします。  

次に、食育についてです。食物アレルギーの増加や内分泌かく乱化学物質問題など子どもの健康づくりにとって食育推進は大切です。県は「325」運動、6歳臼歯実態調査など子どもの歯の健康づくりに取り組み大きな成果を挙げています。国の食育推進基本計画においても「食生活を支える口腔機能の維持等についての指導を推進する」と歯科保健医療活動など「健康づくりや医学教育等における食育推進」の位置づけを明確にしています。医療分野との一層の連携を進めてはどうでしょうか。保健福祉部長にお伺いします。  



質問の4番目は、大型店問題で、三点お伺いします。  

一点目は、倉敷イオンの問題です。大型店の郊外への進出を規制する改正都市計画法が来年施行されますが、県下各地でイオングループの進出構想が浮上しています。中でも倉敷市のイオン倉敷SCの駆け込み増床が心配されるなか、県商店街連合会が倉敷市役所や県に対して、「郊外型大型店の進出に反対したまちづくりに関する要望書」を提出されました。倉敷市も総合的なまちづくりの視点から庁内組織「輝くまち推進本部」を設置されたと聞いています。県商店街連合会も指摘しているように、「これ以上大手資本の力が強まれば地元商店街の撤退、廃止につながる」ものです。地域経済を支えてきた商店街からの声を踏まえて、県として、例えば、地域経済などに与える影響を議論する場を設けてはどうでしょうか。知事にお伺いします。  

二点目は、県が市町村への権限移譲の対象として「大規模小売店舗の出店届出受理等」をあげている問題です。私は、郊外型大型店出店の影響が幾つもの自治体に広がっている現実を踏まえれば、県が今後一層大きな役割を果たす必要があると考えます。知事も6月議会での答弁で「中小小売商団体からの申し出に基づく調査や大企業者と中小小売商との間の紛争に関する調整勧告などの県の対応については、法の趣旨、内容等に基づいて適切に対処したい。」と表明されています。市町村への権限移譲の対象からはずすべきだと考えますが、知事の答弁を求めます。  

三番目は、住宅地での大型店の24時間営業についてです。大型店の既存店の経営者が変わり24時間営業とする場合の対応の問題です。私が住んでいる地域のことですが、県は、大店立地法にもとづき後継店ドン・キホーテ倉敷店の届出を受理しました。実際の営業は午前3時までとなりましたが、第一種住居地域に隣接した場所での24時間営業は、住民の住環境を脅かすものです。周囲には、病院、学校施設もあり影響は深刻です。住民説明会は開かれたものの、近隣町内会、学校関係者や地域の少年を守るため尽力している地区役員への連絡調整は不十分なものでした。地域住民の要望を聞き、それに添った方向で企業を厳しく指導するなどの対策が必要ではないでしょうか。産業労働部長にお伺いします。



質問の5番目は、「水島港港湾計画の改訂」にともなう水島港内公有水面埋め立てに関して倉敷市議会委員会で全会一致で出された要望書についてです。これは、玉島ハーバーアイランドの沖出し部分46haについて、「リサイクル企業の進出移行に対応した用地の確保」のため緑地を縮小し、環境産業などの製造業用地32.9haを確保したことに対して出されたものです。この要望書には、水島港湾計画の変更に当たって「県は、特に土地利用、周辺地域の高潮対策等、市民にとってかかわりの深い事項に対する説明責任を十分に果たしていないと言わざるを得ない。」とあり、倉敷市長意見として、県民・市民へのパブリックコメントの実施を求めていたにもかかわらず、「岡山県地方港湾審議会」を開いただけで進めたことに対する抗議です。なぜこのようなことになったのか、この倉敷市議会の意見をどう受け止めるのか、知事にお伺いします。  

最後の質問は、チボリ問題です。  

一番目は、知事の責任問題です。私ども共産党県議団は、今年6月と9月議会の一般質問で、知事が4年前の平成13年12月県議会本会議で「新たに5年間で35億円の税金投入」という再建計画を提案された時、その前提として「チボリは5年後には補助金なしで単年度黒字化」を明言しておられることに照らし、最終年度を迎えどのような見通しをもたれているのか、もし黒字化は困難という認識をお持ちなら自らの責任について明らかにするよう求めてきました。 知事は、6月議会の答弁では、「黒字化が達成されることを期待している」とはぐらかし、自らの責任問題については「あくまでチボリ・ジャパン社におきまして策定されたもの」「県といたしましては県議会におはかり申し上げ、ご承認いただいた上でその計画に沿ったご支援を行っているもの」と居直りました。確かに、この税金投入計画に賛成されたわが党以外の全ての議員のみなさんの責任は重大だと考えますが、行政の責任者としてその計画案を決定し議会に提案したのは他でもない石井知事、貴方自身ではありませんか。  

知事は、9月議会の答弁でやっと「厳しい状況であることは十分認識」と「補助金なしで単年度黒字化」の見込みがないことを認めました。そしてその後も、入場者数が前年度割れすることはますます確実な情勢となり、売り上げは昨年比2割減となるなど、破綻は一層明らかです。自身の責任問題について、改めて明確なご答弁を求めるものです。  

次に、県民市民公園化という再建策の前提がますます崩れている問題です。11月7日に公表された山陽新聞社の県民アンケートによれば、「県施設としながら民間に運営を任せ、県費と入園料で経営すべき」つまり知事提案の県民公園化を支持する意見は14.9%にすぎません。一方「県費投入は一切やめ、完全に民営化するべき」「再建の見通しがなければ閉園するべき」をあわせると55.7%に達し、6割近い県民が税金投入に反対を表明しています。つまり知事の提案する「県民市民公園化」について県民の理解はないということです。  

新たな「税金投入計画」の撤回を求めるとともに、あらためて「新たな、巨額の、長期間の税金投入はしない」という基準での問題の解決を、再度提案するものです。知事のご認識をお伺いします。



答弁

知事  

施策の重点化についてであるが、県民アンケート調査結果に示すように、福祉や医療サービスの充実は、県政の重要な課題であると考えている。このため、新おかやま夢づくりプランにおいても、「安全・安心の岡山の創造」の中に、健康・医療プログラムと福祉プログラムの二つのプログラムを設け、誰もが安心して暮らせる社会の実現を目指すこととしている。また、先般お示しした重点政策案においても、高齢者等が安心して暮らせる身近な生活環境の整備を掲げており、これらを重点的に進めることにより、県民の医療や福祉サービスの充実を着実に進めてまいりたい。



保健福祉部長  

実態把握等についてであるが、心身障害者医療費公費負担制度は、給付と負担の公平化を図り、持続可能な制度となるよう見直したものであり、所得の低い方々に対しては、負担限度額を低く設定した上で、更に必要な経過措置を設けている。今回の見直しが施行された10月1日現在で、35,403人に受給者証が交付されているが、施行後間もなく、医療費の動向等は、まだ明らかになっていない状況にあり、県としては、今後とも施行状況を注意深く見守ってまいりたい。



知事  

他県との比較についてであるが、この制度は、国の医療保険制度や公費負担医療を各都道府県が独自に補完しているものであり、例えば、本県のように利用者が複数の医療機関を利用した場合でも、個人ごとに負担上限額を設けている県がある一方で、医療機関ごとに負担上限額を設けている県があるなど、給付対象や給付水準、支払方法等が異なるため、一概に比較することは難しいと考える。  

緊急の対策についてであるが、今回の心身障害者医療費公費負担制度の見直しは、給付と負担の公平化を図り、持続可能な制度となるよう、原則1割の自己負担を導入したものであるが、所得に応じた負担限度額を設定するとともに、更に、所得の低い方々に対しては、経過措置も設けているところである。医療費の支払いが困難な方々については、市町村・福祉事務所等で相談に応じ、個別の事情に即し、適切に対応してまいりたい。



保健福祉部長  

削減見込額等についてであるが、経過措置や国の医療制度改正に伴う県の支出額への影響については、そもそも、ベースとなる対象者の数、加入医療保険制度と所得区分の分布の推移等をどう見込むかなどの前提条件によって、医療費の額が異なることから、一概に影響額をお示しすることは困難である。  

実態把握についてであるが、県では、11月に、県内の障害児の全施設を対象に、サービス利用の状況等について報告を求めたところ、10月に、入所・通所施設で、利用を中止した児童は、おらず、また、通所施設で、利用日数を減じた児童は、42名との回答であった。



知事  

国への要望等についてであるが、自立支援法の費用負担については、国会等においで十分な審議がなされた結果、福祉サービスの利用者も含めて、国民全体で制度を支え合う公平な仕組みとするため、サービスの利用量と所得に応じた費用負担となるよう導入されたものであり、基本的な枠組みの変更を国に求めることは考えていない。また、県では、施行後の状況等も踏まえ、制度設計を行った国の責任において、速やかに実態の把握を行い、適な対策を講じるよう、働きかけてきたところである。現在、国において、利用者負担の更なる軽減等の検討が行われているものと承知しており、県としては、施行の状況を十分に把握しつつ、国の動向を踏まえながら、必要に応じ、適切に対応してまいりたい。



教育長  

まず、倉敷市への県立養護学校の新設等についてであるが、養護学校の教育体制は、各学校の通学区域を基礎に整備してきており、学校設置者が適切な就学機会の確保に努めている。また、倉敷養護学校の増築工事に対しては、県として、平成17年度に財政的支援を行ったところである。近年、知的障害養護学校の児童生徒が全県的に増加傾向にあることから、今後、その動向等を把握、分析し、全県的な視野に立って教育体制整備の在り方について検討することとしている。また、倉敷市内の児童生徒の受入については、近隣の県立養護学校の施設の状況等も踏まえ、倉敷市教育委員会と協議してまいりたい。  

次に、通級指導教室の中学校への新設等についてであるが、今年度、本県では、言語や情緒、聴覚に軽度の障害がある児童903人に対して、その障害の程度に応じて小学校で通級による指導を行っている。近年、通級指導を希望する児童生徒が増加しており、小学校での増設や中学校における新設を求める声を聞いている。今後の設置については、各地域の実態を把握し、市町村教育委員会と協議しながら検討してまいりたい。  

最後に、就学前相談の充実についてであるが、発達障害に関する相談が増加傾向にあり、就学についての保護者の不安や悩みに応えるため、市町村教委では、通級指導教室の教員の専門性を生かして、幼児期からの就学相談に当たっている。また、県教委では、医師など専門家による巡回就学相談を実施するとともに、盲・聾・養護学校等で発達検査や相談を行っている。今後、県教委としては、市町村教委に対して保健所等の専門機関と緊密に連携するよう促すとともに、新設の総合教育センターにおいて、発達障害等に関する相談・支援機能を高めるなど、就学前相談の充実に努めてまいりたい。



農林水産部長  

立地条件を生かした農業振興についてであるが、市街化区域は、都市計画法に基づき、既に市街地を形成している区域及びおおむね10年以内に優先的かつ計画的に市街化を図るべき区域として指定されたもので、都市施設の整備に応じ逐次市街化されることが見込まれることから、農業生産基盤整備その他効用の長期に及ぶ農業施策は行わないことが基本と考えている。しかし現実に、市街化区域に当分の間はなお農業上の土地利用が続けられる区域を含むケースがあり、また、消費地に近いという立地条件を生かした農産物の供給や緑地空間としての役割を現に果たしている地域の例もあることから、市街化区域内の農業についても、営農を継続するために必要な災害復旧事業や農業者に対する普及指導などを実施しており、今後とも、市町村等の要望に応じて、こうした施策は実施してまいりたい。  

生産緑地制度の活用についてであるが、生産緑地は、市街化区域内農地の持つ緑地機能を評価し、その計画的な保全を図ることにより、良好な都市環境を形成することを目的として、市町村が土地所有者等の同意を得て都市計画法上の手続を経て指定するものである。農業振興の観点からみれば、他の市街化区域内農地に比べて長期の営農継続が見込まれることから、安定的な農業生産等が行われるという利点がある一方、原則30年間は農業以外の利用ができない等の行為制限がかかる面もあり、制度創設以来、県内では指定の実績はなく、また、市町村からの協議の事例もない。こうした状況もあり、また、指定には土地所有者等全員の同意も必要であることから、今後、生産緑地制度を活用した支援についての具体的な要請があれば、市町村や関係部局と連携し、研究してまいりたい。



保健福祉部長  

食品等の安全性の確保等についてであるが、県では、スーパー等における流通食品の検査のほか、BSEの全頭検査を実施しており、検査結果については速やかに公表するなど、食品等の安全性確保に努めており、条例制定を契機に、より一層食の安全・安心の確保に努めてまいりたい。食品衛生監視指導計画については、食品衛生法に基づき、地域の実情を踏まえて、検査や監視指導等を効果的かつ効率的に行うための実施計画であり県の基本構想や施策の基本方針でないことから、パブリックコメントにはなじまないと考えているが、毎年、消費者、生産者、流通業者等からなる「食の安全・食育推進協議会」の意見を踏まえ、策定しているところである。



農林水産部長  

農産物直売所の支援についてであるが、農産物直売施設は、担い手の育成や中山間地域等の振興を目的とした、国の助成制度である「元気な地域づくり交付金」や「強い農業づくり交付金」などにより、一定の条件の下で整備が可能であり、過去10年間でも「八塔寺ふるさと直売所」や「笠岡ふれあい青空市」など、小規模なものも含めて11か所を整備している。今後とも、農産物直売施設を活用した地産地消の推進を図り、食の安全・安心の確保に努めてまいりたい。



保健福祉部長  

食育における医療分野との連携についてであるが、県では、本議会に提案している「食の安全・安心の確保及び食育の推進に関する条例」に基づき、また、国の食育推進基本計画を踏まえ、地域の特色を生かした取組の促進や、幅広い情報提供、意見交換の場づくりなどを盛り込んだ食育推進計画を本年度中に策定することとしている。今後、この計画に基づき、医療関係者をはじめ幅広い県民との協働により、食育を推進してまいりたい。



知事  

議論の場についてであるが、今回の都市計画法等の改正により、大型店をはじめとした大規模集客施設の郊外立地が規制され、まちづくりについては、市町村が主体となって取り組んでいく仕組みが整ったと考えている。イオン倉敷ショッピングセンターについては、現在のところ、具体的な届出等はないが、倉敷市においては、先般、まちづくりや都市政策等の総合調整を行う「輝くまち推進本部」を設置されたところであり、県として大型店の出店が地域経済に与える影響を議論する場を設けることは考えていない。  

権限の移譲についてであるが、大規模小売店舗の出店届出受理等の事務は、その立地による周辺の生活環境への影響について審査し、対策が必要な場合には、大型店の設置者に適切な対応を求めるものであり、まちづくりや地域の生活環境など住民に、より身近な市町村が、主体的に行うことが適切であることから、中核市に移譲することとしたものである。



産業労働部長  

企業の指導についてであるが、大規模小売店舗立地法に基づく届出は、公告後、4か月間縦覧に供され、地域住民や団体は、店舗周辺の生活環境の保持に関して、県に意見書を提出できることとされている。お話の大型店については、現在、変更届出の縦覧中であり、今後、住民の方から意見等が提出された場合には、企業に通知し、適切に対応するよう指導してまいりたい。



知事  

水島港内公有水面埋立てについてであるが、県では、水島港の港湾計画改訂の基本方針である港湾整備長期構想の策定に当たり、倉敷市や地元関係者が参加した委員会の意見を聞くとともに、この段階で2度にわたりパブリックコメントを実施したところである。また、岡山県地方港湾審議会において、土地利用や高潮対策等についての倉敷市長からの意見に対し、県の方針や考え方を説明し、ご理解をいただいたものと考えている。  

私の責任についてであるが、現行の経営改善計画が計画どおりとなっていないことは承知しているが、チボリ・ジャパン社の社員一丸となった経営改善への取り組みにより、計画前と比べ、当期損失が大幅に縮小するなど、一定の成果は上がっているものと考えている。今年度の入園者数の状況等を踏まえると、補助金なしでの黒字化は非常に厳しい状況であると認識しており、一層の集客対策や経費の削減等に全力を挙げて取り組むよう、同社に対し、働きかけを行っているところである。  

新たな税金投入についてであるが、山陽新聞社のアンケート調査結果については承知しているが、県民・市民公園化は、チボリ公園の新たなスタートとして、閉園も視野に入れた幅広い観点から検討を重ね、県民意識調査の結果はもとより、県議会での議論や有識者の意見等を総合的に踏まえ、決定したものである。現在、関係の方々と鋭意協議を続けているところであり、県民・市民公園化の実現に向け、全力を傾注してまいりたい。



再質問  

ご答弁いただきましたが、何点かお伺いしたいと思います。ひとつは障害児の問題なのです。昨日わが党の森脇県議の一般質問の答弁でも同様のご答弁がありましたが、問題は、障害者施設について、利用中止した人はいないと一言おっしゃったのですが、その実態がどうかということだと思います。障害施設では、利用料、食費はもちろん、教育費や医療費などが一割負担となって何倍もの費用が保護者に重くのしかかっています。そういう実態があるということです。このひとつひとつが抑制されれば子どもの療育が阻害されているというこの立場で、子どもたちひとりひとりの影響をどう把握されているかということがいちばん肝要だと思います。この点でどういう把握をされているのか改めてお聞きしたいということと、この実態を見たうえで、他県では独自支援制度を持っているということです。この点で改めてお聞きしたいと思います。  

もう一点は、この上に岡山県は単県医療費の公費負担制度の一割負担を導入されたということです。他県の子どもと比べて医療費の負担が非常に大変な状況を生み出しているということです。障害を持つ子どもにとって医療というのは成長発達の保障です。負担がどうか、どんな影響か、調査をどのようにおこなわれようとしているのか、ひとりひとりの子どもたちに対してどういう対応をされようとしているのか、ということをお聞きしたいと思います。それと、先程、削減額についてはわからないとおっしゃいました。実はこのパネルは、瀬戸内市の市議会に提出されたものですが、見てください。これが総医療費助成額、そしてこれが今年度、これが来年度、そしてこれが県の補助額ですね。瀬戸内市は、独自の三級までの補助だとかをやっていますから少し多いのですけれども、この県の制度の補助率の削減を見てください。半減しているのです。その一方で、障害者の方は約5000万円、計算すると自己負担を瀬戸内市の方は受けておられる。これが各市町村の実情です。こういう点で見ましたら、とても県の予算、昨年度予算が約19億です。これを半減させる内容である、ということを指摘したいと思います。この経過措置後含めて、県内の障害者の自己負担総額は県の補助率よりも補助額より相当大きくなる、大変な負担を押し付けるものであるということを指摘したいと思います。それから、医療関連制度改革関連法案ですが、これは県の負担は増えません。そこは確認しておきたいと思います。  

それと、チボリについてです。チボリですが、アンケート結果を知事がどう見られるか、という問題だと思います。県民は、再建策を11月になってもまだ認めていない、認めなくなった、ということです。これは入場者と、そして売り上げの推移です。(パネル)2002年から2006年が5年間、これが経営再建計画の期間です。どこが改善されたのか、お答えいただきたいと思います。そして入場者数と売り上げだけではないということです。私は先だってチボリに行きました。チボリインターナショナル社からも今度来られるといわれますし、今議会でもチボリのリニューアルが必要ではないかという質問もありましたが、それ以前の問題があるということです。私が実際に見ましたら、バックアレー、入って左側のバックアレーは空き店舗です。中にあるのはガチャポンのお店と短期大学の学生のショップだけです。あとは全部空き店舗。回転遊具は故障で止まったまま。チボリ湖の水替えは9年間で1回のみ。濁ってボウフラが湧く、これは社長の弁です。こういう、以前の問題がある。こういう事態に、売り上げ、そして入場者、そしてその内容も含めて、大問題がある、と。だからこの経営再建計画の中身はいったいどうだったのか、改めて知事のご所見をお伺いしたいと思います。最後に累積赤字113億円の持つ意味について知事にお伺いしたいと思います。160億円の出資金がチボリにはあります。そのうちの70%、113億円が赤字ということになっています。出資金、出資企業は既に評価損を上げているという事態があります。県は20億円の出資をしていますが、そのうちの7割が評価損。こういう事態になっているということで、これも合わせて知事にご所見をお伺いしたいと思います。



再答弁

知事  

チボリ公園につきまして、現在の経営改善計画の中でどこが改善されたのかとのご質問でしたけれども、チボリジャパン社におきましては、大変厳しい長引く景気の停滞によります消費行動の低迷とかあるいはレジャーの多様化など、こういったことによって、計画通りとなっていないということではございますけれども、この中で、同社におきましては、13年度に約27億円もあった当期損失が、減損会計の適用を除きますと2ないし3億円程度に縮小してきておるとこういったことでございまして、そういった意味におきまして、計画に基く経営改善の一定の成果は上がってきているものと、このように考えておりまして、そういったことを背景に先程ご答弁申しあげたところでございます。今申し上げました減損会計基準が適用されたということで大幅に累損が増えまして、先程ご指摘のように百十数億円の累損ということでございます。今申し上げました以前からの累損に加えまして、毎年ありました数億円の累損の積み重ね、そして減損会計基準の適用、こういったものを全部累計いたしまして百十数億円の累損と、このようになっているということでございます。今大変厳しい状況でございまして、そういう意味におきまして、先程もご答弁申しあげましたとおり、今年度の入園者数等の状況、こういったものも含めますと、補助金なしでの黒字化、非常に苦しい状況に今立ちいたっておるということ、このように私も認識しているところでございます。



保健福祉部長  

いくつかのご質問がございました。まず障害者自立支援法に関しまして、障害児の実態把握についてこれからどのように行っていくのかというご質問がございました。これにつきましては、それぞれ今回調査を行っておるわけでございますけれども、こういったものの必要に応じまして、事実確認をしたり、あるいは障害者お一人お一人のご意見やあるいは関係者のご意見に耳を傾けながら実態の把握をしてまいりたいと考えております。  

次に独自の支援策についてのご質問がございました。これにつきましては、現在国におきまして利用者負担のさらなる軽減等の検討が行われているということを承知しておりますので、県といたしましては、そういった国の動向、それから施行の状況などを十分に把握しながら、必要に応じまして適切に対応してまいりたいと考えております。  

次に、単県医療費公費負担制度につきましてのご質問がございました。これにつきましても、まず実態把握をどうするのかというご質問でありましたけれども、先程申し上げました受給者証が交付されている方々の所得区分の割合だとかあるいは医療費の動向につきましてもこれから出てまいるかと思います。こういった全体の状況を把握するとともに、当事者の方々のご意見にも十分に耳を傾けてまいりたいと考えております。  

それから削減見込み額についてのご質問がございました。瀬戸内市の事例におきまして半減しているというお話でございましたけれども、これにつきましては、先程申し上げましたように、その対象者の数だとかあるいは所得区分の分布の推移など、いろいろな前提条件をどういう風に設定するのかということによって医療費の額が異なってまいりますので、一概にお示しすることはできないと考えております。  

最後に、医療関連改革法案におきましての影響でございますけれども、これは20年度に70歳から74歳の高齢者医療部分が1割負担から2割負担に見直しをされるというものでございますけれども、障害のある高齢者につきましては後期高齢者医療制度の対象となることから、自己負担額は引き続き1割というふうになりますので、単県医療費の負担額に大きな影響はないというふうに考えております。



再々質問  

まずチボリですが、5年間の経営改善計画の最終年ですが、売り上げが去年の2割減なのです。ということは、去年が30億くらいなのですから、24億くらいまでに減ります。補助金が、地代とそして補助金合わせて12億円程度。これに、融資が約9億円になっているという事態です。これは知事がおっしゃるような生易しいものではないということをご指摘しておきたいと思います。  

もう一点、障害者の問題です。障害者の意見に耳を傾けるという保健福祉部長からのお話があったのですが、私は、単県医療費の公費負担制度を改正、見直しする前にこのお言葉を聞きたかったということです。障害者の、特に児童は、これまで児童福祉法によって守られてきたのです。そこに応益負担が入るのがどういうことか、その子どもの一生に関わる医療が狭められる、施設に行けなくなる、その親の苦しみ、つらさというのがぜひ分かって欲しいと思います。特に、障害児を持っている家庭は課税世帯がほとんどです。軽減策も少ない。また、県の医療制度についても非常に高額な医療費が請求されるという事態です。他県以上に障害児を持つご家庭は苦しんでおられる、このことを、ぜひ率直に見ていただきたい。知事は、クラボウ本社に行って地代の値下げ交渉をされました。企画振興部長はデンマークに行かれました。ぜひ障害者の方・施設に行ってその声を聞いていただきたい。このことをお願いしたいというふうに思います。  

それともう一点ですが、チボリに関して知事がおっしゃった赤字の問題についてのご答弁なのですが、この意味なのですよね。20億円県が出資しているわけです。出資企業は既に評価損を上げて160億円の出資金のうち70億円の赤字だから、その評価損をあげているのです。でも県の帳簿には20億円のままなのです。20億円あるのだけれども実際の価値は6億円なのです。こういう事態にあるということです。私は夢づくりプランを見ました。その中で、福祉の伝統があると11ページに書かれてあります。明治時代にわが国初の孤児院、孤児教育会が開設された。大正時代には民生委員制度の前身となる救世顧問制度が創設され、さらに昭和時代には視覚障害者の点字ブロックが世界で初めて設置された。そして愛育活動や栄養改善活動など、全国的にみても非常に先駆的な役割を果たしてきた、ということが書かれてあります。そして同時にこの岡山県というのは、朝日訴訟、いわゆる憲法25条の闘いとも言われたような闘いです。人間にとって生きる権利とは何かを真正面から採り上げたことで人間裁判≠ニも言われています。早島町にそれを記念する碑があります。私は今、岡山県は単県医療費公費負担制度の改正にあたって、障害者自立支援法の施行を理由にあげられたり、国に対してこれは国の責任だからといわれるのは当然のことですけれども、県民の福祉にとってどういう視点を持つか、このことが非常に今求められているということです。今回行われた県の福祉関係の施策、特に医療制度の改悪等は、命に関わること、生きていく権利に関わることだということを申し上げて、私の再質問とさせていただきます。



再々答弁

知事  

赤坂議員の再々質問ということでございますので、チボリジャパンに関しますご質問というふうに受け止めさせていただきまして、お答えさせていただきたいと思います。  

議員の先程のご質問の趣旨は、赤字の意味をどう考えているか、と。そして今年2割減となっている状況から、生易しいものではないのではないか、というご指摘がございました。確かに上半期10%程度の売り上げが減ってきているということでございますが、しかし営業利益のほうは逆にプラスに転じておるという数字も出ております。もちろんこれはこれから後半期、これから冬の厳しいときでございますから正に生易しいものではございませんけれども、これからもチボリジャパン社におかれましては、この厳しい状況であるということを踏まえられまして、さらに営業活動を強化され、経費の節減に努められ、さらに魅力あるイベントを実施するといったことで、全力を挙げて経営の改善化に向けての取り組みを強くこれからも促してまいりたいと思っております。減損会計の導入等もありまして各出資会社におかれましてそれぞれの処置をなさっておられるということ、これも私も承知をいたしておるところでございます。チボリジャパン社がおかれた状況は、大変そういったところで生易しいどころではなくて、大変厳しい状況であるということでございまして、私共、そのような立場から、これからもチボリ公園の安定的な運営を図るために、県民市民公園化ということをぜひ実現いたしまして、県民の皆様方のご支援もいただきながら、この県が決めましたこの方針、この実現に向けまして、全力を挙げて取り組んでまいりたいと、このように考えているところでございます。




武田英夫県議の討論

私は本定例議会に提出されている議案10件、請願・陳情32件について、委員長報告の通り決することに反対し、以下その主なものについて討論するものです。

まず、議第124号「新おかやま夢づくりプラン策定について」です。

この案が提出された際の総務委員会で、ある先輩議員は「作文としてはいい作文だ」と感想を述べられましたが、まさに「云い得て妙」の指摘です。「プラン」の中期5ヵ年計画で示されている課題や目標、指標は、それぞれ必要なこと、やらなければならないこと、すでに各部の目標・計画で示していることがほとんどです。「岡山の将来像(長期構想)」の「時代も潮流と課題」も、「社会構造の変化」、「安全、安心の重要性」「グローバル化と高度情報社会」も決して目新しいものではありません。今回目新しいのは、「道州制の導入と中四国州の実現」の部分です。これは「州都岡山・政令市構想」とあいまって慎重な議論が必要な問題です。石井知事が委員長を務める全国知事会の道州制特別委員会が18日にまとめた「道州制のあるべき姿」という文書では「道州の区域は枠組み論議を先行させず、地理的・歴史的・文化的条件や地方の意見を十分勘案して決定すること」などを提示しています。私は、この提示は全く常識的で合理的な提案だと考えますし、道州制そのものもデメリットも含めた冷静な議論が必要だと考えています。その立場から、「新おかやま夢づくりプラン」に異議を唱えるものです。

さて、県政の現実には、「夢づくり」どころか、夢も希望も失うような出来事が相次いでいます。その一つが、障害者の医療費の負担を増やす冷たい仕打ちであり、また、県庁職員の給与の独自カットの延長問題です。

この春から、障害者自立支援法が施行され、さらにこの10月から単県医療費公費負担制度の心身障害者医療費公費負担制度の見直しが実施されました。いま現場で深刻な事態が起こっていることは本会議でわが党の森脇・赤坂両県議が指摘したところです。これに対して、国においても様々な是正策が検討されており、県下の市町村も様々な負担軽減策を講じています。肝心なことは県の対応です。例えば、障害者自立支援法では、「世帯」の考え方を「保険別」としているにもかかわらず、県制度では「住民票」として、負担を増やすような仕組みをわざわざ作っており、障害者団体だけでなく、市町村からも「夢どころか血も涙もないやり方」と厳しい批判の声が上がっているのです。私は、今からでもこの「単県医療費公費負担制度」を元に戻すべきだと考えており、その立場から請願第46号「岡山県心身障害者医療公費助成制度改正の全面撤回をもとめることについて」の採択を求めるものです。

次に、県庁職員の県独自の給与カット延長問題です。県人事委員会は、この県独自カットについて,「この措置は,あくまで特例措置であって,恒常化するようであれば,職員の士気や生活に及ぼす影響は極めて大きいものとなるばかりでなく,人材確保への影響なども懸念される」とし,「減額措置の解消に向けた不断の努力がなされることを期待し,諸事情が整い次第,勧告に基づく本来の職員の給与水準が確保されることを切望する」と指摘しています。私は、まさしく夢も希望もない事態を生んでいるこの給与の独自カットを是正するよう求め、議案第136号「知事等及び職員の給与の特例に関する条例の一部を改正する条例について」に反対するものです。

先の国会で、安部内閣と自民・公明両党は、国民の過半数の反対を押し切って教育基本法の改悪を強行しましたが、この改悪基本法は、何よりも日本国憲法に背反するものです。教育基本法の命であった第10条「教育は、不当な支配に服することなく、国民全体に対し直接に責任を負って行われるべきものである」は、壊されました。私たちは、日本国憲法に立脚して、改悪基本法の具体化、教育現場へのおしつけに反対し、子どもたちをこの悪法から守り、一歩でも二歩でも教育をよくしていくとりくみに、新たな決意で臨むものです。そして、国と地方の行政が本来やるべきことは何か・・それは、少人数学級の実現、経済的理由で学校を中退せざるを得ない事態の解消などの条件整備であることは明確です。私はこの立場から、請願48号、51号など教育条件の整備を求めるもの、請願第47号、第52号私学助成の大幅増を求めるものの採択を求めるものです。

最後に陳情第168号「岡山県議会の議員の報酬及び費用弁償等に関する条例第3条3項の改正を求めることについて」は本議会での採択を求めるものです。日本共産党県議団は、「県民の税金の使い方を議論する議員は、何よりも自らの税金の使い方の問題では厳格にあるべきだ」という立場を堅持してきました。議員歳費、政務調査費、旅費など議員の活動は県民の税金で保障されており、議員が自らの問題に厳格でなくて、県民の税金の使い方をチェックすべき県議会の責任を果たすことは出来ないと考えまるからです。この立場から@政務調査費は領収書も含めて公表する、A旅費などの問題も県民の目線から見直す、B出県旅費(費用弁償)問題についても、廃止か実費支給の方向で見直し議論を呼びかけてきました。現在、マスコミをはじめ国民世論が議会と議員自身の税金の使い方に関して厳しい視線を向けていることはご承知の通りであり、それは当然のことです。岡山県議会も早急に見直すことを求め、この陳情の採択を主張するものです。


議案に対する各党(会派)の態度

2006年12月定例会議案 各会派の態度
共産 自民 民主 公明 賛否
議第116号 平成18年度岡山県一般会計補正予算(第2号)
議第117号 当せん金付証票の発売について
議第118号 工事請負契約の締結について
議第119号 工事請負契約の締結について
議第120号 工事請負契約締結の変更について
議第121号 工事請負契約締結の変更について
議第122号 公有財産の処分について
議第123号 物品の取得について
議第124号 新おかやま夢づくりプランの策定について ×
議第125号 岡山県広域水道企業団を組織する地方公共団体の減少及び規約の変更について
議第126号 県営土地改良事業に対する市町村負担金について
議第127号 岡山県吉備高原都市センタ一区広場の指定管理者の指定について
議第128号 岡山県立美術館の指定管理者の指定について ×
議第129号 岡山県自然保護センターの指定管理者の指定について ×
議第130号 岡山県立博物館の指定管理者の指定について ×
議第131号 岡山県生涯学習センターの指定管理者の指定について ×
議第132号 岡山県立図書館の指定管理者の指定について ×
報第4号 知事の専決処分した岡山県営病院事業条例の一部を改正する条例について ×
議第134号 岡山県職員給与条例及び職員の勤務時間,休日及び休暇に関する条例の一部を改正する条例 ×
議第135号 岡山県県民プラザ条例を廃止する条例
議第136号 知事等及び職員の給与の特例に関する条例の一部を改正する条例 ×
議第137号 知事の権限に属する事務の処理の特例に関する条例の一部を改正する条例
議第138号 岡山県消防団員等賞じゆつ金支給条例の一部を改正する条例
議第139号 岡山県保健福祉関係手数料徴収条例の一部を改正する条例
議第140号 精神保健及び精神障害者福祉に関する法律に基づく精神科病院の管理者の報告に関する条例
議第141号 岡山県食の安全・安心の確保及び食育の推進に関する条例
議第142号 岡山県道路占用料徴収条例の一部を改正する条例
読第143号 岡山県立都市公園条例の一部を改正する条例
議第144号 岡山県立高等学校設置条例の一部を改正する条例 ×
議第145号 岡山県立盲学校,聾学校及び養護学校設置条例の一部を改正する条例
発議 日豪EPT・FTA交渉について配慮を求める意見書

請願・陳情に対する各党(会派)の態度

2006年12月議会 各会派の態度
新規・継続 受理番号 受理年月日 委員会 提出者 要旨 紹介議員 共産 自民 民主 公明 採否
継続 請願第5号 150609 総務 国公総連 ILO勧告の受け入れと、民主的な公務員制度改革の実施を求める意見書の提出について 草苅
継続 請願第7-1号 151127 総務 自治労岡山県本部 安心して暮らせる年金制度の確立をもとめることについて 草苅
継続 陳情第2号 150529 総務 県労会議 清潔で公正・公平な住民奉仕を貫く公務員制度の確立を求める意見書の提出について
継続 陳情第47号 160301 総務 岡山県視覚障害者友の会 点字等による選挙公報の発行に関することについて
継続 陳情第100−1号 170218 総務 連合岡山 地域経済の活性化等を求めることについて
継続 陳情第129号 171117 総務 社団法人岡山県トラック協会 原油価格高騰に伴う軽油引取税の暫定税率7円80銭の一時凍結を求める意見書の提出について
継続 陳情第161号 180329 総務 岡山県労働組合会議 住民の暮らしを守り、安全・安心の公共サービス拡充を求めることについて
新規 請願第45号 181115 総務 岡山県私学協会 私学助成に関することについて 古山
新規 請願第47号 181204 総務 岡山県私学助成をすすめる会 「児童の権利条約」の趣旨に沿って、父母負担の公私格差是正など私学助成政策の抜本的拡充を求めることについて 草苅、増川、武田、森脇、赤坂、 × ×
新規 請願第52号 181204 総務 高校・障害児教育をよくする岡山県民の会 私学助成を大幅にふやすことを求めることについて 武田、森脇、赤坂、 × ×
新規 陳情第179号 181115 総務 岡山県労働組合会議 住民の暮らしを守り、公共サービス拡充を求めることについて
新規 陳情第182号 181204 総務 世界連邦運動協会岡山支部 国際刑事裁判所条約批准に関することについて
継続 陳情第11号 150701 生・保 NPO岡山県腎臓病協議会 腎疾患総合対策を求めることについて
継続 陳情第19号 150909 生・保 全国膠原病友の会岡山県支部 難病対策見直しについて
継続 陳情第35号 151201 生・保 木下 富夫 公的年金の未加入期間を国民年金でつなぐ場合の期間の延長に関することについて
継続 陳情第63号 160903 生・保 線維筋痛症友の会 はざまに陥った患者の救済について
継続 陳情第97号 170218 生・保 連合岡山 社会保障制度の抜本改革を求めることについて
継続 陳情第130号 171118 生・保 岡山県難病団体連絡協議会 障害者、難病患者に対する医療・福祉施策の充実を求めることについて
継続 陳情第165号 180809 生・保 社会福祉法人岡山ろうあ児援護協会 難聴幼児通園施設岡山かなりや学園 難聴乳幼児の早期療育制度の存続と拡充を求めることについて
継続 陳情第166号 180904 生・保 笠岡学園幼児部保護者の会 「障害者自立支援法」に伴う費用負担についての軽減措置を求めることについて
新規 請願第46号 181204 生・保 NPO岡山県腎臓病協議会 岡山県心身障害者医療費公費助成制度改正の全面撤回を求めることについて 草苅、山田、武田、森脇、赤坂、 × ×
新規 陳情第181号 181128 生・保 岡山県保険医協会 国の療養病床廃止・削減計画の中止を求める意見書採択等を求めることについて × ×
新規 陳情第183号 181206 生・保 倉敷肝友会 「ウイルス肝炎患者の療養環境改善を求める意見書」の提出を求めることについて × × ×
新規 陳情第184号 181206 生・保 林友の会 精神医療・福祉の充実と、精神障害者への偏見・差別解消のための啓発活動を強力に推進することについて × × ×
新規 陳情第185号 181206 生・保 林友の会 外来にかかわる医療費を助成し、患者負担の軽減を図ることについて × ×
新規 陳情第186号 181206 生・保 林友の会 社会的ひきこもりの実態調査と、その積極的な対策を早急に検討することについて × × ×
新規 陳情第187号 181206 生・保 林友の会 精神障害者に対する交通運賃割引制度の創設について × × ×
継続 請願第40号 180228 農水 食とみどり・水を守る岡山県労農会議 WTO・FTA交渉に関することについて 草苅
継続 請願第41号 180228 農水 食とみどり・水を守る岡山県労農会議 新たな「食料・農業・農村基本計画」の具体化に関することについて 草苅
新規 陳情第180号 181115 土木 岡山県建設業協会 平成19年度建設関係予算確保等について ×
継続 請願第1号 150428 文教 英田郡町村会 英田地域新高等学校を通学経路、地域環境、学習環境が最適な場所に建築することを求めることについて 市村
継続 請願第30号 170606 文教 岡山県教職員組合 新たな定数改善計画を早期に策定し、少人数学級の実現を求めることについて 三原
継続 請願第36号 171130 文教 高校・障害児教育をよくする岡山県民の会 県独自の少人数学級の拡大を求めることについて 武田、森脇、赤坂、
継続 請願第37号 171130 文教 高校・障害児教育をよくする岡山県民の会 教育費の父母負担軽減を求めることについて 武田、森脇、赤坂、
新規 請願第48号 181204 文教 高校・障害児教育をよくする岡山県民の会 国の責任で30人学級を実現することを求めることについて 武田、森脇、赤坂、 × ×
新規 請願第51号 181204 文教 高校・障害児教育をよくする岡山県民の会 障害に応じた十分な教育を可能にするための施設・設備の整備・充実や教職員の増員を求めることについて 武田、森脇、赤坂、 × ×
新規 請願第53号 181204 文教 高校・障害児教育をよくする岡山県民の会 学校統廃合による、遠距離通学費用の負担軽減を求めることについて 武田、森脇、赤坂、 × × ×
新規 陳情第178号 181020 文教 岡山県国公立幼稚園PTA連絡協議会 幼稚園教育振興に関することについて
継続 陳情第20号 150910 議運 市民オンブズマンおかやま 岡山県議会の委員会の一般傍聴を求めることについて  
継続 陳情第160号 180320 議運 中原 諭 「傍聴にあたっての注意」の改正及び議会事務局職員の職務遂行能力の向上を求めることについて
継続 陳情第168号 180908 議運 NPO法人市民オンブズマン岡山 岡山県議会の議員の報酬及び費用弁償等に関する条例第三条3項の改正を求めることについて