2003年9月定例県議会


武田英夫県議の一般質問と答弁
森脇ひさき県議の討論
議案の結果
請願・陳情の結果
議会報告



武田県議の一般質問と答弁



通告に従い、質問します。

世界を震撼させた同時多発テロから2年が経過しました。アフガニスタン、そしてイラクの現実は、私たちに何を教えているのでしょうか。アメリカ一国主義の「力の論理」では何も解決できないこと、今こそ国連を中心にした世界平和の秩序を構築すべきこと・・そして何よりも大切なことは、日本は憲法9条に基づいてアジアと世界の平和に貢献すべきであり、当然のこととして、アメリカの戦争に自衛隊を派遣するような愚挙は止めることです。  

小泉内閣が先の国会で強行した有事法制は、このアメリカの無法な戦争に自衛隊を自動参戦させるものであり、国内では、地方自治体と国民を総動員する危険な本質をもっており、「国民の保護」とは全く矛盾するものです。国民保護法制に関する全国の知事の意見でも、国民保護と自衛隊の矛盾など危惧が出るのは当然です。  

石井知事もこの間、有事法制について「有事の概念」、「国と地方の関係」などいくつかの危惧の念を表明してこられましたが、今日の時点で、有事法制や国民保護法制に関して明らかにしなくてはならない点は何々だとお考えでしょうか。ご見解を伺うものです



さて、次は災害対策について各担当部長に伺います。



最初は、台風10号災害についてです。  

台風が岡山県東部地方を襲った8月8日、私も、さっそく備前市を中心にして被災現場の視察と救援活動に出かけてきました。そこで、私が痛感したことは、今回の被害の要因は、予想を越える異常降雨にあることは確かですが、同時に、「ため池」や「普通河川」と言った市町村管理部分の決壊、氾濫が大きな被害を生んでいると言うことでした。人間の体で言うと、毛細血管が破裂したと同じ意味なのです。同時にそれは、農地や山林が荒れ果て、ため池が崩れていると言う日本の国土の根本問題でもあります。  

私は、今回の災害から、こうした教訓を学び、ため池や普通河川の改修を、市町村任せにせず、抜本的な対策を講じるべきだと考えますが、いかがでしょうか。



災害対策の2番目は、水島コンビナート災害についてです。  

8月5日午後7時13分、新日本石油精製の第3常圧蒸留塔で火災発生、8月22日午前9時35分、新日本石油精製の第2常圧蒸留塔で原油漏洩、9月4日午後8時25分、旭化成スチレン製造装置でベンゼン漏洩・・・コンビナート事故は、一歩間違えば大惨事になりかねないだけに、事故の連続に地域の住民は不安を募らせています。  

事故の原因について、新日本石油精製の事故現場を視察した中で、私が抱いた疑問は、会社の自主点検のあり方に根本的な問題があるのではないかと言うことです。  

事故発生の大きな原因は「事故発生個所の腐食」ですが、問題はなぜその腐食が発見されなかったのかと言うことです。事故発生個所の付近は点検しているのですが、肝心な個所の点検はされていない・・私は、点検のあり方に問題があるのではないかと思うのですが、いかがでしょうか。                          

さらに、コンビナートの事故は、昨年14件、今年に入って9件目。それ以外にも新日本石油精製(株)の酸性ダスト飛散事故、三菱化学水島事業所の地下水汚染発覚問題など問題が続出しています。  

水島コンビナートが操業を開始して既に40年、コンビナート全体の「老朽化」「金属疲労」も全国的に指摘されています。県は事故を起こした会社だけでなくコンビナート全体を視野に入れた全面的な総点検を検討していると聞きますが、私もこの際、コンビナート全体の全面点検を厳格に求めるものですがいかがでしょうか。



災害対策の3番目は、香川県直島の産廃処理施設の事故についてです。  

香川県豊島に不法投棄された産業廃棄物を中間処理する直島の施設で、8月26日に爆発事故があったことが、9月3日の新聞報道で明らかにされました。9月18日の本格稼動の直前だけに、玉野市民から多くの不安の声が広がったのは当然です。  

玉野市当局によれば、玉野市にはその夜にFAXで事故報告があったとのことですが、岡山県にはいつ事故報告があったのでしょうか。岡山・香川両県と玉野市・直島町の4者で交わす「安全確保5項目」には「事故など異常時の速やかな連絡」が明記されていますが、この確認書は守られているのでしょうか。お伺いします。  

また、さる5日、日本共産党は住民団体とともに香川県庁を訪れ、「情報の公開」を求めるとともに、「安全性が確認されるまでの本格稼動延期」を申し入れたところです。溶融の技術については未だ安全性に不安があるだけに、岡山県としても、「安全性が確認されるまでの本格稼動延期」を香川県に申し入れるべきだと考えますが、いかがでしょうか。



次は、医療・福祉に関して保健福祉部長に伺います。昨年10月の高齢者医療費の負担増、この4月からのサラリーマンの医療費負担増は国民の命と健康にとっても、医療関係者にとっても大変な負担を強いています。



その中でも深刻なのは在宅酸素療法患者の方々で、経済的な理由で酸素吸入器を外す患者は、昨年10月以来、200人に上っています。岡山市による在宅酸素の機器を扱う業者への調査によれば、利用者の15〜30%の方が経済的な理由で在宅酸素療法を中止したとのことです。  

私は、この深刻な事態に対して、岡山県重度心身障害者医療費公費負担制度を3級まで拡大することにより、患者を救済するようこの2月議会から要望してきましたが、医療費負担増から1年目を迎える現時点であらためて、その実現を求めるものですが、いかがでしょうか。  

同時に、問題の根本的解決のためには、国の制度そのものを改善することが求められていることは明らかです。この間、県当局は、今年の2月議会で「国の動向を見たい」と答弁し、6月議会では「国に実情を伝えた」と答弁してきました。そこでお伺いですが、県当局は、その後の国の動向をどう把握しているのでしょうか、さらに、今後、国に何をどう求めていく考えなのでしょうか。お示しください。



続いて、「障害者ITサポートセンター」についてお伺いします。  

「ITで世界が広がった」・・これはある視覚障害者の方の、パソコンを使い初めての感想ですが、私は、ITは障害者の権利として保障されるべきものと考えています。日本ではこうした観点はまだまだ弱いのですが、アメリカは政府の備品調達基準として、「障害者向けの配慮をしていないIT機器は購入してはならない」という法律があるほどなのです。  

こうした中、多くの障害者と関係者の期待を集めて、岡山県でも障害者ITサポートセンターが吉備高原都市の吉備プラザに設置されました。  

私もさっそく現地の視察に出かけるとともに、この間多くの関係者の意見を聞かせてもらいました。ここでは、その中から、3点の提案をさせていただきます。  

まず第1は障害者が利用しやすいように「土日の開設」を始めること、第2は障害者が実際に体験できるような機器の充実、第3は設置場所を利用しやすい場所に変更することです。いかがでしょうか。



医療・福祉の項の最後は、「国保連」役員の不正借入事件について伺います。  

そもそも国保連は国民健康保険事業の運営に大きな役割を果たしている団体であり、そこには一切の汚職や腐敗は許されないものです。  

しかし、先般、この国保連の役員による、不正借入事件が発覚し、関係者に衝撃を与えました。この国保連に対しては、県が指導権限を持ち、これまでも必要な指導監査を行ってきただけに、県の指導責任も重要だと考えます。  

その点をどう考えるのか、事件発覚後から今日までの県の対処の状況も含めて、お伺いするものです。



次は、深刻さを増す雇用問題で、商工労働部長に伺います。  

雇用不安の拡大のなかで、日本共産党は先日、「安定した雇用を増やし、雇用危機を打開するために」と題する提言を発表しました。その中で、特に重視しているのは「未来をになう若者の雇用拡大」の問題です。  

岡山県でも、失業者の51%が15歳から34歳までの年齢層となっています。こうした中、多くの青年が「雇用の拡大」を求めて運動を起こしています。民主青年同盟は「青年に仕事を。政府は真剣にとりくんでください」と言う署名運動に取り組み、大きな反響を呼んでいます。  

そこでまずハッキリさせたいことは、岡山県として、若者の雇用の後退、そしてフリーター急増の事態をどうとらえるか、と言うことです。  

国民生活白書ではこのフリーターの増大を、「日本社会全体の生産性を押し下げる要因となり、日本経済の成長を阻害するおそれがある」と指摘していますが、岡山県としてもこの認識にしっかり立って、若者の雇用確保に取組むべきだと考えますが、いかがでしょうか。



次の問題は、若者の雇用不安の大きな要因が、企業側、特に大企業にあることです。  

「国民生活白書」でも「企業側の責任」「大企業の若者雇用の後退」が指摘されています。県として県内の大企業への積極的な要請活動をすべきだと考えますがいかがでしょうか。



さらに、若者の雇用不安解消のためには、ウイズセンターでハローワークの相談員による巡回相談を実施しているように、青少年総合相談センターなど若者が集う場所にも「ヤングハローワーク」の出先を設置し、若者のチャンスを増やす必要があります。国への積極的な要望を求めますが、いかがでしょうか。



次に、農林業、特に地産地消の推進について農林水産部長に伺います。  

今から40年前には70%を超えていたわが国の食料自給率は、今日では40%に落ち込み、コメを含む穀物自給率は世界175カ国中128番目に下がり、あの北朝鮮の106位よりも低い状況となっています。  

こうしたなかで、「日本の食料は日本の大地から」と言う声と運動が広がり、その要となる取り組みとして「地産地消」活動が広がってきました。  

もちろん、「地産地消」活動は、日本の食料自給率の観点からだけではなく、農業振興、地域振興、健康増進、文化と教育、環境とエネルギー問題など多方面からの意義が指摘されています。  

政府においても、また岡山県においても、この「地産地消」活動には積極的な取り組みがされているところですが、まだ緒についたところだと言わざるを得ません。  

そこで提案ですが、「地産地消」を定量化する手法を採用し、その指標を「地産地消」に生かしてはどうでしょうか。  

これは、農政局でも取り組みが始まっている「消費地地産地消率」と言うもので、「その地域で消費された量のうち、その地域で生産されたものがどれだけか」を算定し、その向上を目指そうというものです。いかがでしょうか。



さて、次は「街づくり」に関して関係部長に伺います。

まず、急増するマンション問題についてです。城下町岡山の街並みも最近ではマンション群が林立する光景となりました。全国ではマンション人口は1000万人を超え、様々なマンショントラブルが発生するようになりました。  

こうした中、3年前に「マンションの管理の適正化の推進に関する法律」が制定され、その「指針」も示されたところです。  

その中で地方公共団体の役割も明らかにされ、岡山県でも土木部住宅課がその役割を受け持っています。  

そこでお伺いしますが、岡山県でのマンションの戸数はいくらになるのでしょうか。全県と岡山市のデータをお示しいただきたいと思います。  

また、「法律」と「指針」の推進のためには、専任体制も必要かと思いますがいかがでしょうか。同時に、先般岡山県が策定した「おかやま快適安心まちづくり推進プラン」を指針にしたNPOとのパートナーシップもこの分野で進めることが大切かと思いますが、いかがでしょうか。



街づくりのもう一つは、JR駅のトイレの外部使用禁止問題です。  

この春から、JR西大寺駅のトイレが外部からの使用禁止となりました。JR当局は、駅舎のバリアフリーの工事とあわせて、これから全ての駅で「トイレの外部使用禁止」を計画しています。  

西大寺駅を始め、JR駅は街づくりの中核に位置し、地域・行政・JRの3者が一体となってこそ街づくりは進んでいくものです。私は、JRの「公的責務」、さらにJR駅の「街づくりへの責任」からして、このような「トイレの外部使用禁止」計画は止めさせるべきであり、その点での県としてのご尽力をお願いするものですが、いかがでしょうか。



質問の最後は、「行財政改革」と「夢づくりプラン」についてです。  

私は、この問題の基本姿勢は、@切ってはならないものを切らないこと、A不要不急の公共事業は抜本的な見直しをすること、B「夢づくりプラン」も現実に根ざしたものにすること、だと考えます。  

そして、この3点でそれぞれ事例を挙げて知事の姿勢を正すものです。



まず、「行財政改革」の名で切ってはならないものの象徴的なものは何か・・私は保健所だと思います。  

特に、県の保健所は、今日の状況で精神保健福祉の拠点としていっそうの機能充実と体制の強化を求められていると考えます。  

それは第1に、公衆衛生的な地域精神保健福祉活動の拠点としての役割、第2に、児童思春期など新しい問題へ対応する地域の拠点、第3に、市町村や学校、児童相談所、病院など各専門機関などとのネットワークの中心・・とりわけ、県立岡山病院、精神保健福祉センター、県立内尾センターの3機関と結んだ「現場の保健所」の役割は極めて大きなものがあります。  

「石井行財政改革」の中で地域保健福祉センターは保健所へ統合されてきましたが、本県の地域精神保健福祉活動は、現場の献身的な努力でようやく支えられてきたと言っても言い過ぎではありません。  

私は、精神保健福祉の役割が複雑多義に渡る今日、今こそ、県保健所の体制と機能の強化こそが必要であり、行財政改革の中での「整理統合の対象」とすべきではないと考えますがいかがでしょうか。



次に、不要不急の公共事業の見直しに関して、玉島人工島について伺います。  

この問題で、私が問いたいのは、玉島人工島を含む水島港の位置付けの問題です。  

水島港は全国23の特定重要港湾の23番目の指定を受け、総貨物量が9000万トンを越す全国ベスト8に入る港です。そして、コンテナ貨物取扱量の急増、FAZ指定など大きな変貌を遂げています。  

しかし、水島港の場合、コンビナートの企業利用がほとんどの工業港であり、公共埠頭を活用した一般貨物は10%を切る状況で、商業港としての機能はこれからと言っても言い過ぎではありません。  

こうした中で、国は昨年6月の「交通政策審議会港湾分科会、第3回物流・産業部会」において、改めて「国際海上コンテナ輸送の港湾配置構想」を示し、その中で、港湾を「中枢国際港湾」「中核国際港湾」「地域の国際海上コンテナを取り扱う港湾」に分類し、役割分担を図ることとしています。  

私は、水島港=玉島人工島の今後の開発・整備を考える場合、水島港はそもそもどの分類なのか、その位置付けをキチンと抑えた議論が必要と考えます。知事の見解を伺うものです。



次は「光科学頭脳拠点」についてです。  

私は、光に関する基礎研究を否定するものでもありませんし、岡山県が基礎研究を行うことも否定するものではありません。  

しかし、私は「地方自治体の科学技術振興策の基本」は、@県内の産業、とりわけ地元企業・地場産業の振興に役立つものであること、A県内の公設試験研究機関の蓄積を踏まえたものであること、が大切だと考えています。  

その点で岡山県の科学技術振興の基本方針であるH10年策定の「岡山県科学技術振興指針」では研究テーマとして「ITを活用したもの」や「医療・福祉・健康関連分野」などが挙げられ、県内8つの県立試験研究機関の方向付けもされています。  

しかし、その後の石井行財政改革によって、試験研究機関は15%もの人員削減が進められ、研究費も大きく削減されてきました。  

私は、知事が「夢づくりプラン」を語り、「科学技術の振興」を謳うのであれば、先ずやるべきことは、地元の産業振興に役立ち、現存する試験研究機関を生かした分野にこそ光を当てることが肝心だと考えますが、いかがでしょうか。  

さらに、知事の「夢づくりプラン」との関連で言うのならば、この光科学頭脳拠点に関しては、県の様々な評価システムのどれで評価するのでしょうか。伺うものです。



以上で質問を終わります。



答弁

知事  

有事法制等についてであるが、私は従来から、国の体制整備の必要性や、国会での十分な論議と国民のコンセンサス、基本的人権と地方分権への配慮が必要であることを主張してきた。しかし、現時点では、有事の概念や国民保護の仕組み、知事の権限等地方分権との関係などが、具体的に明確になっていないなどの課題があるものと考えている。国においても国民保護法制整備本部を設置し、地方公共団体等の意見も聴きながら、基本的人権や住民避難などの課題の具体化を図ることとしているので、今後とも、県民の安全を預かる知事の立場から、この検討状況を注視するとともに、積極的に意見を述べてまいりたい。



農林水産部長  

ため池についてであるが、県としては、毎年梅雨前、市町村に全てのため池について、堤体の状況等を調査・点検させ、その結果に基づき、緊急性の高いため池から事業規模に応じて、県営や団体営事業等により順次改修しており、最近5カ年では年平均約90カ所、本年度は100カ所程度改修することとしている。県としては、今後とも市町村と十分協議を行い、県の重点施策として、緊急性の高いため池から順次改修し、災害に強い地域づくりに努めてまいりたい。



土木部長  

普通河川についてであるが、市町村が管理する普通河川の改修については、管理者である市町村が主体的に取り組むべきものである。県としては、市町村が実施する河川の改修や被災した箇所の復旧にあたっては、必要な支援や指導を行っているところである。



総務部長  

企業の自主点検の在り方についてであるが、最近発生した3件の事故は、いずれも配管の腐食によるものであった。事故の原因は、設備や運転方法の変更に伴い、配管内部に腐食が起きやすくなったものと推定され、こうした状況の変化を予測し、点検に生かされなかったことは、事業所における自主点検の方法に問題があったと考えている。このため、両事業所に対して点検方法の改善を指導するとともに、事故が発生した装置の緊急安全点検及び事業所全装置の安全総点検を指示したところである。  

全面点検についてであるが、最近の事故の発生原因から見て、特に配管の腐食が発見できるような点検の徹底を図ることが必要であると考えている。このため、県では、水島コンビナートの全特定事業所に対し、緊急安全点検の実施及び事故に至る潜在的な要因の摘出と改善に努めるよう、要請したところである。今後とも、危険物施設を所管する倉敷市消防局と連携を図り、事業所の安全点検が適正に実施されるよう指導してまいりたい。



生活環境部長  

8月26日に発生した直島町における豊島廃棄物等中間処理施設の事故についてであるが、香川県からは、翌27日朝、本県に対し、報告がなされたところである。本県と香川県、玉野市、直島町の四者で結んだ確認書は、施設の本格稼働を前提としたものであることから、今回の事故については、確認書違反の問題は生じないものと考えているが、引渡性能試験中の事故といえども、直ちに通報されるよう、香川県に対して申し入れを行ったところである。  

本格稼働延期の申入れについてであるが、香川県では、豊島の廃棄物対策の実施に当たり、技術的な指導や助言、評価を得るため、専門家による豊島廃棄物等技術委員会を設置している。今回の事故についても、直ちに当委員会へ報告され、その指導のもとに、原因究明と再発防止対策を実施し、施設の安全性を確認して、9月18日に本格稼働を開始することに決めたと報告を受けており、香川県の決定を尊重したいと考えている。



保健福祉部長  

重度心身障害者医療費公費負担制度についてであるが、身体障害等級3級への拡大は、平成14年度末の身体障害者手帳所持者数から推計すると、約11億円の公費負担増が必要と見込まれ、厳しい財政状況の中では困難である。国の動向と県の対応についてであるが、国においては、障害認定の現行基準が適切かどうか、呼吸器障害だけでなく他の障害についても、制度全体の中で見直しを含めて検討していると聞いている。県としては、在宅酸素療法については、国の公費負担制度である更生医療の給付対象となるよう、中四国9県が共同し、国に要望することとしている。  

障害者ITサポートセンターについてであるが、多様な障害者への対応能力を持ち、ITによる在宅就労支援の職業訓練の実績を有していることから、財団法人吉備高原保健福祉のむら事業団の障害者就労支援センター内に設置したものである。限られた予算の中で、平日に開設し、体験できる基本的な機器と相談員を配置してスタートしたばかりのところであり、当面、現在の場所、体制及び機器で運営してまいりたい。  

国保連役員の不正借入事件についてであるが、国保連は、県内市町村等の保険者によって設立された、極めて公共性の高い団体であり、その役員がこのような不祥事を起こしたことは、県としても誠に遺憾である。県では、国保連からの報告を受け、直ちに事件の詳細の調査等を指示するとともに、今月12日に実地検査を行い、事実関係の把握に努めているところであり、今後、再発防止のための改善等を厳正に指導してまいりたい。



商工労働部長  

若者の雇用確保についてであるが、「国民生活白書」で指摘されているように、若年失業者やフリーターの増加は、必要な技能・知識の蓄積がなされず、将来において産業を支える人材の確保が図られないことから、経済成長が阻害される恐れがあると認識している。 このため、県では、引き続き労働局と連携しながら、就職面接会の開催や緊急雇再開発推進員を活用した求人開拓など、若年者の雇用確保に鋭意努めてまいりたい。  

大企業への要請活動についてであるが、大企業を含めた約7,800の県内事業所に対し6月と8月に文書による採用枠の拡大要請を行ったところである。また、知事自らが県内経済団体のトップに対し、採用枠の拡大要請を行い、私も勝央中核工業団地の企業に対し要請を行ったところである。今後とも、県内大手企業等に対し、若年者の雇用が促進されるよう、あらゆる機会を通じて要請してまいりたい。  

「ヤングハローワーク」の設置についてであるが、国においては、岡山駅前の「ハローワークプラザ岡山」内に「ヤングサポートコーナー」を設置し若年者に対する情報提供、職業相談、職業紹介を行っているところである。若者の集う場所にヤングハローワークの出先の設置要望とのことであるが、現在、国ではウイズセンターで巡回相談を行っており、当面、同様の巡回相談箇所を増やすよう国に要望してまいりたい。



農林水産部長  

地産地消の推進についてであるが、お話の「消費地・地産地消率」は、品目毎に県民が消費している総量のうち、どの程度が県内で生産され、供給されたかを示すものである。 このような地産地消の実態の定量化は、品目毎の生産振興の方向や販売ルートの改善など、関係者間における共通の目標の明確化などを通じて地産地消県民運動の一層の展開に結びつけることができるものと考えられる。従って、今後、全県の地産地消推進会議や地域協議会の場において、関係者における論議を深めてまいりたい。



土木部長  

県内におけるマンションの戸数についてであるが、国土交通省の建築統計年報や民間データによると、平成14年度末現在で県全体では約1万9戸、そのうち岡山市の戸数は約1万3千戸となっている。専任体制等についてであるが、現在県をはじめ、岡山市、倉敷市では、マンション入居者や管理組合からの相談に対し、各種資料の提供や、マンション管理士の紹介等を行っている。県では、マンション管理に係る維持管理費用の問題や、管理組合の運営など、様々な相談に適切に対応していくため、専門的知識を有する民間やNPO団体等と連携した相談体制の充実が重要と考えており、今後、こうした関係者等の協力を得ながら、相談窓口のネットワーク化に努めてまいりたい。



生活環境部長  

JR西大寺駅のトイレ問題についてであるが、今回のJR西日本の措置により、改札を通らないとトイレが使えなくなり、駅利用者や住民にとって、以前より不便になったことは残念に思う。駅は、列車乗降客をはじめ多くの人々が集う地域の拠点であり、トイレの設置、改修に当たっては、JR西日本と地域のまちづくりを担う市町村との間で、十分協議が行われるよう期待したい。



知事  

行財政改革と保健所の在り方についてであるが、行財政改革の取り組みを進めるうえで、時代の変化に迅速かつ的確に対応する柔軟でスリムな組織体制の在り方を検討することは重要であると考えている。現在、新行財政改革推進委員会において、出先機関も含めた組織体制のあるべき姿についてご議論いただいているところであり、その提言も踏まえながら、ご指摘の県保健所の在り方についても検討してまいりたい。  

水島港の位直付けについてであるが、国の分類においては、「地域の国際海上コンテナを取り扱う港湾」となっており、先進物流拠点を目指す本県としては、計画的に港湾機能の充実を図り、さらなる広域物流拠点としての拠点性を高めてまいりたい。  

光科学頭脳拠点の形成に関連した本県の科学技術の振興についてであるが、既存の試験研究機関を活かし、かつ、地元の産業振興に役立つ取り組みとして、バイオアクティブおかやまの設立や超精密生産技術分野の産学官連携の推進などに積極的に取り組んでいるところである。この度の光科学頭脳拠点は、将来の本県における新産業の創出や新たな技術開発なども視野に入れながら、IT、バイオ、ナノテクなどのキーサイエンスとなる光量子科学の世界レベルの理論研究を目指すものである。いずれにしても、既存の試験研究機関の研究を進める一方、光科学頭脳拠点のような将来の発展性が見込まれる新たな研究開発にも取組むことにより、本県の科学技術の振興や産業振興に取り組んで参りたいと考えている。  

光科学頭脳拠点の評価についてであるが、このたびの光科学頭脳拠点の形成は、光科学頭脳拠点形成検討委員会の提言に基づくものであり、「夢づくり政策評価制度」により評価しているところである。また、当研究所においては光量子の理論研究を行うことから、当該分野に精通した国内トップクラスの研究者などによる評議員会を設置し、研究内容を評価するとともに、研究所の運営について助言を仰ぎ、世界に通用するレベルの高い研究を進めて参りたいと考えている。



再質問  

地産地消やその他ため池も含めて前向きに答弁いただき,ありがとうございます。  

それから,同時に,ITサポートセンターは,おっしゃる意味はわかるんですけども,これは私の要望じゃなしに,障害者の要望でもありますので,ぜひ御検討をお願いしたいと思っております。それからJRのトイレの分も,本当にけしからん話で,期待をするという答弁だったんですけども,県としても,ぜひそういう協議の場できちんと意見を言っていただきたいことをお願いしておきたいと思います。  

コンビナートの問題ですけどね,私が現地に行って会社の方とお話した範囲では,やはり,私の誤解じゃないと思うんですけれども,県が全面点検しろと言うからやらざるを得ないという感じだったんです。事故直後でもありましたから。ですから,やはり自主点検のあり方も含めてこれからきちんと改善をさせて,全面点検していく上で県の方も本腰入れてコンビナートの方に要望していかないと,なかなか不徹底に終わるんではないのかという危惧がありますので,これもお願いをしておきたいと思います。  

質問の方は,1つは,直島の問題ですが,玉野には26日の晩と,それから岡山県には27日の朝と,そのおくれというのもいかがなものかと思うわけですが,玉野市議会での議論を後から聞きますと,この春以降も,何回も事故があったと聞いております。そのあたりの概況も,ここで明らかになるものがあれば明らかにしてもらえたらと思いますし,これはきちんとしてほしいという要望も含めてのお尋ねですので,香川県からの通報の状況なんか,この春以降のデータがあればお教え願えたらと思っております。  

それから,保健福祉部長にお伺いなんですけども,在宅酸素で整理しておきたいのは,国は障害の認定をこういうふうに改善しようとしていると,それから県は更生医療でお願いをしようとしているという意味にとったんですけども,県の方も,やはり障害の認定の問題を改善してほしいと,内部障害2級がないという問題の改善というのは急務だと思うんですよね。厚生労働大臣もそういうふうに言ってるわけですから,やはり県としても,内部障害2級がない事態の改善というのを強く国と議論をしていただきたいと思うんです。そのあたりの,更生医療はわかりましたけど,内部障害2級の問題については,県のスタンスはどうなんですか。ちょっとこれは確認の意味も含めてお伺いをしておきたいと思います。  

それから,若者の雇用問題なんですけど,私がなぜ大企業という表現を使ったかというと,何も私がわざわざ大企業という,「大」をつけたわけではなしに,この国民生活白書ですよね(資料を示す)。この中に,今回のテーマそのものが,「デフレと生活」,「若年フリーターの現在」という,テーマそのものもそういうふうになっているわけですけども。この中で紹介されているデータは,そういうふうにちゃんと分けてるわけですよ。99人までと999人までと1,000人以上ですか,こういうふうに分けて,実際に労働者に占める若年の割合というものが,大企業の場合がこの数年急に下がってるという,その問題として国民生活白書はわざわざその大企業という表現を使って指摘をしているわけですから,企業一般ということじゃなしに,そこのところをしっかり県としても踏まえて,雇用対策をしてほしいというのが私のお願いです。その点は,もう一回,一般の企業じゃなしに,中企業とそれから大企業と,この白書そのものが分けた議論をしているから,私も分けた議論をしているわけですから,そこのとこもう一回,部長,確認をしておきたいと思うんですが,いかがでしょうか。  

それから,保健所も要望にとどめさせていただきますが,水島港の場合に,知事御存じですかね。ことしの7月にあった,その長期構想委員会で,第1回の委員会で,ある方が「スーパー中枢港湾として位置づけをせんといけん」というふうに言われて,それから今度,もう一人の国交省の方は,「そりゃあ難しいんじゃないか」という議論を言われ,いろんな議論がある。だから,私は,県としてどういう議論か整理をすべきだという提案をしてるわけで,その議論は知事は御存じなんですかね。ちょっとその辺だけ確認をしておきたいと思っております。  

それから,最後ですけどね,光科学。夢づくりプランをどう読んでも,光科学は出てこないんですよ。この夢づくりプランには,大学などと連携した先端科学技術の研究の推進で,ITバイオなどが指摘されてるわけで,この中でなぜ光が出てくるのかというのが,私はわからないと。アインシュタインに聞いてもわからんだろうと思うんです。そのあたりはいかがなんでしょうか。ちょっとお伺いしておきたいと思います。



知事  

再質問にお答えを申し上げます。  

水島港の問題につきまして,現在,水島港港湾整備長期構想委員会において検討していただいております。その中で,種々議論が出ておりますことは,十分私も承知をいたしておりますが,岡山県といたしましては,先進物流拠点を目指しているところでございまして,今後とも,計画的に港湾機能の充実を図って,さらなる広域物流拠点としての拠点性を高めてまいりたいと,このように考えているものでございます。  

光科学の研究所の整備でございますが,これは夢づくりプランの中にあります,「大学などと連携した先端科学技術の研究の推進」という重点施策の中に含まれるものでございます。その位置づけの中で,今回,具体的なこの光科学頭脳拠点形成についての日本を代表する研究者の方々から御提言をいただいたということでございますので,具体化を急いでいると,こういう状況にございます。  

以上でございます。



生活環境部長  

お答えをいたします。  

香川県からの通報の状況,内容についてということでのお尋ねでございました。  

引き渡し試験中における本県への通報は,今回の事故のほかに11件ございました。この内訳でございますけれども,この処理施設におきましては,排出ガスにつきまして,法規制値よりも,2分の1とか3分の1とか,かなり厳しい数値を定めた自主管理値がございます。この自主管理値を一時的に超過したということで通報いただいたものが8件,それから排ガス冷却室にダストが付着したというものが1件,またベルトコンベアー等のボルトの損傷といったものが2件ということでございまして,いずれも試験運転中の軽微な事象や不具合が細かく報告されたものというふうに考えております。  

内容は,以上でございます。



保健福祉部長  

お答えいたします。  

在宅酸素療法患者問題に関連しまして,国におきまして障害認定の現行基準が適切かどうか,呼吸器障害だけでなく,他の障害についても制度全体の中で見直しを含めて検討していると伺っているところでございますので,障害程度区分につきましては,県としては国の動向を見守ってまいりたいと考えております。  

以上でございます。



商工労働部長  

再質問にお答えいたします。  

国民生活白書で指摘されておりますように,大企業ほど雇用過剰感が強く,新規採用の抑制を行うなどの雇用調整を行っていると認識はいたしております。雇用の吸収力が大きい大企業を含めまして,採用枠の拡大を,今後とも強力に要請をしてまいりたいと思っております。  

以上でございます。



再々質問  

それじゃ,最後の質問をさせていただきます。  

1つは,直島の件ですけど,11件ということで,私,県も,そう大きな事故ではないとか,そういう判断も含めて余り議会やマスコミに報告されてなかったんだろうとは思うんですが,予想以上の数字なんですよね。ですから,やはりきちっと確認書に基づいて情報公開を求めるし,私は,あえてやはり今の時点でも,操業そのものも含めて抜本的な検討をお願いをしておきたいと,要望しておきたいと思っております。  

それから,在宅酸素問題も,部長の答弁で,それはそれでいんですけども,とにかく去年の10月から1年これたつわけですよね。やはり,この春の時点で150人というのを私は2月議会で言ったと思うんですけど,これが今200人と。岡山市内の業者の調査では,大体15%から20%の人が経済的理由で酸素の吸入器を外してる実態があるわけで,事態はやはり急がれているわけですよね。そういう意味で,やはり県として何とか救える制度がないのかという質問と,国の方も,急いで来年度の予算編成の中で,何とかこれを救済する方法を考えてほしいというのが私の思いですし,また関係者の方々の思いだろうと思うんですよね。その意味で,議論の方向,部長としての,県としての議論の方向はわかりましたから,その方向では,ぜひ急いで国との間でも議論をしてほしいし,要望していっていただきたいことをお願いしておきたいと思います。  

それから,雇用の問題はもう部長がおっしゃったとおりで,私は,国民生活白書を読みましてね,本当に思ったのは,そういうかなりのデータを使ってきちっとした議論を今回しているわけですね,この中でね。それから,例えば,同じ東洋経済新報社ですか,「リストラと転職のメカニズム」という,これなんかも読んでみても(本を示す),膨大なデータを使って,フリーターが多いのは決して若者の怠け性じゃなしに,いわゆる雇用の需要側,企業とか大企業のあり方の問題としてきちっと議論をしてるわけで,だからそこをしっかりやはり押さえて,また若年雇用の問題が日本の将来,また企業の将来にかかわる問題として位置づけをして,しっかり取り組んでいただきたい。部長のさっきの答弁で結構ですから,このこともお願いをしておきたいと思っております。  

それから,人工島の関係も,私の意見で,きょうそういう仕分けをきちっとしろということをお願いしたんですが,それは,この長期構想の委員会の議論を聞いておりましたら,とにかくもうとめどもなくエスカレートする感じがして,そうじゃなしに,人工島の議論もきちっとしないと,今の水島港の位置づけだとか,人工島の位置づけをきちっとしないと,私は,そこから先,不要不急の事業も生まれてくるというふうに思うんですよ。だから,そういう意味で,そのことを確認をしたんで,知事の答弁でそれを押さえて,結構です。  

例えば,中銀の岡山経済研究所とそれから日銀の共同のレポートなんかが二,三年前出てるんですけども,それを見ても,こういうふうにいわゆる役割分担をきちっとすべきなんだと。日本の港,瀬戸内海の港,含めて役割分担をきちっとして,その港湾はその港湾の位置づけを持ってちゃんとやればいいんだという議論をして,そこをはっきりしないと,いろんなところに,全国に,世界じゅうに通じるような港湾ができたりしていくわけですから,やはりそこの議論をしっかりしておいていただきたいというのが私の議論なわけで,その辺を押さえておいていただき,これもお願いしておきたいと思います。  

最後に,光の問題ですけどね,私が納得いかないのはね(パネルを示す),こういう試験場,8つあるわけです。その職員も予算も減ってるわけですよね,この行革の中で。今,例えば,日経ネットというんですか,テレビ,ホームページへ出る分を見ましても,今,地方の科学技術戦略は何かというと,その地域のテーマで,地域の公設試験場をフルに活用して新しい産業を育てるのが基本なんだと,こういうふうに言ってるわけですよ。日経新聞でもそういうふうに言ってる。全国で進んでるところは,工業試験場が大きな役割を果たしてると,わざわざ強調して,工業試験場の名前も挙げてる。だから,私は,そこの道を進むべきであって,それ以外に進むのは,戦略の間違いだし,考え方が違ってるというふうに言ってるわけですよ。やはり光もいい。そのことは私は否定はしない。しかし,県内のテーマで,これまで議論を積み上げたテーマで,県内の公設試験場をフルに活用して,新しい科学技術の振興と産業の振興を図るべきであって,それから脇目を振らないということが,私は今一番大事なんだということをお願いをし,要望しているわけです。また,そういう意味でも,光科学についていかがなもんかと意見を申し上げてるわけで,これも意見として受け取っておいていただきたいと思います。  

以上,私の再々質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。 




森脇ひさき県議の討論
 

日本共産党の森脇ひさきでございます。私は日本共産党県議団を代表し、議第72号およびいくつかの請願・陳情につきまして、委員長報告に反対する立場で討論をおこなわせていただきます。  

まず議第72号、平成15年度岡山県一般会計補正予算(第1号)についてです。今議会に提案された補正予算には、養護学校校舎整備、国体・障害者スポーツ大会関係、SARS対策、県産材需要拡大対策などが含まれています。私はこれら県民生活にとって欠かせない予算については、いささかも否定するつもりはありませんし、むしろよりいっそうの充実を期待しています。

ここで問題にしたいのは、光科学頭脳拠点整備事業費・4千277万8千円についてです。わが党の武田議員が一般質問で指摘したように、県が実施する研究として力を入れるべきことは、県民生活の向上、地場産業や中小企業の発展に役立つことであり、今ある試験研究施設を充実させることです。ところが、知事も「世界に誇る」としている“ものづくり”研究の中核を担わなければならないはずの工業技術センターでは、平成9年度と比較して研究・技術者が10人も減らされています。岡山県の最大の産業である農業をささえる農業試験場の研究・技術者は7人減らされ、事業費は2億100万円減らされて半分以下の1億7千100万円になっています。また、林業の益々の発展が求められているのに、林業試験場と木材加工技術センターをあわせて研究・技術者は15人しかおりませんし、事業費は両方で5千万円という、極めて貧弱な状況です。岡山県の環境保全で大切な役割を果している環境保健センターも同じような状況です。  

知事は、「既存の研究を軽視するものではない」と答弁されましたが、県内8つの試験研究施設あわせて平成9年度と比較すると、研究・技術者は27人減らされ、事業費は3億700万円も減らされているのです。いま必要なのは、これら既存の施設の充実です。それらの施設を生かして、産業の振興、中小企業の発展に生かすことが県政の責務だと考えます。私は、その立場から光科学頭脳拠点整備事業を含んだ補正予算案に反対するものです。  

次に、陳情第18号、第21号、および第22号、イラクへの自衛隊派遣中止を求める政府への意見書提出に関する陳情ですが、私は採択を強く求めます。  

その第1の理由は、イラク戦争はまったく道理がないということです。「イラク戦争反対」と、世界中でかつてなかった大きなとりくみがおこなわれたことは、議場のみなさんもご存知でしょう。国連は戦争を回避しようとあらゆる努力をしました。アメリカ、イギリスは、国連と世界の世論を無視し、戦争を強行しました。しかし、アメリカが戦争の最大の大義とした大量破壊兵器はいまだに発見されず、いま米英両国では情報に不正操作があったと大問題になっています。今月23日の国連第58回総会一般討論で、アナン事務総長は、イラク戦争について「国連憲章にたいする根本的な挑戦」と指摘しました。フランス、ブラジル、南アフリカ共和国など各大統領からもアメリカ、イギリスの行動への批判が相次いだと報道されています。このような戦争にいち早く「支持」を表明した日本政府・小泉内閣の姿勢こそ問題ではないでしょか。

第2の理由は、イラクでいまアメリカがおこっているのは、イラク国民の意思をまったく無視した占領行為そのものだということです。アメリカのこのような行動が、イラクの武装勢力による自爆テロをいっそう激しくしています。先月、国連の事務所が破壊され、デメロ国連事務総長特別代表はじめ20人以上が死亡しました。つい先日も国連事務所付近で自爆テロがあり、10数人が亡くなりました。米軍への襲撃も多発し、5月1日の戦闘終結宣言以来、米兵の死者は160人を超えました。イラク戦争時の死者138人をすでに上回っています。このような戦闘地域に自衛隊を派遣することは、「現に戦闘がおこなわれている地域にはいかない」としてきた政府自身の考えをもくつがえし、憲法もふみにじるものではないでしょうか。  

第3に、いまイラクに必要とされていることは、治安の回復であり、ライフラインの整備、生活の再建などです。それらは、国連を中心とした人道的な支援でこそ達成できます。23日の国連総会一般討論で、アナン事務総長や各国大統領がそのことを強調しています。米英軍は一刻も早くイラクから引き上げることを、世界は求めています。日本政府の自衛隊派遣は、世界の大勢とはまったく逆行しています。私は、岡山県議会として、イラクへの自衛隊派遣の中止を求める意見書を政府に対して提出するよう強く求めます。  

続いて請願第5号および陳情第2号、ILO勧告受け入れと公務員制度改革に関する意見書の採択を求める陳情についてですが、私は採択を主張します。  

ILO(国際労働機関)理事会は9月20日、日本の公務員制度改革について、「公務員の基本的権利への制約を維持する意図を再考するようあらためて強く要請する」という結社の自由委員会の勧告を採択しました。昨年11月のILO勧告に対して、日本政府は「わが国の実情を十分理解した判断ではない」「スト権を含む労働基本権を制約する代償措置は適切に機能している」などという見解を述べていました。今回の勧告によって、政府の見解は却下された形となったわけです。  

公務員に憲法で保障された民主的な権利を保障することは、行政を内部からチェックし、「全体の奉仕者」として国民本位の行政をすすめる上でも不可欠です。政府が再度のILO勧告を受け止め、関係労働組合との協議を十分おこない、公務員に労働基本権を保障するなどという、国際的には当たり前になっているこの原則について、県議会から意見をあげることができないということは、本当に恥ずかしいと言わなければなりません。加えて、公務員制度改革というなら、天下り規制や政官業癒着など汚職・腐敗の根絶など、これらこそ最大の柱として、とりくまれなければならないと思います。  

最後に、陳情第5号、11号、19号、いわゆる難病対策にかかわる陳情ですが、これらについても採択を求めます。

医療制度の見直し、介護保険制度での負担増、年金の給付削減、医療・福祉のあいつぐ改悪によって、県民生活は大変困難な状況におかれています。それに加えて特定疾患患者さんにとっては、特定疾患治療研究事業の見直しもおこなわれました。そういう状況下で、少しでも明るい光がみたいという、患者さんたちのやむにやまれぬ思い、私はこれらの陳情書を読みながら強く感じました。当局におかれましては、患者さんたちの声もききながら様々な点で努力されていることに敬意を表します。  

県議会としても、当局の努力を応援し、一層の努力を期待するという思いもこめて、これらの陳情を採択するべきだと考えます。この問題は、まさに緊急を要する問題であるということも申し添えて、討論を終わります。


        議案の結果

各会派の態度
○賛成、×反対 共産 自民 民主 公明 賛否
平成15年度岡山県一般会計補正予算(第1号) ×
工事請負契約の締結について(岡山県庁舎西棟耐震改修工事)
工事請負契約の締結について(一般国道482号真加子トンネル(仮称)工事)
工事請負契約締結の変更について(主要地方道倉敷成羽線富トンネル(俊称)工事)
工事請負契約締結の変更について(三蟠九蟠海岸四蟠統合樋門工事)
岡山県道路公社の道路の整備に関する基本計画の変更について
岡山県道路公社による有料道路事業の実施の変更について

請願・陳情の結果

○採択、△継続、×不採択 各会派の態度
委員会 提出者 要旨 紹介議員 共産 自民 民主 公明 採否
総務 国公総連 ILO勧告の受け入れと、民主的な公務員制度改革の実施を求める意見書の提出について 草刈
総務 県労会議 清潔で公正・公平な住民奉仕を貫く公務員制度の確立を求める意見書の提出について
総務 県労会議 市町村合併に関する意見書の提出について
総務 岡山弁護士会 民事訴訟における弁護士報酬敗訴者負担制度導入方針の見直しを求める意見書の採択について
総務 県私立学校教職員組合連合 学校法人森教育学園の学園経営に関し、所轄庁による適切な調査、指導、助言の実施を県議会として求めることについて × × × ×
総務 とめよう戦争への道百万人署名運動岡山県連絡会 自衛隊イラク派遣に関することについて × × × ×
総務 ネットワーク「地球村」吉備くらしき イラクへの自衛隊派遣の中止を求める意見書に関することについて × × × ×
総務 平和・民主・革新をめざす岡山の会 イラク派兵に関することについて × × × ×
生・保 岡山県医薬品商業組合 「医薬品の一般小売店における販売」に反対する意見書の提出を求めることについて ×
生・保 岡山つぼみの会 小児期発症インスリン依存型糖尿病医療費援助の対象年齢延長について
生・保 新谷冨美江 県内のすべての准看護師に2年課程通信制の内容を周知徹底することについて × × × ×
生・保 岡山県厚生年金受給者協会 公的年金給付額の据え置きを求めることについて 大杉、佐古 ×
生・保 NPO岡山県腎臓病協議会 腎疾患総合対策を求めることについて
生・保 全医労岡山地区協議会 国立病院の独立行政法人化に当たり院内保育所の継続を求めることについて × × × ×
生・保 全医労岡山地区協議会 国立病院の独立行政法人化に当たり、賃金職員の雇用継承と医療・看護体制の拡充、国立ハンセン病施設の充実、拡充を求めることについて
生・保 全国膠原病友の会岡山県支部 難病対策見直しについて
商・労・警 岡山県貸金業協会 貸金業者の登録及び登録更新申請手数料について × ×
商・労・警 県労会議パート・臨時労働組合連絡会 パートタイム労働法の実効ある改正とILO175号条約の批准を求める意見書の提出について × × ×
農水 食とみどり・水を守る岡山県労農会議 WHO農業交渉に対する意見書の提出について 草刈
文教 英田郡町村会 英田地域新高等学校を通学経路、地域環境、学習環境が最適な場所に建築することを求めることについて 市村
議運 市民オンブズマンおかやま 岡山県議会の委員会の一般傍聴を求めることについて